サンフランシスコのクリスマスと年末
サンフランシスコ・ベイエリアの12月は、雨の日数が15日という、あいにくのお天気でした。冬は雨季なので、雨が降るのは当然ではありますが、公園に飾られる大きなクリスマスツリーが雨粒にさらされると、ちょっとかわいそうではありますよね。
そんなわけで、この辺りでクリスマスの時期に一番輝くのは、やはりサンフランシスコの街でしょうか。
シリコンバレーでも、北カリフォルニア最大のサンノゼ市では、中心地の公園が「公園のクリスマス(Christmas in the Park)」という名で大々的に飾られたり、ヤシの木の下にアイスリンクができたりと、それなりにクリスマスの雰囲気をかもし出します。(「シリコンバレーのクリスマス」については、6年前にご紹介したことがあります)
けれども、やはり「古き良き時代」のクリスマスを踏襲しているのは、サンフランシスコでしょうか。ここには、100年以上の歴史を誇る老舗がたくさんありますので、昔からの伝統を守り独自の飾り付けをして、訪れた人たちを楽しませてくれるのです。
たとえば、ガラス天井のガーデンレストランで有名なパレスホテル(Palace Hotel)。ここのロビーには、お菓子の家がいくつも飾られます。
クリスマスのお菓子の家は「クッキーハウス(cookie house)」と呼ばれ、子供のいる家庭でも自分たちでつくったりしますが、プロの職人さんたちもクッキーハウスづくりに余念がありません。
パレスホテルに足を踏み入れると、ずらりと並ぶクッキーハウスの甘い香りに、ついお腹がグ~ッとなってしまうのですが、どれもこれも芸の細かい力作です。
たとえば、慈善団体の『プロジェクト・オープンハンド(Project Open Hand: HIV/AIDSをもつ方々に食事を提供する団体)』がスポンサーとなって、屋上の野菜園をモチーフにしていたり、『ミールズ・オン・ホイールズ(Meals on Wheels: 困っている方々に食事を宅配するサービス)』がスポンサーとなり、車で食事を運ぶサンタさんをモチーフにしていたりと、なかなかアイディアが面白いのです。
玄関を入ってすぐの場所には、2012年のメジャーリーグ野球チャンピオン、サンフランシスコ・ジャイアンツ(the San Francisco Giants)のスター選手がお菓子で再現されていたりと、地元の誇りも忘れてはいません。
パレスホテルの宿泊客とおぼしき女性は、「やっぱりサンフランシスコって、クリスマスの祝い方をちゃんと知ってるわよねぇ」と、写真を撮っていたわたしに同意を求めていらっしゃいました。
そんな彼女も「息子に見せなくっちゃ!」と、パチパチ撮っていらっしゃいました。
このパレスホテルでは、大晦日(New Year’s Eve)にパーティーを4つ開くそうですが、ガーデンレストランのクラシックなディナーから賑やかなサルサパーティーまで、毎年いろんな趣向を凝らしていらっしゃるそうです。
もともとは、1875年に創業したホテルだそうで、1906年のサンフランシスコ大地震では倒壊してしまったので、ビルを建て替え、1909年に営業を再開しています。ですから、今の建物は「新しいパレスホテル」と呼ばれているとか!
ショッピングエリアで有名なユニオンスクウェア(Union Square)にも、セントフランシス(The Westin St. Francis)という老舗ホテルがありますが、ここでもお砂糖でできた巨大な城がロビーに飾ってあって、宿泊客や買い物客の目を引くのです。
なんでも、3.6メートルの高さにそびえ立ち、部屋が30もあるそうですよ!
ここでは数年前から砂糖の城(sugar castle)を飾るのが習慣となったそうですが、毎年、毎年、だんだんと大きくなっているとか。そのうちに、天井まで届くのではないでしょうか?
このホテルは、セントフランシスという老舗が、近年ホテルチェーンのウェスティンに買収されたようですが、手前の古いビルは、1904年に創業したそうです。パレスホテルに近いわりに、こちらは1906年のサンフランシスコ大地震では倒壊をまぬがれ、改修工事を経て翌年には営業を再開しました。
いつかテレビで観たのですが、ここには「コインの洗濯機」なるものがあって、きたないコインをピッカピカにしてくれるサービスがあったそうですよ!(現在もやっているかどうかは、定かではありません)
というわけで、サンフランシスコの老舗では、ちょっとした「ヨーロッパ調」のクリスマスを楽しめることでしょう。
でも、やっぱり、ここはアメリカ。アメリカ人は、目の前に置かれたお菓子を食べたくってしょうがないのです。
どちらのホテルかは忘れましたが、「毎年、お菓子の家を修復する材料はたくさん確保しておかなくてはならない」というニュースを耳にしたことがあります。
甘~い香りにさそわれて、ついつい、飾り付けのキャンディーに手が伸びるらしいんですね!(わたしだって、お腹がグ~ッとなったくらいですからね!)