Sweetheart (恋人)
今日2月14日は、ヴァレンタインデー(St. Valentine’s Day)ですね。
日本では、「義理チョコ(感謝チョコ)」やら「本命チョコ」が飛び交う日ですが、アメリカでは、ちょっと様相が異なります。女性から男性にチョコレートをあげるのではなく、男性が女性に愛を告白する日なのですね。
まあ、アメリカでは、何かにつけ女性が贈り物を欲しがるきらいがありまして、ヴァレンタインデーも、例外ではありません。男性陣は、花を贈ったり、ダイヤモンドのアクセサリーをプレゼントしたりと、女性サービスに余念がありません。
贈る相手は、つきあい始めたばかりの彼女でも、長年続く恋人でも、何年も連れ添った相手でも、誰でもいいわけですね。
贈る花は、茎の長い立派なバラ(long-stem roses)が一般的ですが、最近は、それにクマのぬいぐるみやクッキーを添えたり、シャンペンやチョコレートを添えたりと、いろいろ凝ってきています。
オンラインショップの花屋としては最大手の1800flowers.comでは、例年この時期、4百万本ものバラを届けるそうですよ!
花屋さんには頼らず、レストランに誘って、その場で花束やダイヤモンドをご披露というのも、とっても効果的ですね。
そこで、そんなヴァレンタインデーにちなみまして。
「甘い」というのは、英語で sweet ですが、「甘いハート」つまり sweetheart(スウィートハート)というと、恋人や配偶者のような好きな相手を指すのですね。
相手に呼びかけるときに、“Sweetheart” とか、“Sweetie”(スウィーティー) と言うときもあります。こういう呼びかけの場合は、一般的に語尾は優しく上がりますね。
両方とも、どちらかというと、女性が使う場合が多いのですが、男性が猫なで声で使うときもあります。
それから、お母さんが子供に向かって、sweetie と呼びかけることもあります。こちらだと「いとしい、かわいい子」みたいな感じでしょうか。
一方、sweet には、「優しくて思いやりのある」という意味もあります。だから、使う相手は恋愛感情とは関係のない場合もあります。
たとえば、何か親切なことをしてもらったり、思いがけずに素敵なものをいただいたりしたとき、
You’re so sweet!(あなたって、なんて優しいの)と言います。
似たような表現に、You’re such an angel!(あなたって、ほんとに天使みたいな人ね)というのもあります。
甘い sweet と同じく、天使の angel も、優しい人の代名詞なのですね。ふたつとも、どちらかというと女性が多く使う表現でしょうか。
Sweetheart や sweetie の他に、夫婦間とか恋人同士の呼びかけには、「いとしい」という意味の “Dear”(ディア)や、蜂蜜転じて “Honey”(ハニー)を使うときもあります。
いずれの表現方法にしても、とっても甘い雰囲気が漂っていますよね。そういう点では、日本の「おい!」なんかとは大違いです(まあ、「おい!」にしても、ぶっきらぼうな愛情表現の一種かもしれませんが)。
Honey という呼びかけには、おもしろい熟語があります。Honey-do-list(ハニードゥーリスト)というものです。
直訳すると「いとしい人が行うリスト」となりますが、これは、なんと、奥さんがダンナさんにやってほしいお仕事のリストなのです。
たとえば、庭の芝を刈ってよとか、棚を作ってよとか、ペンキ塗ってよとか、週末にまとめてやってほしいことをどっさりと一覧表にしたものなのです。
いつか同僚が、「 Honey-do-list 渡されちゃったよぉ」などと言っているので、それは何なの?と聞いてみると、「なぁんだ Honey-do-list も知らないの?」と、逆に聞き返されたくらい有名なのです。
それ以来、この言葉を聞くと、ひげがだいぶ白くなった彼の顔を思い起こすのです。
さて、ヴァレンタインデーに向けて、アメリカの男性陣は、何を贈ろうかとか、どこにディナーに連れて行こうかと大いに頭を悩ませるわけです。
けれども、おもしろいことに、世の大会社の重役などは、そんなことは秘書任せ(!)というのも当たり前なのですね。
秘書の方が、ちゃんと奥方の好みや行きつけのレストランなどを把握していて、重役が頼む前に、しゃかしゃかと手配したりするのです。
こうなってくると、豪華なバラの花束も、おいしいディナーも、日本の「義理チョコ」のようなものでしょうか。