What is your favorite color?(好きな色は?)
近頃、いろんなことをパソコンで済ませたりしますよね。
今はちょうど、野球の祭典ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が開かれていますが、開催国でありながら、いまいちノリの悪いアメリカでは、日本などの他国の試合を放映してくれなかったりするのです。
そんなときに登場するのが、パソコンでの試合観戦。有料とはなりますが、メジャーリーグ(MLB)のウェブサイトでは全試合を観戦できるようになっていて、テレビでは放映してくれなかった第2ラウンド日本対韓国戦の一回目も、ようやく観ることができたのでした。
残念ながら、このときは4対1で負けてしまったものの、どうやって負けたのかがわかったので、ある意味、満足ではありました。
そんなスポーツやエンターテイメントに加えて、「パソコン文化」が盛んなアメリカでは、日常生活のいろんなところにパソコンが活躍しています。たとえば、わざわざお出かけしたり、銀行で振り込んだりしなくても、お金のやり取りが簡単にインターネットでできる仕組みにもなっています。
もちろん、日本でもインターネットのお買い物(オンラインショッピング)はずいぶんと流行っていることではありますが、アメリカでは、それに加えて、ネットでアクセスした銀行口座から電気代や水道代を振り込んだり、クレジットカードの支払いをカード会社のウェブサイトで済ませたりするのも流行っています。
もともと「ものぐさな」アメリカ人ではありますが、日本と比較して「自動引き落とし」という概念が浸透していないので、いちいちお金を払うのが面倒くさいと、インターネットで支払うケースが増えてくるのだと思います(従来のやり方だと、小切手を書いて郵送しなくてはならなかったので、とても面倒くさかったのですね)。
それに、クレジットカードの場合だと、日本のように「翌月に全額を自動引き落としで支払う」のではなく、「自分で好きな額だけ支払う」人が多いので、勝手に自動引き落としにされても困るよ!という人がたくさんいるのでしょう(もちろん、未払いの残高が増えれば増えるほど、利子がかさんで、あとで大変になるのですけれどね!)。
というわけで、いろんな場面でインターネットのサービスが登場するということは、自分のアカウント(口座)にアクセスするときに、やれユーザ名だの、パスワードだのと、ややこしいものが必要になってくるわけです。すると、あちらこちらにユーザ名とパスワードを設定しなくてはならないので、ついつい忘れてしまうことがあるのですね。
アメリカ人なんて、日本人ほどきちんとした性格ではないので、「あれ、何だったっけ?」という人が続出するわけですが、そういう人たちにいちいち電話されたらたまらないではありませんか。だって、うるさくて仕事にならないですもの。
そこで、本人だと確認できた場合は、忘れてしまったユーザ名やパスワードをすぐにネットで教えてあげましょうというお決まりになっているのです。
そして、そんなケースを想定して、近頃、いろんなサービスサイトでは、「あなただと確認できるように、好きな質問を3つ選んで、その答えを設定しておいてください」というのが流行っているのです。
その質問事項が多岐にわたっていて、う~ん、どれにしようかなぁと、結構考え込んだりするのです。
たとえば、表題になっている What is your favorite color? (あなたの一番好きな色は何ですか)というのもあります。
それから、似たようなところで、What is your favorite movie? (あなたの一番好きな映画は何ですか)というのもあります。
こういうのは、比較的単純な質問なので、設定しやすいのです。まさかあとで自分の答えをぽっかりと忘れたりはしないでしょうから。
それから、家族に関する質問も多いですね。
たとえば、What is your paternal grandfather’s first name? (あなたの父方のおじいちゃんのファーストネームは何ですか)とか、
What is your maternal grandmother’s first name? (あなたの母方のおばあちゃんのファーストネームは何ですか)というのがあります。
(血筋を表す場合、paternal というのは「父方の」という意味で、maternal は「母方の」という意味です。ちなみに、似たような表現の中に、paternity test「父親であるかどうかのDNA鑑定」とか、maternal instinct「母親の直感」なんてものがあります。)
ファーストネームを尋ねるのではなくて、What is your spouse’s nickname? (あなたの配偶者のニックネームは何ですか)というのもありますね。
(こちらの spouse という言葉は、単に「配偶者」という意味で、ダンナさんにも奥さんにもどちらにも使います。)
似たようなところでは、What is your father’s middle name? (あなたのお父さんのミドルネームは何ですか)なんて質問もありますが、これは日本人には関係がないですよね。
ちなみに、こういった家族に関する質問は、もともと金融機関ではよく使われていたものなのですね。たとえば、電話でお金に関する問い合わせをするときには、本人確認のために、必ずこのふたつを尋ねられるのです。
What is (the last 4 digits of) your social security number? (あなたの社会保障番号、もしくは最後の4桁は何ですか)
What is your mother’s maiden name? (あなたのお母さんの旧姓は何ですか)
(お母さんの旧姓、mother’s maiden name という言葉は、アメリカで銀行口座をつくるときには、必ず尋ねられる事柄のひとつです。一方、社会保障番号、social security number というのは、アメリカで働き、税金を払う人は必ず持っていなければならない9桁の番号です。各個人はこの番号を生涯持ち続けることになるので、銀行口座やローンを開設する際の身分証明に使ったり、政府が年金の額を算出したりするのに使います。サラリーマンの奥さんでも、確定申告のときに必要となるので、大人は全員持っている番号ともいえます。ティーンエージャーだって、アルバイトを始めると収入と税金が発生するので、取得する必要があるのです。)
さて、このような家族に関する質問事項に加えて、近頃は、意表をつくような質問が候補として出てくる場合があるのです。
たとえば、こんなものがありますね。
Who was your favorite middle school teacher? (あなたが中学校のときに一番好きだった先生は誰ですか)
What was the make of your first car? (あなたが最初に運転していた車の車種は何ですか)
こういうのになると、答えは何だったかなと、ちょっと考え込んでしまうのです。昔をなつかしみながら、思考がふと途切れたり・・・そこで、先日わたしは、こんな単純な3つを選んでみました。
What is your father’s birthday? (あなたのお父さんの誕生日はいつですか)
In what city did you attend high school? (あなたが高校に行った街の名は何ですか)
What is the name of the first company you worked for? (あなたが最初に勤めた会社の名前は何ですか)
こういう質問だと、答えがはっきりしていて、返答に迷うことがありませんよね。
ところで、表題となっている What is your favorite color? ですが、これは、我が家が加入している病院システムのウェブサイトで出てきた質問候補でした。
この病院は自分たちで医療保険も提供しているので、新しい保険の申し込みをオンラインでやってみることにしたのですが、連れ合いは病気の単語がよくわからないので、わたしがピンチヒッターとなりました(アメリカでも、さすがに医療保険に入るときには、いろいろとしつこく過去の病歴を尋ねられるのです)。
けれども、あとで本人が自分の口座にアクセスできないと困るので、好きな質問を選んでもらったわけですが、なんでも、彼は、人の名前だの、誕生日だの、学校の先生だのと面倒くさい質問は嫌いなので、いつもごく単純に「好きな色」を選ぶのだそうです。
なるほど、そうやって考えてみると、わたしは一度も「好きな色」を選んだことはありませんね。だって、普通、好きな色って一色じゃないでしょ?
それで、答えは何に設定すればいいのかと尋ねると、意外なことに、「緑(green)」と言うではありませんか! これには、ちょっと驚いてしまいました。だって、何年も一緒にいるのにまったく知らなかったから。
そういえば、洋服を買うときに、茶色や紺色が似合うよと勧めても、本人はなにやら緑系の服を選んでいるなとは思っていたんですよ。けれども、緑が一番好きな色だったとは!
そうやって改めて彼の身の回りの品を見てみると、緑色が多いことは確かですね。最近買ってきた皮のかばんもそうだし、今は使わなくなった腕時計のベルトもそうです。それから、部屋のソファやクッションもそうですね。なるほど、自然と好きな色が身の回りに反映されているということですか。
それにしても、何年そばにいても、相手についてはまだまだわからないこともあるものですねぇ。だから、夫婦生活はおもしろい(?)