感謝祭の七面鳥
やっぱり、感謝祭は七面鳥!
でも、今までは、お友達の家にお呼ばれしたり、お気に入りのレストランに食べに行ったりしていたので、自分で焼いたことがないのです。
そこで、今年は、一念発起。我が家で七面鳥に初挑戦!
と言っても、七面鳥なんて、勝手がまったくわからない。いったいいつ買ったらいいのでしょう?近くのスーパーで聞いてみると、半冷凍のものを1週間くらい前に買って、感謝祭直前の火曜日に、冷蔵庫で解凍を始めたらいいとのこと。
次の問題は、七面鳥の大きさ。「いったい何人分が必要なの?(How many people are you feeding?)」とは、お肉屋さんの最初の質問です。ほとんどの七面鳥は、10人前ほどを想定しているので、とっても大きい。だから、小さいものは、すぐに売り切れるんです。「早く買わないと、なくなるよ!」との仰せに、あわてて買ってみました。
買った七面鳥は、10ポンド(4.5キロ)。そんなに馬鹿でかくはありません。鶏のひとまわり大きい感じで、日本人の家庭でも大丈夫。
感謝祭の食卓は、こんなものが定番です。主役は勿論、七面鳥の丸焼き(roasted turkey)。七面鳥の切り身の上には、グレイビーソース。そして、脇に添えられるのは、スタッフィング、マッシュポテト、真っ赤なクランベリーソース。
脇役としては、まず、ジューシーなハムのかたまり。それから、いんげんのキャセロール、甘いお芋のキャセロール、とうもろこし、サラダ、ロールパン、などなど。
そして、忘れていけないのが、デザート。シナモンと生姜がピリッときいたパンプキンパイは、往年の一番人気なのです。
地方や家々によって、いろんな伝統はあるようですが、誰でも自分の「大好きなレシピ」を持っているものなのです。「うちのお袋のように作ってよ」と、奥さんにおねだりする旦那さんもいるようで、やっぱり、お袋の味は、いくつになっても忘れられないものですね。
こんな伝統派に対し、近頃は、新手のものも登場です。その名も、「七面鳥の丸揚げ(deep frying turkey)」。もともとは南部の伝統的な料理法だったのですが、いつしか、全米で楽しまれるようになりました。
普通はオーブンで長時間かけて丸焼きにするかわりに、油で丸揚げにするのです。数時間もかかる丸焼きに対し、丸揚げは1時間弱でできあがるそうなので、そのお手頃さと、揚げ物の「こってり味」が喜ばれているようです。
そして、今年の話題は、なんと言っても「ターダッキン(Turducken)」!
七面鳥(Turkey)の「Tur」、鴨(duck)の「duc」、それから鶏(chicken)の「~ken」を繋げた造語です。
その不思議な名前の通り、骨を取った鶏を鴨で巻き、その上を七面鳥で巻くのです。間にいろんなハーブも入れ込み、その「太巻き」みたいな完成品は、なかなかの美味だとか。
感謝祭の夕方、どこかにお呼ばれすることがあったら、ペコペコで行ってはいけませんよ。かえって、たくさん食べられなくなるんだそうな。だから、理想的なのは、果物か何かを軽くお腹に入れておくことだそうです。
それから、感謝祭には、こんな話も付き物です。あまりに一生懸命に料理を作ろうとしたあまり、キッチンの排水管が詰まってしまって、さあ大変。配管屋さんを呼ばないといけなくなって、感謝祭のディナーを翌日に延期する羽目にも。
アメリカの家では、生ごみを処理するディスポーザーが一般的なのですが、これには許容範囲があって、お芋の皮みたいな硬い物は、流さない方が無難なのです。それを忘れてしまったら、さあ大変。
なんとなく、日頃、自分でお料理をしてないのがバレてますよね。感謝祭は、配管屋さんの最も忙しい一日なのだとか。
ところで、我が家の七面鳥。6時半にはできる予定が、できあがったのは9時。
焼く時間は、摂氏160度で、1ポンドに付き18分のお決まり。だから、10ポンドの場合は、3時間のはず。でも、なぜだか温度が低すぎて、結局、6時間もかかりました。温度センサーが壊れていたのか、それとも、旧式のオーブンのせいでしょうか。
おまけに、食べ終わって、変なことに気が付いたのです。どうも焼けた七面鳥のお皿の上に、血が落ちているなと思ったら、首の部分に、ビニールに包まれた内臓が隠されていました!
いえいえ、手落ちではありません。七面鳥の心臓や肝臓の臓物(giblets)は、肉に添えるスタッフィングの味付け用スープに使うのです。だから、ごていねいに、ビニールに包んで肉の中に詰めてあったのですね。
でも、そんなの、教えてくれなきゃわかんないよ!
まあ、そんなハプニングはありましたが、我が家の七面鳥、なかなかの美味でしたよ。やっぱり、シエラネヴァダ山脈のふもとでのんびりと過ごした七面鳥は、お味もよろしくお育ちになっているようです。
追記:感謝祭のディナーのお楽しみは、残り物の七面鳥にもあります。残飯整理の得意な連れ合いは、さっそくその手腕を振るってくれました。
まずは、七面鳥のピカタ。淡白な白身の部分を使い、ピカタにはぴったり合っていました。グレイビーソースでも、ケチャップでもいいコンビです。
お次は、七面鳥のクリームソース・スパゲッティ。七面鳥の深い味が出ていて、マッシュルーム入りのクリーミーなソースにぴったりです。
やっぱり、一番のヒット作は、七面鳥のスープ。身を粗方取り除いた骨を、一日中コトコトと煮てスープにしました。それに、セロリやニンジン、マカロニを入れて煮込み、最後に、色付けにチャイブ(アサツキ)を散らします。
ついでに、初挑戦でわたしの自信作となった、七面鳥のスタッフィングのレシピをどうぞ。色取りが悪くて、見た目はいまいちですが、なかなかおいしかったですよ。
以前は、七面鳥のお腹の中に入れてお出ししていたスタッフィング(stuffing)ですが、今では食の安全性を考え、別々に料理し、脇に添えるルールに変わりました。
<材料>
フランスパンひとつ、1センチ角に切る
細切れにした胡桃、1カップ
みじん切りの玉ねぎとセロリ、2カップ
バター、2分の1本
青リンゴひとつ、細かく切って
干しブドウ、1カップ
グリーンオリーブ、5個から10個を細切れに
七面鳥の臓物から取ったスープ、1カップ(なければ、市販のチキンスープで代用)
セージ少々
家禽用調味料少々(Poultry seasoning と呼ばれる鶏や七面鳥用の調味料で、バジル、ローズマリー、セージ、マージョラム、タイム、オレガノの混ざったもの)
塩・コショウ少々
<作り方>
1.まず、鍋にバター少々を入れ、フランスパンをこんがりと炒めます。
2.別の鍋で、玉ねぎとセロリを炒め、その中に、パンと残りの材料を入れます。
3.スープを入れたところで、蓋をして煮込みます。スープは適宜足し、しっとりとやわらかくなるまで煮ます。
4.味付けは、お好みで適宜(スープの塩気と、干しブドウの甘味がいいバランス
となっています)。
出展:Simply Recipes という楽しいサイトです。