春、笑う
みなさま、その後、いかがお過ごしでしょうか。
まるで、お手紙の始まりのようですが、その後、日本のお天気はいかがなものでしょうか。
わたしが3月中旬まで3週間ほど滞在していたとき、東京はまるで冬が戻ったようなお天気でした。風は冷たいし、お日様は顔を出さないし。
3月6日の啓蟄(けいちつ)の日。虫たちも、モソモソと土の中から這い出る季節ですが、あの寒さに、みんな土の中に舞い戻ったのではないかと思っていました。
うつろう季節に、自然も人間もちょっと戸惑い気味なのでした。
けれども、もう4月。東京のソメイヨシノも満開を過ぎたと聞きます。さすがにもう今は、春の陽気を楽しめる頃でしょうか。
そういえば、今年は開花予想を間違ったと、気象庁が大目玉でしたね。桜がいったいいつ花開いてくれるのか、国を挙げての一大事なのです。
さて、表題の「春、笑う」。
これは、六本木ヒルズで見かけた、春のキャンペーン・フレーズです。なんとなく、うまいなぁと思いながら、ヒルズのあちらこちらで眺めておりました。
もともとは、「山笑う」から来ているのでしょうね。
山笑う。これは、春の季語ですね。山の木々が芽吹き、山全体に活気が戻る。そんな時期を表しています。
山を使った季語でいうと、夏は、山滴る(したたる)。秋は、山粧う(よそおう)。冬は、山眠る。
日本の季語は美しいですよね。そうそう、一度暖かくなって、寒が戻ることを「冴返る(さえかえる)」というそうですよ。
桜が咲く頃に、また寒くなることを「花冷え」ともいいますね。満開の中、名残り雪もちらついたと聞きますが、ほんとに花冷えという言葉のとおりでしたね。
さて、花冷えの日本と違って、北カリフォルニアは、まさに春満開です。
日本よりも季節の進みが早いのか、我が家の八重桜は、3月中旬に咲き始め、4月を迎える頃には満開となりました。
ぽってりとした、おいしそうな八重桜を見ていると、いつも桜餅が食べたくなるのです。そう、「桜餅」も立派な春の季語。去年の今頃は、京都の「都をどり」の会場で、開幕前の和菓子をいただいておりました。
そんな八重桜のとなりでは、早々とツツジが咲き誇っています。
ちょっと花の順番が違う・・・と思うのですが、この辺では、これが順番なんでしょうね。なんでも競い合うように一斉に咲く!
花の咲く頃、いつもは、まだまだ雨季のはずなのに、今年は雨が少ないです。
それでも、山は緑。一年で一番美しい季節です。
木々の若い緑を見上げるごとに、生命のいぶきを感じる。そんな新たなスタートの季節なのです。