おめでとう、サンフランシスコ・ジャイアンツ!
先日、エッセイ「スウィープ!(SWEEP!)」でもご紹介したように、サンフランシスコ・ジャイアンツ(the San Francisco Giants)がワールドシリーズ覇者となりました。
そう、野球の世界一!(ま、いちおう「ワールドシリーズ」という名前ですから、「アメリカ一」ではなく「世界一」と言っておきましょう)
10月中旬、日本から戻ってくると、なんだかジャイアンツがプレーオフに勝ち残っているみたいです。
これから、ナショナルリーグのチャンピオンを目指すんだ! というのですが、どうやら、聞いてみると、それまでの試合はハラハラものだったとか。
地区プレーオフでは、いきなりホーム球場 AT&T Park で2連敗して「崖っぷち」に立たされたと思ったら、敵地シンシナティでレッズ(the Cincinnati Reds)に3連勝して、地区優勝を決める。
ナショナルリーグのチャンピオンシップシリーズでも、最初の4試合で1勝3敗と「背水の陣」に追い込まれたあと、3連勝を果たして、お相手のセントルイス・カーディナルズ(the St. Louis Cardinals)をひっくり返す。
そんな逆転劇を繰り広げてきたジャイアンツですが、本命のワールドシリーズになると、もうモタモタしていません。
お相手のデトロイト・タイガーズ(the Detroit Tigers)を4連勝で駆逐して、すんなりとワールドチャンピオンとなるのです。
ナショナルリーグシリーズの3連勝から数えると、実に7連勝という快挙!
いえ、地区やリーグを勝ち進んできた強豪を相手にしているのですから、7連勝なんて、そんなに簡単にできることではありません。だって、デトロイト・タイガーズなんて、あのニューヨーク・ヤンキーズを破って勝ち進んだチームですものね。
というわけで、とにかくおめでたいことではありますが、実は、サンフランシスコ・ジャイアンツがワールドチャンピオンとなるのは、おととしの初優勝から二度目のこと。
残念ながら、おととしは優勝パレードをこの目で見ることができなかったので、いったいどんなものかしら? と、今年はサンフランシスコの街に繰り出すことにいたしました。
ちょうどハロウィーンの日がパレードとなりましたが、ハロウィーンの黒とオレンジは、ジャイアンツカラーの黒とオレンジに見事にマッチ。「どうしてハロウィーンの日にパレードなの?」という一部の批判も、なんのその。
今年のパレードは、目抜き通りマーケットストリートをまっすぐに進んで、そのまま市役所前広場で開かれる式典に移動するということ。それで、マーケットストリートでパレードを見学することにしたのですが、これが、まあ大変!
午前11時からのパレードには、前夜から待つ人もいるくらいですので、とっても前列になんて並べません。ですから、幾重にも並ぶ人々の後ろに立つことになり、選手なんてほとんど見えません。だって、アメリカ人って背が高いでしょう。
ですから、前列の人が高く掲げるカメラやスマートフォンの画面を見ながら、どんな乗り物が来たかを知り、まわりの人たちの「解説」を聞いて、初めて誰が乗っているかがわかる・・・といった始末でした。
そう、最近は、みなさんデジカメやスマホでうれしい瞬間をキャッチ! というのが常識でしょ。ですから、こんなところで、みなさんの画面が役に立つんですよね。
パレードに参加している方々だって、「この晴れの瞬間を永遠に保存したい!」というわけで、アップルのiPad(アイパッド)で映像を撮っている人を何人も見かけましたよ。そう、あの大きなタブレットを掲げてるんですよ。
そんなわけで、肉眼では優勝パレードはよく見えなかったですが、それでも、まあ、みなさんの熱気と、パレードの雰囲気はひしひしと伝わってきました。
なるほど、パレードに参加している人たちも、沿道で黄色い声援を送っている人も、お互いに手を振り合って、ニコニコ笑い合って、楽しく過ごしましょうよ! というのが、本質のようですね。
そして、みなさん、楽しむことをよく知っていらっしゃる。
午前11時に始まったパレードは、最初の1時間ほどは、チームのスタッフやスポンサー、コーチ陣、家族といった「縁の下の力持ち」が参加なさるのですが、彼らが沿道にまくキャンディーやグッズをキャッチしたり、その裏では「あなたたちって、いったい誰よ(Who are you, people?)」と陰口をたたいたりするのが、とっても楽しいらしいんですね。
それでも、やっぱりチームの選手たちが出てくると、もう大騒ぎ。
選手たちの名前やあだ名を叫んだり、大きな拍手を送ったりと、彼らをたたえることを忘れていません。
だって、みなさん、選手たちを褒めたたえるために、ここにやって来たんですものね。
わたし自身は、自分の目でじかに選手を見られなかったので、あとでカメラに写っている姿を吟味したわけですが、それでも、優勝パレードに行ってみたり、プレーオフの試合をバーで観戦したりと、今シーズンはチームを身近に感じることができました。
スーパースターはいない代わりに、みんなお互いを信頼し、エゴを捨てて助け合う。きっと、お父さんみたいなボウチー監督のもとでまとまる、仲良しの若いチームだからこそ、ここ3年で2度目の優勝を果たすことができたのでしょう。
その昔、ジャイアンツがキャンドルスティック・パークをホーム球場としている頃は、よく試合を観に行ったものでした。ライバルのロスアンジェルス・ドジャーズとの「しのぎ合い」を観るのが楽しかったんです。
でも、海沿いの美しい AT&T Park に引っ越したあとは、なぜかしら一回しか観に行っていません。対岸のオークランド A’s(アスレチックス)には、日本人大リーガーを応援しようと足しげく通ったんですけどね。
そろそろ、AT&T Park にもせっせと通う時期でしょうか!
こんなことを言うと鬼が笑いますが、
来シーズンも、Go Giants!がんばれ、ジャイアンツ!
追記: ちなみに、ジャイアンツのマスコットは、Lou Seal (ルー・シール)という名前のアザラシくん。
彼の素性については、ジャイアンツのウェブサイトにインタビュー記事が載っています。
サンフランシスコ沖のファラロン島(the Farallon Islands)で生まれ、サンフランシスコで育った彼は、ジャイアンツのマスコットとして有名になると、「チケット分けてちょうだいよ」と、会ったこともない親戚が次々と名乗りを上げているそうです。
ご両親からは、「小魚じゃなくって、ちゃんとしたサラリーをもらうなんて、あんたも立派になったものよねぇ」と、えらく褒められているとか。
そんなご両親や親戚が海の中から観戦したり、自分の活躍ぶりを見られるようにって、AT&T Park脇の海に水中テレビを設置して欲しいと、ジャイアンツには頼んでいるそうです(いまだ実現してないようですが)。
もちろん、代々ジャイアンツファンの血筋で、曾祖父の時代には、サンフランシスコのマイナーリーグ・チームは、サンフランシスコ・シールズ(アザラシ)という名前でした。
元祖オーナーが「名前は何にしようかな?」と考えながら23番埠頭を歩いていると、一陣の風が帽子を海に吹き飛ばし、それを曾祖父が拾ってあげたことがきっかけとなって、「シールズ」という名になったとか。
英語のインタビュー記事ですが、なかなかおもしろいので、ここにご紹介いたしました。