車でプッツン
ご存じ、車社会のアメリカ。どこへ行くにも、まず、車のキーを持ってお出かけです。
健康に悪いなぁと思いながらも、わたしなども、車がなければ、りんご一個も買えません。
そんな社会ですので、当然、街中は車で混雑します。とくに人口密度が高いサンフランシスコ・ベイエリアでは、朝夕の通勤ラッシュ時は勿論のこと、日中でも道路がガラガラになることはまずありません。
おまけに、近頃は、まわりにどんどん車が増えているような・・・
そうなってくると、みんなちょっとした事でイライラがつのります。
そして、それが原因で起こった「road rage (車でプッツン)」の話を、近頃、立て続けに耳にします。
わざと車をぶつけたり、ひどい場合は、先回りして、相手を銃で撃ったり・・・
こういうとき、銃社会の恐ろしさを、まざまざと見せつけられるのです。
そこで、シリコンバレーの新聞、サンノゼ・マーキュリー紙が調査をしました。「運転していて、あなたは何が一番頭にくる?」
栄えある第1位は、フリーウェイに乗るとき、合流が下手な人(写真では、右端が合流車線)。
まず、こちらがいるのがわかっているのに、ブンブンと合流して来るヤツ。こういうのは、事故がいつ起きてもおかしくない。
逆に、ノロノロと合流するヤツ。こちらがブレーキをかけなくちゃいけなくなるし、後続の車にもミニ渋滞が起きてしまう。迷惑千万!
まあ、気持ちはよ~くわかります。車の合流は、強引でも、臆病でも危ないのです。
でも、わたしはこう思うのです。フリーウェイで一番右側(遅い車線)を走っているならば、一般道路から合流があるってわかってるわけでしょ?だったら、仲良く入れてあげるか、さもなければ、左の車線にちょっと移動してあげたらどうでしょう。
勿論、フリーウェイを走っている人が優先権(the right of way)を持ってはいます。でも、合流する車が見えたら、少しは気を使ってあげればいいのに・・・アメリカ人って、こういうところに配慮がちょっと足りないんですよね。どうしても、我先に進もうとする。
惜しくも1位は逃したものの、「頭にくるトップ10」第2位に挙げられたのは、フリーウェイの追い越し車線をノロノロ走る人。
こういうドライバーを「道路の岩(road boulders)」と呼ぶ人もいるそうですが、確かに、追い越し車線(一番左側)で、頑固に動こうとしない人は多いですね。後ろからあおられようが、パッシングされようが、動かざるごと、山のごとし。
いや、カリフォルニアの大方のフリーウェイは、時速65マイル(104キロ)が制限速度ですよ。でも、10マイルオーバーの75マイル(120キロ)までは、だいたいOKなんです。それをノロノロと60マイルで走られ、しかも、隣の車線と同期して道をふさがれるとなると、こっちは行き場がなくなってしまう。
(あの、75マイルがOKとは、あくまでもたとえ話ですよ。でも、時速何マイルであろうと、車の流れに乗ることは大事ですよね。交通法規にも、そう書いてあります。)
実は、このノロノロ運転というのは、安全なようで、危険きわまりないのですね。「車でプッツン」の原因の最たるものが、このノロノロ運転の間近の割り込み(cut off)なんです。
突然、目の前に割り込まれて頭にきている上に、前でノロノロ走られ、更に激昂する。これが危険のパターンなんです。フリーウェイばかりでなく、一般道路でもそうなのですが、割り込まれた方はこう叫んでいるのです。
「俺の前でノロノロ走るな!」
まあ、スピード違反で捕まるのは、自業自得。だから、速く走りたい人には、走らせておいた方が、安全なんですよね。そう、触らぬ神にたたりなし。
さて、「頭にくるトップ10」の第5位に挙げられたのは、後ろからあおられること(tailgate、テールゲート)。
実は、これも、「ノロノロ運転の割り込み」と同じくらい、プッツンを引き起こす要因なのですね。
展開はこうなのです。後ろからガンガンとあおるドライバー。それに怒った前のドライバーが、急ブレーキをかける。すると、ぶつかりそうになった後ろのドライバーが、さらに怒り狂う。
こういう嫌がらせの応酬を、連れ合いが実際に見たことがあるのです。場所は、通勤時のフリーウェイ101号線。シリコンバレーを縦断する幹線道路で、混雑(traffic jam)の名所です。
若そうなドライバーが前後して、抜きつ抜かれつ応酬のスタントを繰り返す。仕舞いには、怒りは頂点に達し、後ろからわざと追突・・・(いえ、ほんとに追突したんです)
まあ、こういうのは日常茶飯事だそうですが、そこまでいかなくても、アメリカ人を後ろからあおるのは考え物ですね。だって、嫌がらせに、フロントガラスのワイパーを動かし、洗浄液をひっかけてくる人もいますから。
逆にこちらがあおられたら、間違っても、急ブレーキを踏んで嫌がらせをしてはいけませんよ。後ろは、どんなヤツだかわかりませんからね。
そういう場合は、おとなしく右側の車線に移動するのが無難ですね。
ところで、わたしの「頭にくるトップ10」第1位は、何といっても、これです。
車線変更しようと、こちらが礼儀正しく合図しているのに、わざと車間距離をググッと詰めるヤツ。アメリカ人の9割がこのタイプですね。
あのねぇ、一台入れたからって、目的地に着くのが遅れるわけじゃないでしょ。
もうちょっと、おおらかに運転してほしいものですね。
追記:ちなみに、上でご紹介しなかった「頭にくるトップ10」は、以下の通りです。
第3位:運転中にケータイで話す人(確かに、異常に遅いカタツムリ運転は、大部分がこれですよね。完全に話に気を取られている。そうそう、来年7月以降、カリフォルニアでは「ハンズフリー」の法律が施行されますよ。)
第4位:ダイヤモンドレーンでズルをする人(以前、『ダイヤモンドレーンには気をつけて』でご紹介いたしました。ひとりでこの車線を運転すると違反なのです。)
第6位:雨が降っているのに、ヘッドライトを点けない人(カリフォルニアでは、雨でワイパーを動かしたら、同時にヘッドライトを点けるのが法律なのです。)
第7位:スピード違反(これはもう、万国共通ですね。)
第8位:方向指示灯を使わない人(アメリカ人は、ほんとにこれが多いです。思うがまま、好き勝手に運転している・・・これをやると、とくに右折(日本の左折)のとき、オートバイや自転車を巻き込む恐れがありますよね。)
第9位:赤信号で右折するとき、ちゃんと停止しない人(カリフォルニアでは、赤信号の右折進行はOKですが、このとき、一旦停止するのが原則なんです。まあ、当たり前のことなんですけど・・・)
第10位:法律を無視する歩行者や自転車愛用者(勿論、歩行者が横断歩道でない場所で道路を渡るのは違反ではありますが、サンノゼ市でこれをやると、警察に違反チケットを切られるのです。こういう違反を jaywalking と言いますね。)
つい先日、こういう光景を見かけました。自転車を運転しながら、「Fxxx you!」と、追い越して行った車に向かって中指を立てている男性。きっと危うく接触しそうになったのでしょうね。
車に比べると、自転車も歩行者も吹けば飛ぶような存在です。車の方が大きな顔をするのは、どこの国にしても間違いだと思うのです。