ハウステンボス 光の祭典
11月中旬、母とふたりでハウステンボスに出かけました。
ハウステンボスは、長崎県の北部にあって、住所は佐世保(させぼ)市。
県南の長崎市からは、シーサイドライナーという各駅停車で1時間半の場所にあります。
ハウステンボスは、海を望む運河沿いの遊園施設ですが、ここへ向かう JR線も、海沿いを走ります。11月とは思えない穏やかな天気と海の色で、列車の中からもパチパチと写真を撮りました。
なんでも、中間地点にある千綿(ちわた)駅は、ホームの真正面に海を望み、地元の方々の応援でリフォームした駅舎では、カフェでお茶を飲んだり、地元米のおにぎりを食べたりと、のんびりできるようになっているとか。
わたしたちは途中下車しなかったですが、次回はぜひ、穏やかな大村湾に落ちる夕日を楽しみたいものです。
それで、目的地ハウステンボスは、とにかく大きな施設なので、歩く覚悟は必要でしょうか。
どちらかと言うとティーンエージャーに喜ばれそうな「スリラーシティー」や、子供たちが大好きな「アドベンチャーパーク」、それにバンジージャンプやワイヤーロープの滑降と、いろんなアトラクションがありますが、母とふたりの道行きは、落ち着いた街並みの散策となりました。
どの街角も美しく整備され、見学者の少ない平日、ゆったりとした道路を「ひとりじめ」した気分。
そうそう、このレンガ敷きの道路がまた凝っていて、単なる「レンガ敷き」ではないんですよ。斜めに互い違いにレンガを敷く工法を「ヘリンボーン」と言いますが、まあ、このヘリンボーン様式が多用されていること!
言うまでもなく、こちらは時間がかかる工法で、道路に対する「こだわり」にも感心します。園内にちりばめられる美しい建物とは、しっくりとマッチするのです。
そして、光の祭典。
正直に申しますと、訪れる前は、まったく期待していなかったんです。と言うよりも、「光のアート」がオススメだとは知らなかったので、ホテルにチェックインしてからは、お部屋でのんびりとリラックス。
それが、ディナー前のひととき、散歩に出てみて、もうびっくり!
ホテルから運河沿いを散策すると、色とりどりの「光の塊」が見えてきて、そちらに足を向けると、突然、頭の上から降ってくる光の流れ!
これが、『光の滝』と名づけられる、巨大な光の洪水。
いえ、こればっかりは、実際に見てみないと、迫力をお伝えすることはできません。
色が七変幻するだけではなく、背景には映像が現れては消え、あっ、と気がつくと、金色の龍が高い塔へ駆け上る、という演出です。
塔のまわりは、光の野原。歩道には、光の藤棚。運河には、刻々と変化するライトアップと噴水。
花と光、水と光の演出は、寒さが身にしみるまで、ずっと見ていたい光景です。そう、アメリカの「ストレートな」ライトアップとは違って、微妙なパステルカラーも魅力でしょうか。
ディナーを楽しんでいると、母の座席からは、ライトアップされた運河を通るクルーザーが見えたそうですが、船が通るたびに「あ、また通った!」と声を上げる母が、まるで子供のようではありました。
それほど、光というものは、人の心をひきつける力がありますよね。
この旅では、母に美味しいフレンチを! と、そればかり気にかけていましたが、思わぬところで喜んでもらったみたいです。
後日、母にフォトアルバムを作ろうと写真屋さんに行くと、『ハウステンボス』というタイトルを見て「あら、これって日本ですか? 外国かと思った」とおっしゃる店員さん。
そうなんです、外国旅行が大好きな母も、今は時間的な制約があって、国内が限度。けれども、「命の洗濯をした」と言ってくれたので、ハウステンボスの光の祭典は「当たり」だったのかもしれません。
いえ、べつにハウステンボスの宣伝をしているわけではありませんが、入り口の「おもてなし」も、気に入ったのでした。
出迎えてくれたマスコットの「ちゅーりーちゃん」をカメラに収めようと、「もう一度お願い!」とジェスチャーでおねだりしたら、ピッと右足を出して、あいさつしてくれました。
なんでも、右足をピッと出すのが、彼女の得意技なんだとか。
普段は、「日本の『ゆるキャラ』ってなぁに?」と不思議がっていたのですが、かなり喜んでいる自分に気がついたのでした。