Was it not for water (もし水がなければ・・・)
8月に日本に帰ったとき、ふと思ったのですが、夏休みって、受験勉強の書き入れ時なんですよね。受験生は、どこかに遊びに行く暇もなく、お勉強にいそしんでいる頃なんでしょうね。
わたしも最初は日本で英語を習っていたわけですが、今振り返ると、いい面と悪い面がありましたね。
まあ、日本では、最初っからビシッとグラマーを叩き込まれるので、文法上正しい英語(grammatically correct English)を身に付けられる、というのはいいことだと思います。
世界各国から集まる英語のクラスなんかに出席すると、日本人の文法能力は、なんと素晴らしいのだろうと感心するのです。
でも、その一方で、日本で「何とかの構文」といって教えられる中にも、現地ではあんまり聞いたこともないような文章もあるんですね。
たとえば、簡単なところで、動詞have。
A good time will be had in the party(パーティーではゆかいだろう)なんて本にあります。
普通、所有を表すhaveは受動態では使われないけれど、何かを経験するときには、受動態will be hadとしてもよいとされています。
でも、そんなの聞いたことない。普通は、こう言うでしょう。
We’ll be having fun in the party.
主語を使わない受動態では、しょせん無理がある。
逆に、日本ではあまり習わないようなものの中に、現地ではよく使われるものがあったりします。
たとえば、a few。これだけでは「少し」って意味ですね。でも、quite a fewになると、「たくさん」って意味になりますよね。
Quite a few people gathered at the concert(たくさんの人が、そのコンサートに集った)なんて使います。
で、意外と使いそうにない構文で、結構たくさん使ったりするものもあるんです。
たとえば、倒置法。主語とか動詞とかをひっくり返して使うものですね。
何かを強調したい場合に、自然と口をついて倒置法が出てくるときがあります。
Tomorrow I will go.(明日、わたしは行きます)
やっぱり会話となると、相手に伝えたいことが真っ先に出てくるものなんですね。
それから、二重否定のneither(どちらでもない)を使うときも、倒置法が出てきますね。
I’ve never been to Africa.(わたしアフリカは行ったことがないわぁ)
Neither have I.(あら、わたしもよ)
普通の否定文では、こうなりますね。I haven’t either.(わたしも行ったことないわぁ)
ちなみに、上の文章は、今までの経験を表す現在完了形が使われていますが、単純な過去形だとこうなります。
I didn’t go to that party.(わたし、あのパーティーには行かなかったわぁ)
Neither did I.(あら、わたしもそうよ)
日本で習ってみて現地でも参考になる構文に、こんなのもあります。
Was it not for water, we can’t survive.(水がなかったら、わたしたちは生きられない)
仮定法ですね。「もし~なら、~だろう」という文型。
学校では、現在のことを仮定するときには、過去形を使うと習います。ですから、上の文章は、Were it not for water, we couldn’t surviveでもいいかもしれません。
でも、実際、誰かが口頭で使っているのを聞くと、「Was it not for ~, 現在形」の方が一般的に感じます。
ちなみに、口語だと、こういう人もいます。If it weren’t(wasn’t)for water, we can’t survive.ここでは、「If it weren’t(wasn’t)for ~, 現在形」の形になっているんですね。
これが、過去の出来事の仮定になると、こうなりますよ。
Had it not been for water, we wouldn’t have survived through the desert.(もし水がなかったとしたら、わたしたちは砂漠で生き延びることができなかったかもしれない)
昨日、ラジオでこんなことを耳にしました。この仮定法が、バッチリ使われていたんですね。
Was it not for this kind of Jazz program, these inner-city kids will take a completely different direction.(このようなジャズの教育プログラムがなければ、スラム街の子供たちは、まったく違った方向に進んでしまうだろう)
ところで、お受験といえば、大学の入学試験の英語って、どれほど難しいんだろう?そう思って、昔の長文読解の問題にちょいとチャレンジしてみました。まずは、一橋に早稲田!
まあ、今となっては、難しいなんて感じることはありませんが、ひとつ思ったことがありました。
それは、例文の中に、アメリカの歴史や風俗や地域のお話が出てくる場合があるので、背景を知っていた方が有利かもしれないな、ということです。
たとえば、ボストン近郊の夏から冬への季節の移り変わり。それから、ジョージアやサウス・キャロライナ州での、18世紀の綿織物業のお話。
読みながら、頭に状況を思い描いた方が、中身の理解も早いかなと。
となると、英語だけじゃなくって、地理とか歴史とかも勉強しなくっちゃいけないのかな?
追記:最近、せっかく習ったグラマーを確実に忘れつつありますねぇ。日常生活では、ちゃんとした英語を使っていないのでしょうか。
チャレンジした入試問題に、前置詞の問題がありました。ふたつの文章に共通する一語を選べ、というものです。とりあえず、ちゃんとできたけれど、もう一方の文章がなければ、わからなかったですねぇ。
He is given ( ) drinking.
I will see ( ) it that everything is ready for your departure.
The old man is hard ( ) hearing.
This city is located thirty miles west ( ) Tokyo.
答えは、上のペアがtoで、下がofです。どちらのペアも、2番目の文章は頻繁に使われる表現ですよね。
後日談:本文では、こう書きました。動詞haveの受動態は、will be hadという形で経験を表すとあるが、そんなの聞いたことないと。
でも、先日、ビジネスニュースを観ていた時に、アナウンサーがこう言っていたのです。
A good time will be had.(楽しい時間を過ごすでしょう)
何の話かは忘れましたが、テレビのニュースみたいにフォーマルな場合は、will be hadというのを使うときがあるようですね。友達同士では、絶対に使わないですけれど。