残念無念! サンフランシスコ49ers
2月3日の日曜日、フットボールの祭典スーパーボウルが開かれました。
日本では「アメフト」とも呼ばれるアメリカンフットボールは、こちらでは野球と並び称される「国民的スポーツ(national sports)」。
とくに、毎年1月末から2月初頭に開かれるスーパーボウルは、アメリカ最大のスポーツイベントなのです。
今年、第47回を迎えるスーパーボウル(Super Bowl XLVII)には、サンフランシスコ49ers(フォーティーナイナーズ)と、メリーランド州のボルティモア・レイヴンズが出場し、「フットボールの王者」を懸けて戦いました。
サンフランシスコ49ersの名前は、ご存じの方も多いことでしょう。
1980年代から90年代半ばにかけて、「王朝時代(Dynasty)」を築き上げた名門チームです。
が、90年代後半になると、なかなか勝てないサイクルに入ってしまって、「鳴かず飛ばず」の成績となっておりました。
ところが、昨シーズン(2011年秋)ジム・ハーボー監督がヘッドコーチに就任して以来、メキメキと頭角を現し、昨シーズンは13勝3敗でプレーオフ一勝、そして、昨年9月開幕の今シーズンは、いよいよスーパーボウルへのチケットを手に入れたのです!
49ersが最後にスーパーボウルに出場したのは、1994年のシーズン。
実に18年前の出来事で、このときに5度目のチャンピオンとなったのが最後の栄光でした。
というわけで、2月3日、ルイジアナ州ニューオーリンズで開かれるスーパーボウルを控えて、サンフランシスコ・ベイエリアはもう大騒ぎ!
どこかのスポーツバーに行ってみようかしら、それとも、友達を招いて家で観戦パーティーを開こうかしらと、嬉しい悩みをかかえていたのです。
前日には、ビールだのポテトチップスだのと、パーティー用の食料を買い込む人たちで、お店は大混雑。
それから、スーパーボウルの前には大型テレビがよく売れるそうですが、地元チームが出場するとなると、サンフランシスコ・ベイエリアの電器店は笑いが止まらなかったことでしょう。
我が家は、サンフランシスコでテレビ観戦をすることにしたのですが、それは、ひとえに、優勝したときに街のみんなと喜びを分かち合いたい一心だったから。
わたし自身は、49ersが初めて優勝した第16回スーパーボウルをサンフランシスコで経験しているのですが、運悪く、その後の4回は遠いところに住んでいて、「地元の狂喜」を経験していないのです。
そう、遠くから指をくわえて見ていた感じ。
ですから、自称「三度のメシよりもフットボールが好き」なわたしとしましては、スーパーボウルのこの日、サンフランシスコにいないといけなかったのです。
だって、この街は、アメリカで最初に住んだ大切な街だから。
サンノゼからサンフランシスコに向かう小一時間の道中、フリーウェイ280号線は、いつもの日曜日よりも混雑していました。どうやら、みなさん、どなたかの「スーパーボウルパーティー」に参加なさるようでして、車内はチームカラーの赤とゴールドのジャージや真っ赤な帽子をかぶった人たちで満杯です。
中には、誇らしげにチームの旗をくっつけている車もあって、風にはためくチームロゴや、道行く赤いジャージのファンたちで、街は華やかな雰囲気に包まれていました。
そして、フェイスブック(Facebook)の統計によると、メリーランド州のある東海岸はべつとして、全米のほぼ全域が49ersを応援していたようでした。
が、そんな温かい応援もむなしく、残念ながら、ボルティモア・レイヴンズに34対31で負けてしまいました。
49ersはスーパーボウルでは一度も負けたことがないのですが、少なくとも、大負けではなかったので、その名を汚さなくてすみました。
そう、前半はコテンパンに負けていたところが、30分の停電のあと、別人に生まれ変わったみたいに盛り返し、最後の最後で逆転するか? というところまで追い上げたのです。
前半が終わると、友人宅のスーパーボウルパーティーに招かれていた人たちも、多くが去って行ったというくらいに、ぶざまな試合ぶりだったのですが、そんな中から這い上がったなんて、それだけでも「良くやった!」と褒めてあげなければならないのでしょう。
それにしても、残念無念。翌朝目が覚めると、前夜の試合が悪夢であって欲しい・・・と落胆しきり。
なぜだか、「失恋したあとは朝が辛い」という友達の言葉を思い出したのでした。
もしかすると、スポーツの神様が、「サンフランシスコは野球で優勝したばかりだから、今回は我慢しなさい」と計らったのでしょうか?
でも、若いチームですから、勢いに乗ったらコワいのです。
今年秋のシーズンは、また勝って、勝って、スーパーボウルに突き進みますよ!
Photos on the field by Nhat V. Meyer, adopted from the San Jose Mercury News, dated February 4th, 2013