クリスマスツリーを切らないで!
12月も、もうなかば。
クリスマスに向けた歳末商戦も、佳境に入りました。
こういった光景を、英語ではこんな風に表現いたしますね。
The holiday shopping season is kicking into high gear
歳末商戦のシーズンも、ギアチェンジして加速しています
「車好き」のアメリカですから、風物詩だって車を使って表現するのです。
そして、12月と言えば、クリスマスツリーを忘れてはいけません。
毎年、クリスマスツリーを飾ると、だんだんと気分が盛り上がってくるし、
第一、家族みんなのために買ったプレゼントは、ツリーの足元に置いておく習慣になっています。
そんなわけで、年末が近づくと、あちらこちらの街角ではクリスマスツリーにする「木」が売られていますが、今年は、こんなニュースがありました。
クリスマスツリーは、ちょっと借りるだけで、来月はちゃんと返しましょう!
そう、普通クリスマスツリーと言えば、本物の木を切ってツリーとしますよね。
山や栽培地で買うなら、選んだ木をその場で切ってもらうし、お店や街角の業者から買うなら、すでに切ってある木を選んで買うことになります。
こちらのお店のように、Fresh-cut trees(切ったばかりの木)だよと、みなさん、活きの良さをアピールします。
選んだ木は、自分で家に運ぶのが一般的なので、12月になると、誇らしげに、大きなツリーを乗せて走る車も風物詩となっています。
「あ、あの木がいいわ!」「いや、こっちの方がカッコいいわ!」と、あれこれ枝ぶりを見ながら木を選ぶのを年末行事としている家族もたくさんいます。
ところが、サンノゼ市の自然保護団体は、こんなプログラムを始めました。
「クリスマスツリーの植木鉢をお貸ししますよ」と。
こちらは、Our City Forest(わたしたちの市の森)という団体が昨年から始めた試みで、近隣コミュニティーの方々に鉢植えのツリーを貸し出し、年が明けたら返してもらって街路樹として植える、というもの。
貸し出すのですから、買うわけではありませんが、活動を援助してもらおうと15ドルから75ドル(1,800~9,000円)の寄付を受け付けているそうです。
木の種類は、イトスギ(cypress)、エゾマツ(spruce)、モミ(white fir)、マツ(pine)、セイヨウスギ(cedar)と、いろいろ。でも、鉢植えの中には、軽い飾りでなければ、ぺっしょりとしおれてしまう小さな木もあるとか・・・。
それでも、小さな木をいたわりながら飾り付けをするのも、なかなか愛着がわくものだそうですよ。
「去年は、ほんとに『負け犬(underdog)』みたいなクリスマスツリーで、幹にライトを巻いただけで終わったの。でもね、これが今までで最高のツリーになったわ」とおっしゃる方も。
(写真は、お父さんのためにツリーを運ぶマイクさんとデビーさんの兄妹。昨年の「負け犬」よりは、少しは強そうでしょうか?:Photo by Karl Mondon, San Jose Mercury News, December 5, 2015)
通常、本物の木を買ってきてクリスマスツリーに使った場合は、年が明けると、市が「リサイクル資源」として回収します。
何にするのかって、小さく砕いて、庭にまく木クズ(mulch)として使い回しをするのです。
そう、アメリカの庭は、mulch (「モーチ」といった風に発音)と呼ばれる「木クズ」をまくことが多いですね。
見た目も美しいし、木のいい匂いがするし、第一、土中の水分の蒸発を防いでくれるので、一石二鳥(一石三鳥?)。
大きな街路樹の枝を伐採したときや、回収したクリスマスツリーなどは、この木クズの格好の材料となります。
だから、本物の木を使ったにしても、資源を無駄にしているわけではないのですが、新年がやって来て、家の前に放置されるクリスマスツリーを見ていると、なんだかかわいそうに思えるのです。
クリスマスの時期は、あれほど脚光を浴びていたのに・・・と。
わたしなどは、「木を切る」ところからかわいそうで、長年プラスチックの(ニセ)ツリーを愛用しているくらい。
ですから、「あとでツリーを街に植える」と聞いて、嬉しくなったのでした。
(写真は、サンフランシスコ・ジャイアンツのホーム球場 AT&Tパークにあるショップ。クマさんがたくさん飾ってありますが、これだと本物の木じゃなくても OKですよね!)
そんなツリーのお話を書いていたら、車の中に大事そうにツリーを乗せたご近所さんとお会いしました。
丸っこい小さな車に、ツリーとふたりで仲良く収まっていて、ほほえましい光景です。
なんでも、普通は車の天井に乗せるところを、お店がネットをかぶせてくれて、ちゃんと車内に乗るようにしてくれた、と。
お散歩中にも出会った彼は、前庭でツリーの枝ぶりを整えているところでした。
切った枝をあげようか? とおっしゃるので、「う~ん、枝だけじゃねぇ」と思いながら、ご辞退申し上げたのですが、あとで「もらっておけば良かったなぁ」と、後悔したのでした。
それほど、本物のツリーって、いい香りがするんですよねぇ。
この香りを求めて、「わたしは絶対に本物のツリーじゃないとイヤだわ!」とおっしゃる方も多いのですが、
なるほど、その心情はわからないでもありませんね。