「60」がカッコいい!
前回の「ライフinカリフォルニア」のコーナーは、「70、90、100が目安です」というお話でした。
サンフランシスコ・ベイエリアの「夏」の話題でしたが、いつの間にか秋も深まり、深い赤やオレンジが似つかわしい季節になっています。
そんな今日の数字は、「60」。
こちらは、年代なんです。
「1960年代」のことですが、何かというと、車のナンバープレートのお話です。
ナンバープレートといえば、英語では「license plate(ライセンスプレート)」と言いますが、アメリカでは、州ごとに違ったデザインとなっていますね。
ですから、あちらこちらの州をドライブしたり、逆に自分の街に他州の車が走っていたりすると、「こんなデザインなんだぁ」と、見ていて楽しい気分になります。
長時間ドライブすると、「いったい何州のナンバープレートを見かけるだろう?」と、退屈しのぎに数える方もいらっしゃいます。
カリフォルニアでよく見かける他州のプレートには、アリゾナやネヴァダ、オレゴンがあるでしょうか。やはり、カリフォルニアに隣接していますから、車で来られる方が多いようですね。
砂漠を思わせるデザインで、山並みとサボテンがあしらわれています。
なんとなく、西部劇の舞台を思い浮かべますが、「グランドキャニオンの州(Grand Canyon State)」とも書かれています。
そう、アリゾナは、かの有名なグランドキャニオンがあるところ!
(Photo by Marduk, Wikimedia Commons)
プレートの背景になっているのは、グランドティートン国立公園です。
(Photo by Awmcphee, Wikimedia Commons)
グランドキャニオンほど知名度はありませんが、ここにはロッキー山脈が通っているので、イエローストーン国立公園や、グランドティートン国立公園と、美しくも広大な自然が広がります。
バッファロー(バイソン)もたくさん生息する場所で、東から「白人」がやってくる前は、先住民族の方々が、この巨大な動物とともに静かな暮らしを営んでいました。
プレートの前面には、カウボーイもモチーフとなっていますが、西部開拓時代には、カウボーイたちが「バッファロー狩り」を行って、毛皮や肉を行商していました。
今でも、カウボーイハットとブーツで街を闊歩する人をたくさん見かける。ワイオミングは、そんな土地柄なのです。
我が家はフロリダに住んでいたことがあるので、懐かしくてご紹介しました。
州の名産品オレンジがあしらわれていて、いかにも暖かそうな南国のイメージです。
フロリダといえば、アメリカで一番オレンジの生産量が多いだけではなく、ブラジルを除いて、世界のどの国よりも収穫が多いんだとか。
けれども、今年は、オレンジの病気(citrus greening disease、中国語で黄龍病)が蔓延して、収穫高は例年の3割ほどに激減するだろう、とも言われています・・・。
そんな風に、各州のナンバープレートを見ると、「ご当地もの」が想像できるのですが、
現在のナンバープレートは、「白地に青い文字」の味気ないデザインです。
もちろん、「プレミアム」デザインはあるんですよ。
たとえば、「大自然ヨセミテの山並み」や「海にもぐるクジラの尾っぽ(写真)」、それから「ロスアンジェルスの青い海とヤシの木」と、余分にお金を払ったら、アーティスティックなプレートも手に入るんです。
でも、我が家も含めて、大部分の人は、味気ない「スタンダード」を選びます。
そんなわけで、近頃、ちょっと特別な「1960年代」の復刻版が人気を集めているんです。
こちらは、昔の名車マスタングに、わざわざ真新しい復刻版のプレートを注文された方。
そう、「黒地に黄色の文字」というのが、1960年代のスタンダードでした。
なんでも、こちらのデザインは、1963年からだんだんと新規発行数が減らされていって、
1970年には、次の「青地に黄色い文字」(写真)に世代交代しています。
それが今になって、「スペシャル版」としてリバイバルしたのでした。
そうなんです、カリフォルニアの運輸局は、ときどき「スペシャル版プレート」を発行するんですが、これには基準があって、発案したあとに少なくとも 7,500枚の注文が来ないと、製作はされないとか。
それが 7,500枚どころか、あれよあれよと人気となって、現時点では、1960年代の復刻版は、15万枚も売れているとか!
50ドル(約5千円)の手数料で注文できるそうなので、レトロ車の愛好家とか、人気の小型車を運転する若者とか、ちょっとオシャレしたい人に受けています。
そんな「スペシャル版」を楽しめる、カリフォルニアのナンバープレート。
そう、「ピンクリボン」というのは、ニューヨークの慈善団体がはじめた、乳がんの啓蒙活動。
今では「ピンク色のリボン」を見ると、乳がんと闘う方々や研究者の方たちを思い浮かべるほど、世界じゅうに広まっています。
乳がんは、女性ばかりではなく、少数ですが男性もかかる病気ですので、だんだんと男性側の意識も高まっているようです。
たとえば、アメリカ大リーグにも「ピンクリボンの日」があって、フィールドには、ピンク色のTシャツを着た女性たちばかりではなく、ピンク色のグッズを身にまとった選手も、誇らしげに現れます。
10月は、ピンクリボン月間。
勢いに乗って、スペシャル版「ピンクリボン」プレートが、カリフォルニアに誕生するのかもしれません。