春の花、カリフォルニアにて
なんだか先週から、突然いい天気になってきました。それまでは、毎日雨が降り続き、降雨量の最高記録を作るかというほどでした。その長い雨季も、ようやく終わりを迎えたようです。
そうなると、そこはカリフォルニア。日差しは強く、一気に暖かくなります。5月下旬のメモリアルデー(戦没者追悼記念日)は、バーベキューシーズンの始まりなどといわれますが、もうすでにバーベキューを楽しんでもおかしくないお天気。
さて、前回のフォトギャラリーは、日本で撮ったお花の写真でしたので、ここでは、カリフォルニアの春の花を並べてみましょう。
まず、なんといっても、春はカリフォルニアポピー(California poppy)。学名はちょっと難しく、Eschscholzia californica といいます。
これは、カリフォルニアの州の花(the California state flower)でもあるのですね。なんでも、毎年4月6日は、「カリフォルニアポピーの日」とされているんだとか。
春になると、あちらこちらの草地で、鮮やかなオレンジ色のかたまりを見かけますが、これがカリフォルニアポピーなのです。いっぱい種類があるそうですが、よく見かけるのは、ツルツルと光沢のある、目の覚めるようなオレンジの花びらのものです。
見ているだけで、気持ちが晴れ晴れとするような、まさにカリフォルニアにふさわしい花です。
白人がやって来る前は、サンフランシスコの春の岬は、一面のオレンジ色だったそうです。今でも、雨季の名残の中で、凛と咲くオレンジの花びらを見つけると、カリフォルニア人は春を感じ、うきうきとしてくるのです。
次によく見かけるのは、やっぱり菜の花でしょうか。近頃は、シリコンバレーもだいぶ空き地が少なくなってきましたが、草地には、ポピーのオレンジか菜の花の黄色か、という賑々しい配色です。
韓国からやって来た友達は、自分が子供の頃は、オークランドヒルズで菜の花を摘んでは、お母さんが料理してくれたものだったと語っていました。中国料理でも、菜の花は重宝されていますね。
菜の花とよく一緒に咲いているのが、ルピナス(lupine)です。青紫がしおらしい、品のある花です。遊歩道を歩くと、必ず見かけます。「ルピナスさん」という絵本もありましたが、名前も姿もかわいい花です。
カリフォルニアは、桜の花も多いです。日本ほどではありませんが、たくさんの種類があります。
自宅の近くは、真っ白な花の桜を街路樹としていますが、今年は雨がいつまでも続いたせいで、花と葉っぱが一緒にお出ましです。きっと、いつ咲いていいのやら、調子が狂ったのでしょう。
我が家の中庭には、八重桜の「関山」です(と思います)。首都ワシントンのポトマック川沿いの桜並木は、この種類だそうです。
実は、もともと植木屋さんが植えた桜が気に入らなくて、これに植え替えてもらいました。だって、まるで葉っぱが梅干のシソみたいな色だったのです。「シソ桜」はカリフォルニアではよく見かけますが、日本人の美意識にはそぐわないのです。
近くの住宅街には、あずまやのまわりに、かわいいピンクの桜が並びます。よく見ると、花びらの先がとんがっていて、日本のものとはちょっと違います。
ここは遊歩道の終点で、花見をしながら、くつろげるようになっています。この場所でのスケボーは厳禁だそうで、違反した場合、市の罰金は千ドル(10万円以上)との看板が立っています。
小さくてよく見えませんが、写真の左上には、のんびりとプロペラ機が飛んでいます。
春は、道路の中央分離帯もきれいです。ここは、サンザシ(hawthorn)の一種を使っています。うちにも同じものがありますが、日当たりが悪いのか、あんまり育っていません。
正式な名称は、Raphiolepis indica ‘Pink Dancer’というそうですが、まさにピンク色のダンサーです。
我が家の庭には、ツツジ(azalea)が何種類かあります。昨年末に植えたツツジは、とにかく元気がよくて、真っ赤なボールみたいです。「ギラードのホットショット」という名前だそうですが、まさにその名の通りあでやかです。
中庭の隅っこには、紫がかったツツジがひっそりと花を咲かせます。いつも知らぬ間に花が散ってしまうので、たまには写真を撮ってあげました。これには、Formosaという名前が付いています。台湾の昔の名前です。原産地を指すのでしょうか。
鮮やかなピンクは、シャクナゲ(rhododendron)です。庭に咲いたからと、暖かな土曜日、友達が持ってきてくれたのです。冬の間はあんまりパッとしないので、もう少しで切り倒すところだったとか。
シャクナゲと一緒に、「ユリ(lily)」の花も持ってきてくれました。彼女はユリだと言うけれど、アヤメかショウブではないでしょうか。わたしにはまったく区別など付きませんが、アヤメとハナショウブはアヤメ科で、ショウブはサトイモ科だそうですね。
どの種類にしても、我が家の宝、デビッド・リー画伯の絵によくマッチしています。彼は、中国から来た画家なのです。
自然をこよなく愛するカリフォルニア人。春の花を見つけては心を躍らせる、それは「西部気質」だと表現した人がいました。わたしもまさに同感です。