デイライト・セーヴィング・タイムふたたび
振り返ってみると、この「ライフinカリフォルニア」セクションで最初にご紹介したお話は、「デイライト・セーヴィング・タイムってなあに?」でした。
あれから2年半たったところで、またまたデイライト・セーヴィング・タイム(夏時間)のお話です。
あのお話を掲載したときは、夏時間の適用期間は、4月第一日曜日から10月最終日曜日となっておりました。夏時間になると、1時間時計を進めるので、夕方遅い時間まで明るくなり、省エネに役立つのですね。
以前のお話でもちょっとだけご紹介していますが、あれからさらに夏時間が延長いたしました。現在は、3月第二日曜日から11月第一日曜日となっています。つまり、4週間も延びたのですね。
今年は、もう3月9日には、さっさと夏時間になっていたのでした。
ところが、この新しい夏時間への変更で、ちょっとした騒ぎが起こりました。
アメリカでは、「ブラックベリー( BlackBerry )」という携帯電話向けのメールサービスが大人気なのですが、このサービスに加入していた人たちのケータイが、すっかり勘違いをしてしまったのです。もうすでに夏時間になっているのに、もともとの夏時間開始日である4月6日に、もう1時間進めてしまった・・・
これは、ブラックベリーサービス側が、新しい夏時間用のソフトウェアをダウンロードしてくださいとユーザに促していたところ、それを怠った人たちのケータイが間違って1時間進めてしまったという話のようです。
今までの古いソフトウェアでは、4月第一日曜日が来ると自動的に1時間進めてしまうので、新しいソフトで「違うよ、もう進めなくていいんだよ」と、ケータイに教えてあげなければならないのですね。
まあ、時間が変わるのはいつも日曜日なので、あまり問題はなかったわけですが、それにしてもケータイを時計代わりに使っている人は多いので、混乱した人はひとりやふたりではなかったことでしょう。日曜日の礼拝に行こうと、教会で1時間も待ちぼうけをした人もいたのでしょうね。
う~ん、それにしても、夏時間開始日が変更したのは、今年じゃなくって、昨年の3月のことなんですよ。きっと、新しい夏時間にみんなが慣れるまでには、あと何年かかかることでしょう!
ちなみに、この「ブラックベリー」は日本でも発表されているのですが、アメリカでは、企業ユーザを中心に一世を風靡したメールサービスなんですね(ブラックベリーを作ったのは、リサーチ・イン・モーションというカナダの会社です)。
ブラックベリーは1997年に始まったサービスなんですが、会社で使っているメールにアクセスできるということで、年々企業人の間で人気が高まり、「クラックベリー( crackberry )」なる言葉まで生まれたのですね。仕事のメールに夢中になり、ブラックベリー端末を片時も手放せない人のことを言います(シリコンバレーには、そういう人は多いですね)。
日本では、どちらかというと一般ユーザの間でケータイメールが重宝されているわけですが、アメリカの場合は、ケータイメールというのは、このブラックベリーを中心に企業ユーザに最初に広まったという大きな違いがあるのですね。だから、日本の「親指文化( thumb culture )」なんていうのは、当初、アメリカ人には奇異な目で見られていたのですね。
今では、アメリカの一般ユーザの間では、ケータイメールではなく、「テキストメッセージ( SMS、Short Message Service )」の方が好まれています。ごく短いメッセージをリアルタイムでやり取りするサービスですね。けれども、日本のティーンとまったく同じく、アメリカのティーンがシャカシャカ文字を打つのも必見ものですよ!
そうそう、今日の新聞の漫画欄に、こんなものが載っていました。( by Jerry Scott and Jim Borgman )
サラとジェレミーが一生懸命にテキストメッセージをやり取りしていて、お互いにすれ違ったのにも気付かなかったという設定。
お友達が「君たちふたりがまだ話していて安心したよ( Glad to see you guys are still talking )」と言うと、
ジェレミーが「これ以上、近しいことはないよ( Never closer )」と答えます。
ほんとは、肩を合わせんばかりにすれ違っていたのに・・・
さて、ご参考までに、今日は4月15日。アメリカでは、重要な日付です。そう、今日は、税金確定申告の締切日。
アメリカでは、収入のある国民全員が国と州に税金申告( tax return )をすることになっているのですが、4月15日の締切日には、大きな郵便局は夜中まで営業しています(申告書は、国税局と州の税金係まで郵送する慣わしなのです)。
とにもかくにも、アメリカ人は物事を先延ばしにすることで有名ですので、4月15日が近づいてくると、郵便局はどこも長蛇の列。それをうっかり忘れていたわたしは、昨日、郵便局で20分くらい待たされました(こういう風に、やるべき事を先延ばしにする人のことを、procrastinator と言いますね)。
やはり、今日の漫画欄に、こんなおもしろいものが載っていました。( by Glenn McCoy )
国税局( IRS、Internal Revenue Service )のオフィスに出向き、こんな言い訳をしている男性がいます。
「僕の犬が、僕の税金(申告)を食べちゃった( My dog ate my taxes )」
そして、隣の席には、ゲップ( burp )をしている犬。
実は、これは、ある有名なフレーズのパクリなのですね。
「僕の犬が、僕の宿題を食べちゃった( My dog ate my homework )」
そうなんです、これは子供が学校の先生に言い訳をする常套句。まあ、いまどきこんなことを言う子供はいないとは思いますが、とにかく、子供の言い訳の中では有名なものですね。
夏時間から話が大きく逸れてしまいましたが、とにかく「 Spring forward, fall back (春には進めて、秋には遅らせる)」。これが、夏時間のやり方を覚えておく言い回しです。
3月の夏時間開始直前には、日の出が午前6時半、日の入りが午後6時でした。今では(今日現在)、同じ日の出時刻で、日没が7時45分となっているので、ずいぶんと遅くまで明るいのです。
だから、ついつい晩御飯が遅くなってしまって、夜更かしが悪化してしまうのです。
おまけ:物事を先延ばしにするアメリカ人が多いというお話をいたしましたが、新聞におもしろい予測統計が載っていました。今年、4月15日の税金締切日までに国税局に確定申告する人たちのうち、実に2割近く(18パーセント)が最後の1週間に集中して申告するだろうというもの。
それだけではなく、締め切り日には到底間に合わないので、1千万人が延長申請をするだろうということでした。
そうそう、だから、こんな風景は毎年恒例のものとなっているのですね。4月15日には、郵便局の外の道端に郵便局員が出てきて、車の中から申告書の封筒を受け取っている図。さしずめ、税金申告のドライブスルーですね!