サンフランシスコのジャイアンツ・フィーバー!
前回のフォトギャラリーは、10月28日にワールドシリーズ制覇を果たした、サンフランシスコ・ジャイアンツのお話でした。
今回は、優勝に向けてだんだんと盛り上がっていく街の興奮を、ほんの少しご紹介したいなと思いました。
たとえば、街を歩いていると、ビルの窓には Go Giants!(がんばれ、ジャイアンツ!)の張り紙をたくさん見かけました。みなさん、思い思いにお手製のサインをつくって、チームへの愛情をアピールです。
球場で黄色い声援を送るのと同じように、これも大事な自己表現なんでしょうね。
お店だって、負けてはいません。
ショーウィンドウに Go Giants! の文字を入れるだけではなく、マネキンにジャイアンツの帽子をかぶせたり、オレンジ色の服を着せたりと、それぞれの店舗の工夫が光ります。
ホールフーズ(Whole Foods)というオーガニックのスーパーマーケットでは、お肉売り場で Go Giants!! の文字を見つけてびっくり。
「みんなで観戦パーティーを開いて、ハンバーガーを食べましょう!」というプロモーションみたいで、ハンバーガーのパテ(beef patties、牛ひき肉をハンバーグ型にしたもの)が安売りだったみたいです。
お祭り騒ぎが大好きなアメリカ人ですので、「チャンスがあれば、何でも楽しみの材料にしちゃいましょう。それには、まず食べ物を確保しなくっちゃね!」という発想なんでしょう。
そうそう、ピーナッツがいっぱい入った袋にも、地元チームのロゴが入っていました。ジャイアンツのロゴはもちろんのこと、対岸のオークランドA’s(アスレチックス)のロゴ入りもありましたよ。
サンフランシスコとオークランドは、ベイブリッジ(Bay Bridge)一本で結ばれているので近いです。ですから、サンフランシスコにA’sのファンがいたり、オークランドにジャイアンツファンがいたりと、入り混じっているのです。
リーグが違うので、あんまり対戦することはありませんので、両方応援している人もたくさんいるみたいです。A’sだって、1968年にオークランドに移ってきて以来、4回もワールドシリーズに勝っている由緒正しいチームですからね。
残念ながら、今シーズンA’sはプレーオフ途中で破れてしまいましたが、きっとA’sファンだって、ジャイアンツの応援にまわっていたことでしょう。
そう、ジャイアンツの優勝に向けては、一般市民ばかりではなく、公職に就く方々だって熱心に応援していらっしゃいました。
とくに消防士さんのノリの良さには感心してしまいましたね。
優勝を決めた日曜日の晩、消防署の前を通りかかると、入り口には大きなジャイアンツの旗が掲げてあって、消防士さんたちが道行く人に笑顔を振りまいていました。
入り口に立って談笑をしながら、ただ街の人たちと喜びを分かち合いたかったみたいです。
プレーオフの期間中、サンフランシスコの消防車には、すべてジャイアンツの旗が掲げられていたみたいですよ。
やっぱり消防士さんって、地元コミュニティーに対する愛情が深い方々なのでしょう。そうでなければ、消火・救助活動なんて大変なお仕事はできないものです。
それから、チームワークとか仲間意識も強いんでしょうね。たとえば、9月の同時多発テロ記念日の頃には、サンフランシスコの消防車に「FDNY(ニューヨーク市消防署)」という文字が誇らしげに書かれていたのですが、これは「僕たち消防士仲間」という仲間意識の表れなのでしょう。
そんな消防士さんにとっては、「この街に住む仲間」だって、とっても大事。だから、地元チームはしっかりと応援しなくちゃ! と燃えるんでしょうね。
ま、それに比べると、お巡りさんは実にクールなものでしたよ。
もちろん、お巡りさんはファンの大騒ぎをおさめる側ですので、自分たちが一緒になって興奮してはいけません。
それでも、たとえばジャイアンツの帽子をかぶるとか、オレンジのものを身につけるとか、もうちょっと「かわいげ」があってもいいのになぁと、個人的には思った次第です。はい。
そんなわけで、お巡りさんだけはノリが悪かったんですが、街じゅうの人たちがジャイアンツに燃え上がったのは、単に地元チームを応援したかっただけではなくて、みんなとつながりたい! って気持ちも強かったんだと思いますよ。
世の中は、11月6日の「選挙の日(Election Day)」に向けて、やれブルー(民主党支持)だ、やれレッド(共和党支持)だと、ふたつに分かれているでしょう。そんな中で、たったひとつみんなをまとめることができるといえば、地元チームしかないと思うんですよ。
そう、スポーツと政治どちらを取るか? と問われれば、今年のサンフランシスコは、「スポーツ」だったのではないでしょうか。
10月22日、リーグ優勝をかけた大事な試合(NLCS最終戦)がありましたが、この晩は、大統領候補者の最終討論会もありました。でも、ほとんどの人は、夕方5時からの試合を応援していて、6時からの討論会なんて、頭にはなかったことでしょう。
ま、どちらも「勝敗を決めるゲーム」みたいなものではありますが、この一戦で勝ち負けが決まるとなると、やっぱり野球の試合を観たいですよね!
というわけで、サンフランシスコ・ベイエリアは、ジャイアンツの優勝に向けて、みんなでワイワイとオレンジに沸き立つ日々を送っていたのでした。
追記: ちなみに、サンフランシスコの南に位置するシリコンバレーは、ジャイアンツが「領土権(territorial rights)」を持っています。だから、自然とジャイアンツファンが多くなるみたいです。
一方、オークランドA’sは、オークランド市のあるアラメダ郡と、その北のコントラコスタ郡に領土権を持っています。
その他のサンフランシスコ・ベイエリアはジャイアンツの領土となりますが、ですから、たとえば A’sがシリコンバレーにスタジアムをつくる話が浮上しても、「人の領土に踏み込むな!」と、なかなかスムーズにはいかないのです・・・(お願いだから、みんなで仲良くしましょうよぉ!)。