雪の騒ぎは続きます
前回と前々回は、雪が降ったの降らないのと、シリコンバレーの大騒ぎのお話でした。実は、騒ぎはまだまだ続きます。
前々回ご紹介したように、2月中旬に一度、ハミルトン山に雪が積もったことはありましたが、全体的に2月は雨も少なく、暖冬だと言われていました。
ところが、3月に入り、いよいよ雨の日が増え、寒くなってきたのでした。
連日雨が続く3月10日、サンフランシスコ・ベイエリアは寒気にみまわれ、あちらこちらで雪が降り積もりました。
なんと、サンフランシスコ市内やサンタクルーズの海岸でも、積雪があったのです。雹(ひょう)が降った後、雪に変わったので、積もりやすい条件が重なったようです。
この何十年ぶりの自然の恵みに、サンフランシスコでは、そりに乗って名物の坂を滑り降り、歓声を上げる大人たちもいたようです。
シリコンバレーでも若干積もりましたが、これは厳密には雪ではなくて、「みぞれ」だったそうです(前回、サンノゼでは20年ちょっと前に雪が降ったと書きましたが、気象学的には、30年前の積雪が本物の雪だそうです)。
でも、そんな堅苦しい定義はお構いなしで、みんな珍しい雪景色に浮かれ立ちます。大人も雪だるまを作ったりして、思う存分楽しみます。
翌日の土曜日は、いいお天気となり、浮かれたみんなは雪を見にお出かけします。
前日は、シリコンバレーからサンタクルーズの海岸へ出る山越えの17号線が、雪のため通行止めになったり、サンフランシスコの南、サンマテオの一区間で、幹線道路のフリーウェイ280号線が通行止めになったりと、一日中交通が乱れました。
けれども、夜間には雪も止み、翌日は、さすがに大丈夫でした。そこまで底冷えはしない場所なのです。
我が家もこの日、雪を見にお出かけしました。まず、サンノゼから北上し、サラトガに向かいます。ここから西に向けて、9号線という道路でサンタクルーズ山脈の中に入っていきます。
森に囲まれながら、くねくねとした道路を登って行きます。途中、苔むした木々が目に留まり、その鮮明な緑に、思わず車を止めました。このあたりは、温度の変化で霧が発生しやすいので、木々にも苔が生えるのでしょう。
くねくね道路の途中では、脇の方に車を止め、雪合戦をしているカップルも見かけました。きっと雪なんか、ほとんど体験したことがないのでしょうね。
9号線が山の頂に到達すると、ここには南北に走る35号線が交差します。スカイライン・ブルバードとも呼ばれるこの道路を尾根伝いに北上すると、右手には一瞬視界が開ける場所があって、そこからは、シリコンバレーの北部とサンフランシスコ湾がよく見渡せるのです。そして、遠くには、雪を頂くディアブロ山脈が見えます。
ようやく雪が眺められたのに、ちょっと遠いので、ここからシリコンバレー方面へ、ペイジミル・ロードという道路で降下します。途中、誰かさんが車を止め、風景に見入っているので、こちらも真似をして、ここで写真を撮ってみます。なかなかいい写真になりました。シリコンバレーの名門、スタンフォード大学も望めます。
私が写真を撮っていると、来ました、来ました。同じように写真を撮りたがっている人が。最近は、アメリカ人もデジカメで写真を撮ることを覚えたようで、記念写真はアジア人の専売特許ではなくなってきているのです。
もっと近くで雪を望みたいからと、シリコンバレーに下りては来たものの、ここである事実に気が付きます。シリコンバレーにはあんまり高い建物はないけれど、それなりにビルが邪魔していて、遠くの山は途切れ途切れにしか見えないのです。
街の景観のためにとあちこちに植えられた緑も、育ちがとても良く、視界をさえぎります。
結局、山が一番よく見えるのは、フリーウェイの上でした。(途中、山に見とれ、前の車に突っ込みそうになりました。危ない、危ない!)
というわけで、雪の探索も終わり、無事に我が家の近所まで帰って来たわけですが、この日のハミルトン山は、もう真っ白。この前よりもずいぶんと積もっています。
それにしても、あちらこちらで桜が開花しているのに、今頃になって雪とは。
今年は、暖冬の後、厳しい寒さが戻る、おかしな気候なのです。