シリコンバレーのクリスマス
すみません、今頃になって、クリスマスのお話なんて。
でも、実は、ほんの数日前、お友達からクリスマスプレゼントをもらったばかりなんですよ。なかなか会えないから、こんなに遅くなってしまって・・・
というわけで、シリコンバレーのクリスマスを、ちょっとだけおすそ分けです。
まあ、シリコンバレーは北国ではないので、雪が積もることはありません。だから、ちょっと雰囲気に欠ける部分はありますが、それでも、クリスマスは、みんなが待ち望んでいる大事な季節なのです。
12月が近づいてくると、シリコンバレー最大のサンノゼ市では、ダウンタウンの公園に、クリスマスが登場します。
これは、「Christmas in the Park(公園のクリスマス)」と名付けられたもので、毎年、フェアモント・ホテルの真ん前にあるシーザー・シャヴィス公園に、盛大な飾り付けがなされるのです。
プロが製作した、大仕掛けの飾りのまわりには、学校の子供たちが、工夫をこらして作り上げたクリスマスツリーも並びます。公園の真ん中の大きなクリスマスツリーでは、11月下旬の金曜日、ライティングセレモニーが開かれます。
ここの目玉は、飾りだけではありません。冬の間、公園には、アイスリンクが登場します。まん丸のスケート場の中には、カリフォルニアらしく、椰子の木が並びます。椰子の木を眺めながらスケートなんて、きっと世界中でここだけかもしれませんね。
この公園には、シリコンバレーに限らず、サンフランシスコ・ベイエリア全体から、たくさんの人が足を運んで来ます。毎年の家族の行事になっているよ、といった話も耳にします。
どうしても、お買い物が優先してしまうアメリカのクリスマスシーズン。公園でスケートしたり、そぞろ歩きしたり、そっちの方が、よっぽど健康的ですよね!
一方、我が家は、静かなクリスマスです。でも、毎年、クリスマスツリーだけは飾っています。
アメリカでは、クリスマスツリーは、本物のもみの木を使う家庭が多いです。もみの木を選ぶのは楽しい行事だし、家に置いたとき、香りもとってもいいと言います。
でもわたしは、「木がかわいそう」と思うので、作り物のツリーを使っています。飾りをすると、偽物でもなかなか良く見えるんですよね。
カリフォルニアでは、だいたい、11月末の感謝祭(Thanksgiving)が終わると、クリスマスツリーを飾り始めます。
でも、東海岸出身のお向かいさんによると、それはダメだそうです。彼女は、勿論、正統の「もみの木派」なんですが、感謝祭のすぐあとに飾ると、木がカラカラに乾燥して枯れてしまうし、香りもすぐになくなってしまうとか。「だって、クリスマスの日にきれいに見えなきゃ、意味ないじゃない!」。
しかも、カリフォルニアでは、元日が過ぎると、さっさとクリスマスツリーを片付けてしまう。これもダメだそうです。
なんでも、クリスマスの日から1月5日の12日間は、「The Twelve Days of Christmas(クリスマスの12日)」と呼ばれ、クリスマスを祝う期間とされています。だから、この間は、クリスマスツリーを飾っておかないといけないとか。
翌日の1月6日は、「Epiphany(エピファニー、公現日)」と呼ばれ、東方の三賢人が、キリストの降誕を祝い、ベツレヘムを訪れた日。そういうクリスマスの最後を飾る、ありがたい日なので、その前夜までは、飾り付けを取ってはいけないそうです。
カリフォルニアの人間は、いったいにせっかちです。だから、自分たち独自の風習を生み出したのかもしれませんね。「さっさと飾り、さっさと取り払う!」と。
まあ、一般の家庭では、クリスマスツリーも屋外のライティングも、取り払うのはあんまり苦にならないでしょう。
けれども、クリスマスに情熱をかけている家庭もたくさんあるのです。そんな家では、飾り付ける方も、取り去る方も、同じくらい時間がかかるのかもしれませんね。
そんな大きな努力に報いるために、地元の新聞マーキュリー紙では、毎年、シリコンバレーの「ライティング・マップ」なるものを発行します。一般の家庭の飾り付けで、立派なところを紹介してあげるのです。
まあ、例年、同じような場所が挙げられているのですが、ときに、新しい発見もあります。
上に載せている最後の6枚がそうです。これは、サニーヴェイルにある、たった一軒の飾り付けの「一部」なんですが、わたしは、ここまで盛大で、なおかつ繊細な飾り付けを今まで観たことがありません。
家はすべてカラフルなライティングで縁取られ、庭には、テーマ別に、いろんな飾りが置かれています。宗教的な「Nativity(キリストの降誕)」のシーンもあれば、ディズニーのキャラクターもいる。
そして、ガレージは舞台となり、ここには、こまごまとした街角の風景や、サンタさんの部屋が再現され、おもちゃの列車が走ります。
通りに面する窓の中には、お人形のクリスマスキャロルも顔をのぞかせています。う~ん、なんとも、心憎い演出。
持ち主らしいおじさんが外に出て来て、見学者の質問に答えたりしていましたが、きっと、あのおじさん一人では飾り付けはできませんね。毎年、家族総出でやっているのでしょうね。
なるほど、家族の緻密な計画と絆がなければダメ、といったところでしょうか。
そういう点では、クリスマスの美しい飾り付けって、家族の絆の深さの表れなのでしょうね。