ワンちゃんの年
新しい年が明けて、もうひと月が過ぎ去ろうとしています。
時がたつのは、ほんとに早いものですね。
今年は「戌年」、ワンちゃんの年。
まずは、我が家のあるサンノゼ市で見かけた、こちらの光景をご紹介いたしましょう。
あれ、ワンちゃんが運転席に座ってる!
もしかして、運転しようと座席に陣取ってるの?
と思えるほど、このワンちゃんって賢そうではありませんか?
わたしがカメラを向けると(それとも連れ合いが「ワン!」と声をかけたら?)こちらを振り向いてくれたワンちゃん。
「なにさ、僕が車を運転したら悪いの? 僕だって上手なんだよ」と言いたげな、涼しい顔をしています。
「いえ、べつに悪くはないんですけれど、お手々をちゃんとハンドルにかけられますか?」
と、返事してあげたくなるような、自信たっぷりのワンちゃんでした。
でも、やっぱり人間みたいに器用な10本のお指がなければ、運転は難しいでしょうか。
和名は、ヒゲガラ。
わたしが愛用している日記帳の裏表紙を飾る、「根性の」小鳥さんです。
両足をふんばって、しっかりと植物の茎にしがみついている様が、ちょっとやそっとでは物事をあきらめない、意志の強さを感じませんか?
「う~ん、なんだかズリズリと落っこちそうなんだけど、まだまだ頑張るぞー」と、心の中で自分を励ましているところかもしれません。
こちらは、毎年わたしが購入している「オーデュボン・ソサエティー(Audubon Society)」という愛鳥自然保護団体が出す日記帳。さすがに愛鳥家向けだけあって、小鳥さんの写真や生き物の住む美しい風景が週ごとに満載です。
今年の裏表紙は、こちらの「がんばる」小鳥さん。
勇ましい姿で、賑々しく裏表紙を飾っています。
連れ合いに言わせると、「そんなに無理しなくていいのにね・・・」。
と、楽に生きることをお勧めしていましたが、世の中、時には歯を食いしばって頑張らなければならないこともあるのです!
そして、こちらは、(母の命日となった)1月15日の週を飾る小鳥さん。
和名は、ヨーロッパコマドリ。
この表情を見るなり、「なるほど、彼は会議に出席してるんだね。会議で自分の思うところをはっきりと主張している場面だね」と、連れ合いが言うのです。
なんでも、この小鳥さんは、自身が信ずるところをしっかりと心の底に抱いていて、それをうまく表現するすべも知っている、とのこと。
自分の意見に自信があるから、主張にも力が入っていて、だからこそ聞いているみんなをうまく説得できるんだそうです。
なるほど、人が自分の声に耳を貸してくれるには、少なからず自信がこもってなければならない、ということでしょうか。
きっとそれは、小鳥さんの世界も、人間の世界も同じことなんでしょう。
(Photo of Bearded Tit by Ernst Dirksen / Minden Pictures; photo of European Robin by George Reszeter / Ardea.com, both from Audubon Birder’s Engagement Calendar 2018)
ところで、「ワンちゃん」と言えば、ふと神社の狛犬を思い出しました。
小さい頃は、とにかくワンちゃんが怖かったんですが、それは、神社の境内でワンちゃんに追っかけられことがあるから。
そんなイヤな体験から神社の狛犬を連想したこともありますが、母が住んでいた街には立派な神社があって、そこには、ちょっと怖い顔の狛犬が何匹もにらみをきかせているんです。
狛犬というのは、神社を守る獅子(ライオン)や有角の犬のことだそうですが、こちらは、願いをかなえてくれるという「願掛け狛犬」。
こんな怖い顔で、何かをかなえてくれるのかなぁ? と失礼なことを考えてしまうのですが、こちらの狛犬の由来は、江戸時代の遊郭だそうな。
なんでも、遊郭の遊女さんたちが、立ち寄った船員さんたちが、翌朝に海が荒れてもう一泊していってくれますように、と狛犬を海の方向に向けて願を掛けていらっしゃったとか。
なんとも港街らしい習慣ですが、こちらの狛犬さんは、狛犬にしては珍しく、土台がクルクルと回るようになっています。
そう、お犬さんを回しながら願を掛けると、願いがかなうらしいんですが、わたしが願ったのは、
どうか、みなさんが幸せになりますように。
とくに誰かを念頭に置いたわけではないんですが、自然とそんな言葉が頭に浮かんできたのでした。
というわけで、今年はワンちゃんの年。
冒頭に出てきた運転席のワンちゃんのように、臨機応変に物事に対応して、
「がんばる小鳥さん」のように、何事もあきらめない根性を持って、
「会議中の小鳥さん」みたいに、自分の信ずるところを心に抱いて、自信たっぷりに生きてみたいものですね!