You woke me up (起こされちゃった)
予定がちょっと延びたので、今回は、3週間近くの東京滞在です。
というわけで、明日はもうアメリカへ戻るのですが、遅ればせながら、サンフランシスコから成田へ向かう空路のお話などをいたしましょう。
わたしにとっても、連れ合いにとっても、長時間飛行機に乗るコツは、食後、すぐに寝てしまうこと。できれば、ずうっと寝ていければ最高で、日本への10時間の飛行時間もグンと短く感じます。
いつも時差ボケ状態の連れ合いは、食後、さっさと寝てしまうのですが、わたしは睡眠効果のある錠剤(メラトニン)を飲んで、がんばって寝ることにしています。
今回の成田への機上でも、同じ儀式を行いました。そう、パターン化してしまうのが大事なのです。
幸い、機内も混んでいないし、ザワザワした雰囲気もないし、じきに眠りに落ちてしまいました。
すると、突然、耳元で会話が聞こえてくるのです。
どうも、通路を隔てた隣のアメリカ人のところに仲間がやって来て、あたり構わず、大きな声で、仕事の話をしているのです。わたしを起こしてしまうほどの大声で、こちらは起こされたことにカチン。
立っている方をじ~っと見上げていると、さすがにあちらも視線に気が付いた風です。そこで、こう言ってあげたのでした。
Could you take it to somewhere else?
You woke me up.
どこか別の場所でやってくれない?
わたし、あなたたちに起こされちゃったのよ。
ひとつめの文章の it とは、「ふたりでやってる会話」といった、行為全体を表すものですね。
だから、この文章は、「会話を別の場所に持っていってちょうだいな」、つまり、「会話をするなら、別の場所でやってよ」という意味になります。
二番目の文章は、単純明快な構文で、「あなた(あなたたち)が、わたしを起こしてしまいました」という意味ですね。だから、「あなたたちに起こされたのよ!」
そういえば、むかし、Wake me up before you go-go という歌がありましたよね。イギリスの「ワム(Wham)」という二人組みのグループ。
「あなたが踊りに行く前に、僕を起こしてね」といった意味の歌詞。ひとりでつまらない思いをしたくないから、もし踊りに行くんなら、僕も連れてってと歌っています。
わたしを起こしてね。つまり、Wake me up.
これは、外国のホテルなんかでも、よく使われる表現ですね。翌朝7時に起こしてもらいたい場合は、こう頼みます。
Could you wake me up at 7 o’clock tomorrow morning?
さて、ちょっと話がそれてしまいましたが、例のアメリカ人のふたり組みは、どうしたでしょうか。
わたしが文句を言った甲斐あって、あ、ごめんなさいと、あっさり会話をあきらめ、立っていた方は、すごすごと席に戻っていきました。
もともとアメリカ人は、とっても社会性のある人たちです。ちょっとでも相手が不快感を表していると、すぐに善処してくれるのです。
とくに、シリコンバレーの人たちは、あんまり逆ギレするタイプではないので、おとなしく、レディーの言うことを聞いてくれるのです。
いつか、こんなことがありました。サンノゼの大きな公園で、独立記念日の花火を見ようと芝生に座っていたら、すぐ横でタバコを吸い始めたおばさんがいました。
見るからに、ちょっと怖そうなおばさんでしたが、煙が顔に来るのには閉口だったので、「わたし煙に弱いから、どこか別の場所に行って吸ってくれない」と頼みました。
Could you move over a little bit because I’m sensitive to smoke?
すると、「なによ、ここは公園じゃない。屋内じゃないのに、タバコも吸えないの」とブツブツ言いながらも、遠くに移動して行きました。
外見もほんとに怖そうなおばさんでしたし、そのときは、公園の屋台で買ったビールが高いと怒っていたのですが、人の言うことはちゃんときいてくれるのです。(ちなみに、その頃は、公園でタバコを吸っちゃいけないという法令はありませんでしたが、今は、カリフォルニアのあちらこちらでそういった法令ができていると思います。)
さて、成田に向かう飛行機。大きな声の主がいなくなってホッとしたので、機上で起こされたわたしも、じきに眠ることができて、快適な空の旅になったのでした。
でも、彼らには、あとでちゃんとフォローしましたよ。
飛行機を降り、荷物を受け取る場所で、彼らと鉢合わせしたので、こう謝っておきました。
I’m sorry for having interrupted your conversation on board.
I was trying to sleep, so I was a little cranky.
機上では、会話を邪魔してごめんなさいね。
眠ろうとしていたので、わたしちょっと怒りっぽかったのよ。
すると、大きな声の主は、笑いながら、こう答えてくれました。
Oh, that’s OK. I’m loud.
いいよ、そんなの。僕、声がでかいんだよね。
はい、たしかに、よく通る、朗々とした声でした。
そういえば、わたしの連れ合いも、北海道出身のせいか、声が大きいのです。ひそひそ話なんか、絶対にできません。
まあ、声の大きな人に、悪い人はいないのかもしれませんね。
追記:さて、もうすぐ新学期。
地下鉄に乗っていたら、N大学工学部の袋を持ったおじさんが、NHKのテキスト4月号を広げていました。表紙を見ると、「英会話入門」と「英語徹底トレーニング」。
おじさん、英会話のコツは、「習うより、慣れろ(Practice makes perfect)」ですよ。
構文がどうのこうのというよりも、短い文章をそのまま覚えちゃいましょう!