Essay エッセイ
2019年09月10日

今週と来週は「回文」です!

<エッセイ その178>



いえ、たいしたお話ではないんです。



「回文(かいぶん)」という言葉はお聞きになったことがありますよね。



前から読んでも、後ろから読んでも、同じ文字が並んでいる文章のこと。



たとえば、日本でよく耳にする回文には、「わたし、負けましたわ」というのがあります。そう、前から読んでも、後ろから読んでも同じ響きですよね。



英語で有名なものには、「Madam, I’m Adam(マダム、わたしはアダムといいます)」というのがあるそうです。やっぱり、前から読んでも、後ろから読んでも同じアルファベットの並びになっています。



なんでも、「回文」というのは文章だけに当てはまるものではなく、数字にも当てはまるそうです。前から見ても、後ろから見ても、同じ数字が並んでいる状態です。



この数字の回文が、今週と来週に起きるそうです!



日付が回文となるんですが、9月10日から9月19日まで、10日間続くのです。



あれ? と思われた方もいらっしゃるでしょうが、米語では日付はこんな風になります。



たとえば 9月10日だったら、9 1 0 1 9



アメリカでは日付は、 月(month)日(day)年(year)という順番で書くのが一般的ですので、2019年9月10日を数字で表すと、9-10-2019 という風になります。



ここで西暦は、最初の2桁を省略して書くのが一般的ですので、「20」をはしょって 9-10-19



そんなわけで、9月10日から9月19日までは、このようになりますよね。



9 1 0 1 9

9 1 1 1 9

9 1 2 1 9

9 1 3 1 9

9 1 4 1 9

9 1 5 1 9

9 1 6 1 9

9 1 7 1 9

9 1 8 1 9

9 1 9 1 9



そう、前から見ても、後ろから見ても、同じ順番で数字が並んでいます。 ですから、「回文ファン」の間では、今週と来週は喜ばしい週なんだそうです。




わたし自身は、この現象を前夜のローカルニュースで初めて知ったくらいですし、「Palindrome(回文、発音は「パリンドゥロウム)」という言葉も初めて耳にしたように思います。



なんでも、日付の回文は Palindrome Day(回文の日)といい、今週と来週のように週の日付が続けて回文になるのは Palindrome Week(回文週間)と呼ばれるそうです。



回文週間は、意外とたくさん起きていて、たとえば2011年も恵まれた年だったとか。



1月10日から1月19日は、やはりこんな感じ。



1 1 0 1 1

1 1 1 1 1

1 1 2 1 1

1 1 3 1 1

1 1 4 1 1

1 1 5 1 1

1 1 6 1 1

1 1 7 1 1

1 1 8 1 1

1 1 9 1 1



このように「1」が続くと、すっきりとして美しいですよね。



そして、同じような回文週間は、2012年2月10日から19日にも起きています。



2 1 0 1 2 〜 2 1 9 1 2



それ以降、同じ具合に 2013年3月、2014年4月、2015年5月、2016年6月、2017年7月、2018年8月と起きています。



たとえば、2018年8月なら、8 1 0 1 8 〜 8 1 9 1 8 といった具合に。



この現象が、今月の2019年9月にも10日間続けて起きている、というわけです。




一方、西暦を4桁で表すとなると、こちらはちょっと珍しい現象になります。



「Time and date」というウェブサイトによると、今世紀(2001年〜2100年)最初の「回文の日」は、2001年10月2日だったとか。



1 0 0 2 2 0 0 1



同様に、2010年1月2日や2011年11月2日にも回文が起きていたんですね(月日を2桁ずつ、西暦を4桁で表した場合)。



0 1 0 2 2 0 1 0

1 1 0 2 2 0 1 1



そして、今世紀最後の「回文の日」となるのは、2090年9月2日だそうです。



0 9 0 2 2 0 9 0



それから、月を1桁で表してみると、2014年4月10日や2015年5月10日も「回文の日」となるようです。



4 1 0 2 0 1 4

5 1 0 2 0 1 5



こういった日付は、もちろんアメリカ式に読んだ場合ですが、「日、月、西暦」という順番に並べるのが一般的なヨーロッパでは、このように読み換えることもできますよね。



4 1 0 2 0 1 4 は、2014年10月4日

5 1 0 2 0 1 5 は、2015年10月5日



ですから、ヨーロッパでも、日付は違うけれど立派に「回文の日」だったというわけです。



ちなみに、西暦を最初に書く日本式の場合は、2001年10月2日が「回文の日」だったようですね。



2 0 0 1 1 0 0 2



お暇がありましたら、いろいろと他の日付も考えてみてくださいませ。




というわけで、今週と来週は「回文週間」ですが、今週の金曜は「13日の金曜日(Friday the 13th)」でもあります。



しかも、オレンジ色に輝く満月「収穫の月(Harvest Moon)」も見られるとか。



「収穫の月」というのは、9月の秋分の日(Autumnal Equinox)近くに起きる満月のことですが、日没後すぐに上がってきた月は赤みを帯びていて、昔はこれで麦やカボチャの収穫期を知ったといわれます。ですから、「収穫の月」と呼ばれます。(Photo from the Old Farmer’s Almanac)



なんでも「13日の金曜日」と「収穫の月」が同時に起きるのは、2000年10月以来初めてのことなんだそうです。



そして、次は 2049年8月まで起きないとか!



ですから、今年の13日の金曜日は、赤っぽい月を楽しめる、貴重な晩となるのです。



今週は、9月11日という悲劇の一日もありますが、「わ〜い、回文の週だ! 13日の金曜日だぁ!」と単純に喜べるような、平和の日々が続けばいいなと願っております。



追記: 

以前、「Friday the 13th(13日の金曜日)」と題して、英語のお話を書いたことがありました。

どちらかというと、英語よりもギリシャ語のレッスンみたいですが、興味をお持ちのようでしたら、ちょっと覗いてみてくださいませ。




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