2月の祭り:スーパーボウルのファンイベント
スーパーボウル(Super Bowl)は、アメリカンフットボールのチャンピオンを決める、全米最大のスポーツイベント。
やっぱり、アメフトの人気は絶大なものがありますので、毎年2月初めに開かれるスーパーボウルは、お祭り騒ぎとなるのです。
自分の街が開催地でなくても、友達を招いて自宅で観戦パーティーを開いたり、仲間とスポーツバーで観戦したりと、スーパーボウルの日曜日は、みなさんウキウキ、ドキドキ。
その一大イベントが、サンフランシスコ・ベイエリアにやってきたので、もう、大騒ぎとなりました。
なにせ、ベイエリアは、過去に一回しかスーパーボウル開催の経験がありません。しかも、今回は、「スーパーボウル50回目(Super Bowl 50)」と記念すべき大会。
ですから、「世界じゅうからお客様を招きながら、恥をかいてはいけない!」と、準備にもかなり慎重なのでした。
試合が開かれるのは、シリコンバレー・サンタクララ市にある、サンフランシスコ 49ers(フォーティーナイナーズ)のホームグラウンド、Levi’s(リーヴァイス)スタジアム。
一昨年にできたばかりの新しいホームグラウンドです。
けれども、ファンの方々を楽しませるイベント会場は、そのほとんどがサンフランシスコ市内につくられました。
やはり、サンフランシスコは、ずっと 49ersの地元でしたし、観光で訪問される方も多いので、「おもてなし」に慣れていることもあるのでしょう。
サンフランシスコの街では、たえず何かしらのイベントがあるので、警備にも慣れているし、大人数のお客様にも慣れているのです。
そんなわけで、一番大きなファンイベント会場「スーパーボウル・シティー」は、海沿いのフェリービル周辺につくられました。
ここは、入場無料なので、試合一週間前のオープンから、連日たくさんのファンたちが集いました。
会場にはスポンサー企業のブースやビールスタンドが並んだり、ちょっとしたゲームコーナーがあったり、大小二つあるステージでは、たくさんの無料コンサートが開かたりと、一大イベントの雰囲気を味わおうとファンたちが押し寄せました。
なにせ、試合前日の夜には、有名なシンガーソングライター、アリシア・キーズさんの無料コンサート(!)が開かれるとあって、この土曜日は、午後3時には一旦ゲートを閉めなくてはならないほどファンが殺到した、と報道されました(わたしも行きたかったのですが、行かなくてよかったかも・・・と、会場の映像を見ていました)。
一方、試合が開かれるスタジアムの周辺も、かなり大変だったとか。
スタジアムのまわりは静かな住宅街で、大きな道路を隔ててオフィスも立ち並ぶ地域ですが、周辺道路は閉鎖され、食べ物などの物資を運ぶトラックは、すべてトラック用のX線検査を受ける、という厳戒態勢。
生活道路が閉鎖されるのですから、住民は不便だったでしょうけれど、それよりも、空から警備をする軍のヘリコプターがうるさくてしょうがなかったそうです。
サンノゼの我が家の辺りでも、普段は見かけない(サンノゼ市警ではない)ヘリコプターを見かけましたが、ヘリコプターの羽音って、ほんとにうるさいですよね!
スタジアム周辺では、日に何回も飛び回るので、この騒音には閉口したようです。
スタジアム上空は「飛行禁止区域」になっていて、民間機やドローンは飛べませんが、プライベートジェットが4機「禁止ゾーン」に侵入したので、空軍の戦闘機が出動して追い払った、との連邦航空局の発表。
うち一機は、400キロも離れたサンルイスオビスポ(カリフォルニア州の真ん中)まで追い払われたそうですが、そこからどうやってベイエリアに戻ってきたのかはナゾのまま・・・。
試合の方は、AFCチャンピオンのデンヴァー・ブロンコスと、NFCチャンピオンのキャロライナ・パンサーズが戦いましたが、まあ、どちらも守り(ディフェンス)が異常に強くて、どちらかというと攻撃の歯が立たない、地味なゲーム展開だったでしょうか。
けれども、最終的には、ベテランQB(攻撃の司令塔となるクウォーターバック)ペイトン・マニング選手率いるブロンコスが競り勝って、チーム史上3度目のチャンピオンとなりました。
そんなわけで、ずっと大騒ぎしていたスーパーボウルが終わり、ようやく静けさが戻ったベイエリア。
ほんとは、地元の 49ers に地元で勝って欲しかった・・・というのが、ファンの正直な感想です。だって、1985年、スタンフォード大学スタジアムで開催されたときには、49ers が圧勝して、2度目のチャンピオンに輝いたのですから。
が、今シーズンは、初めっからダメなことはわかっていたので・・・。
代わりに、地元住民として「喜ばしい」ことと言えば、セレブが集う数々のパーティーで、地元の慈善団体のために1,300万ドル(約15億円)が寄付金として募られたことがあるでしょうか。
それから、身近なところでは、あちらこちらの落書きがペンキできれいに塗り直されたことと、幹線道路の「フリーウェイ101号線」が、サンフランシスコとサンタクララ間は美しくお掃除されたことでしょうか。
さすがに、「ゴミだらけ、落書きだらけ」と面目を失う(lose face)のは、許せなかったようですよ。
ま、普段は、車の窓からポイッとゴミを捨てる人も(車のナンバーが付きっぱなしのバンパーが落ちていることも)多いカリフォルニアですが、このときばかりは、「体面」が大事だったんでしょうねぇ。