お久しぶりです、グースカくん
9月後半から3週間をサンフランシスコで過ごして、サンノゼの我が家に戻ってくると、
ちょっと嬉しいことがありました。
以前もご紹介したことがあるんですが、秋になると、我が家にやってくる「御仁(ごじん)」がいらっしゃるんです。
いえ、「人」ではないんですが、夕方から早朝にかけて我が家に滞在する、かわいらしいもの。
何か寝ているでしょう?
我が家には、玄関のドアの上にスペースがあるんですが、そこに頭をつっこんで、ぐっすりと眠りこけている誰かさん。
日頃から出張の多い連れ合いは、初めて対面したようで、
「え、これって、ネズミ? それとも、コウモリ?」と聞くんです。
でも、ネズミなら、ドアを開けた音で、すぐに逃げて行くでしょうし、第一、しっぽはこんな形ではありません。
それに、コウモリなら、しっぽはありませんし、こちらの写真のように、さかさまに寝ているはずです。
そう、いつか裏庭で見つけたコウモリのように、さかさにぶら下がって熟睡しているはず。
たぶん、これは、何かの幼鳥が、大きくなる間、安全な我が家の空間を「ねぐら」にしているんだと思うのです。
どうして幼鳥かといえば、背中の毛がフサフサしていて、大人になっていない感じがしませんか?
いつか、サンフランシスコの滞在先で、カラスの幼鳥がバルコニーで羽を休めていたことがあって、やっぱり、翼の部分が、フサフサした「羽毛」でしたよ。
よくは存じませんが、鳥って成長する過程で、フサフサの羽毛から、ツヤツヤした羽に生え変わるのでしょう。
それに、我が家の「グースカくん」も、全体に丸っこくて、幼さを感じませんか?
ドアを開け閉めしても、何も気づかずに安眠しているし、そんなところに、なんとも「あどけなさ」を感じるのです。
そう、まだまだ世間慣れしていない様子。
そういえば、「あどけなさ」で思い出したんですが、何年も前に、我が家の中庭でハミングバードの幼鳥を見たことがあるんです。
巣立ってはいるけれど、まだまだ親鳥からご飯を食べさせてもらっている幼鳥を。
ハミングバードは和名「はちどり」といいますが、その名のとおり、まあ忙しく、あっちからこっちの花へと羽ばたいて、蜜をチューチューと吸う鳥なんです。
ブ~ンと、大きな羽音をさせながら、花から花へとせかせかと動き回るさまは、まるで働き者の蜜蜂みたい。
ところが、忙しい「大人たち」とは裏腹に、幼鳥は、いたってのんきなもの。
残念ながら写真はないんですが、わたしが幼鳥を見たのは、ツル状の花を支えている鉄の支柱。
ちょうど羽を休めるのにいい具合だったようで、そこで、こっくりこっくりと居眠りをしてるんです。
そこに、ブ~ンとハミングバードが飛んできて、幼鳥に蜜をあげるんですが、
最初のうちは、幼鳥が「親」で、親が「幼鳥」かと思ったんです。
なぜって、幼鳥はフワフワと羽毛に包まれて、とっても大きいから。そう、で~んと構えて、スリムな親よりも、ずいぶんとでっかいんです。
しかも、(本物の)親鳥は、口から蜜をチュッチュと出して、いったいどっちがどっちに蜜をあげていたのか、よくわからなかったから。
どうやら、親鳥は、お腹の中からクチバシに蜜を出してきて、幼鳥に与えるみたいなんですが、「ふたり」のクチバシの間に蜜が(高速で)飛び交って、どっちに流れているのかわからない!
それで、ひとしきり幼鳥を食べさせた親鳥は、あわただしく立ち去るのですが、そのときに初めて「あ~、残された方が子供なんだ」とわかったんです。
最初は、「大きい方」からもらった蜜を、「小さい方」がチュッチュと味わっていたように見えたけれども、それは逆だったんだ、と。
蜜をもらって、お腹がふくらんだ幼鳥は、親鳥を見送ったなと思ったら、だんだんとまぶたが重くなって、また居眠りを始めました。
その安眠を邪魔してはいけないと、わたしもその場から離れたんですが、いつの間にか、幼鳥は中庭から飛び立って、いなくなっていました。
だって、我が家には毎日、チッチというハミングバードの鳴き声や、ブ~ンという賑やかな羽音が響いているのに、
「巣づくり」や「給餌(きゅうじ)」「飛び方のトレーニング」といった場面には、あれ以来、お目にかかったことがないから。
というわけで、すっかりお話がそれてしまいましたが、我が家の「グースカくん」。
ひとつ不思議なことがあるんです。
5年前にご紹介した「グースカくん」は、こちらの写真のように、玄関の右側で寝ていたんですが、今年は、なぜか左側。
明らかに、5年前とは「別人」のグースカくんですが、どうして左がお好きなんでしょう?
右の方が、落ち着くような気がするんですけれど。
ま、とにかく、久しぶりに舞い戻ってきてくれた「グースカくん2世」。
あと何週間かは、電気を消して、おとなしくして、安眠の邪魔をしないようにいたしましょう。
追記: 5年前のお話では、「頭を突っ込んで、グースカ寝ている」と書いてみたのですが、連れ合いは「グースカじゃないよ」と主張するんです。
まあ、たしかに、何の音もたてないで、ひたすら静かに熟睡していらっしゃるのですが、その様子があまりにかわいいので、「グースカくん」と呼ぶことにしました。
後日談: 数日後、また外出先から戻ってくると、今度は、グースカくんが玄関の右側で寝ていました!
(ほら、やっぱり左よりも、外から見えない右の方が落ち着くでしょう?)
けれども、これが先日のグースカくんと「同一人物」なのか、それとも、べつのグースカくんに先を越されて「ねぐら」を奪われたのか、それは定かではありません・・・
(なんとなく、しっぽの感じが違って「別人」のような・・・)