シリコンバレーに雪?
カリフォルニアといえば、まず頭に浮かぶのは、真っ青な空ではないでしょうか。たしかに、天気がいいと、「どこまでも抜けるような青空」という表現がぴったりの、ペンキを塗ったような濃い青の空が広がります。
けれども、このフォトギャラリーの第1話「雨季の散歩」でご紹介したとおり、北カリフォルニアは雨季と乾季にはっきりと分かれていて、当然のことながら、雨季は結構雨が降るのです。
例年、だいたい11月から5月くらいまでは雨季とされていて、周期的に雨をもたらす前線が北西の方からやってきます。初夏のようなカラリとした天気が何日も続いたあと、突然、1週間続く嵐がやってきたりします。
だから、この時期、サンフランシスコ・シリコンバレー界隈にいらっしゃる方は、雨が降っても、「私が雨女なんだわ」と思う必要はありませんよ。
さて、カリフォルニアには雪は降らないはずだと信じていらっしゃる方も多いかと思います。
たしかに、ネヴァダ州との境の山脈地帯(たとえばタホ湖のまわりのスキーリゾート)に行けば別ですが、大部分の地域では、普段雪を経験することはありません。サンフランシスコあたりに最後に雪が降ったのは、何十年前も昔のことです。
けれども、驚くなかれ、このシリコンバレーでも、雪が降る場所があるのです。現に、2月17日、3センチほど雪が積もりました。ハミルトン山(Mount Hamilton)というところです。
この山は、サンノゼ市の東に連なるディアブロ山脈の一部で、標高1280メートルです。寒気団がやってくると、このくらいの高さだと雪に変わってしまうのですね。ひとたび雪になると、シリコンバレーの街中からも、雪を頂く山脈が遠くに望めます。
この山は、雪が積もると、どこからともなく子供たちが集まって来て、雪だるまを作る場所となっています。だから、身近な雪を楽しむ大切な所なのです。
それと同時に、大事な科学の場でもあるのです。
実は、この山のてっぺんにはリック天文台(Lick Observatory)というのがあって、天体観測の最前線ともなっているのです。
カリフォルニア大学サンタクルーズ校に本拠を構える団体が運営していて、州立カリフォルニア大学(University of California)の系列校の天文学者が誰でも利用できるようになっているのです。
カリフォルニア大学は、バークレー校も、サンタクルーズ校も、天文物理学では結構有名なのですよ(3枚目の写真で、山頂に白い建物のようなものが見えますが、これが天文台です)。
10年ほど前、一度リック天文台に行ってみたことがあります。サンノゼ市からは、くねくねする道をひたすら走り、まだかまだかと心配になった頃に、ようやくたどり着きました。
その時は、これだけ街から離れないと、いい夜空は見られないものだなあと実感したのでした。でも、実は、その裏側には、サンノゼ市の努力があったのですね。
1970年代、街の拡大にともない「光害」がひどくなり、一時は、天文台の移転計画すらあったそうです。
それに対し、市側は、街の光が天文台の邪魔にならないように、街じゅうの街灯を、光度の低いものに変更してあげたそうです。
だから、いまだに、ハミルトン山に天文台があるのですね。