Waiting for water to boil(水が沸くのを待つ)
日本でひと夏を過ごしたあと、サンノゼの自宅でこんなことがありました。
我が家は、テレビを観るときに、「Google TV(グーグル・テレビ)」という特殊な機械を使っています(写真では、上に乗っかっているソニー製の機械)。
テレビ回線につながっているだけではなくて、インターネットにもつながっているという面白い機械です。
でも、面白いわりに、定期的にソフトウェアの更新をしないといけないのです。
まあ、「更新」なんていっても、ソフトウェアをつくっているグーグルさんがインターネット経由で勝手に送ってくるので、「ソフトウェアを更新しますか?」という質問に、「はい」と答えれば、あとは自動的にやってくれるお話ではあります。
でも、問題は、時間がかかることなんです。
だいたい、テレビを観たいとか、ネット経由の音楽を聴きたいと思うから、Google TVをオンにするのです。更新の間、何もできずに「おあずけ状態」になっているのはイヤなんです。
そこで、わたしは、ブツブツと独り言をつぶやいておりました。
なんだって、こんなに更新が長いんだろう・・・?
だって、お湯が沸くのよりも遅いじゃない!
前置きが長くなってしまいましたが、今日の表題は、こちら。
「お湯が沸くのをじっと待つ」
英語で、waiting for water to boil。
「物事がサクサクと進まないので、イライラしながら待つ」とか「ちゃんとうまく行くかしら?と、心配しながら待つ」といった意味があります。
日本語でそんな表現が使われるのかは定かではありませんが、なんとなく、わかり易い表現ですよね。
たとえば、こんな風に使います。
It’s like waiting for water to boil.
「それって、まるで水が沸くのをじっと待っているようね(じれったくてしょうがないわよね)」
A watched pot never boils.
「鍋をじっと見ていたら、水は絶対に沸かないよ」
だから、イライラしないで、気長に待ってなさい、ということでしょう。
実際、お料理しているときもそうですよね。
「煮えたかな?」「焼けたかな?」と、頻繁に蓋を取って観察していると、熱が逃げてしまって、なかなか料理が進まない。
だから、チョッカイなんか出さずに、じっと待ってなさい。
この表現も、お料理だけではなくて、いろんな場面で使えそうですよね。
さて、waiting for water to boil というのは、ある意味、英語らしい表現だと思うのです。
まさに情景が目に浮かんでくる、とでもいいましょうか。
そして、同じく「英語らしい」と思える表現に、こんなものもあります。
Do you see the bottle half full or half empty?
「あなたは、ビンに(水が)半分入っていると見ますか、それとも半分空いていると見ますか?」
こちらは、ちょっとわかりにくいかもしれません。
もちろん、ビンというのは比喩的なものですが、「あなたは、ビンに水が半分も入っている(half full)と見るか、それとも、たった半分しか入っていない(half empty、半分は空いている)と見るか?」というわけです。
ですから、「物事に対して楽観視する方か、それとも悲観視する方なのか」といった意味合いになるのです。
当然のことながら、「半分も入っているじゃない(half full)」と思う方が楽観視で、「半分しか入っていないじゃない(half empty)」と思うのが悲観視というわけですね。
こちらの表現は、よく経済のお話なんかに出てきます。
いくらか損はしたものの、「まだこんなにお金が残っているじゃない!」と見るのか、「まあ、これだけしか残っていないわぁ」と見るのか、あなただったらどっちのタイプ? みたいなニュアンスでしょうか。
We tend to see the bottle half empty.
「わたしたちは、どちらかというと半分しか入っていないと、とらえがちである」
これは、経済がうまくまわっていない中では、多くの消費者が感じることかもしれませんね。
kick the can down the road
まるで子供の頃を思い出すようですが、「道の向こうに(遠くに)缶を蹴る」というわけです。
「缶蹴り」で遊んでいるときに、ポ~ンと遠くに缶を蹴りますよね。そんな感じです。
もちろん、この表現は比喩的なものでして、実際には「(問題を)先延ばしにする」という意味になります。缶々は「考えたくもない、イヤな問題」というわけです。
こちらは、先月、よく耳にしておりましたね。
アメリカの国の赤字のお話で、「問題を先延ばしにするな!」と、これ以上、国がお金を使って赤字が増えることに、反対意見がわき起こっていたのでした。
Stop kicking the can down the road!
「財政問題を先延ばしにするのは止めろ(子供たちの世代が困るじゃないか)!」
たしかに、缶を向こうに蹴って見えなくなったのはいいけれど、向こう側で缶を拾うのは、子供たちの世代ですよね。
All this money comes from our children and our future generations.
「このお金は全部、わたしたちの子供たちやその先の世代からきているのだ」
これは、アメリカだけではなくて、先進国みんなに言えることかもしれません・・・。
さて、そんな深刻な財政問題を抱えているオバマ大統領は、来年11月の大統領選挙では、苦戦を強いられそうなのです。
財政問題に加えて、いっこうに好転しない失業率、いつまでも続く戦争、またまた悪化しそうな景気と、近頃、オバマ大統領にとっては悪い話ばかりですから。(写真は、今年初めの一般教書演説で熱く語るオバマ大統領)
そんなオバマさんについて、こんなシビアな文章が・・・
この中で on the line という表現にご注目ください。
President Barack Obama’s own job may be on the line as he presents his plan for job creation this week . . .
(Excerpted from Obama’s power to create jobs remains limited by Lesley Clark, McClatchy Newspapers, September 4th, 2011)
「今週、バラク・オバマ大統領が雇用創出計画を明らかにしようとする中、彼自身の職が危うい状態にあるかもしれない」
(Continued from above) with the nation’s unemployment rate mired at 9.1 percent and his popularity at a record low.
「(上の文章の続き)国の失業率は9.1パーセントから微動だにせず、しかも、彼の人気が記録的に低い中にあっては」
ちょっと長い文章ではありますが、要点はこちらの部分ですね。
President Obama’s own job may be on the line.
「オバマ大統領自身の職が危ういかもしれない」
世の中が厳しい状態にあるので、国の失業率を心配する前に、自分の方が危ういかもしれない、というのです。(とりあえず、4年の任期が終わる来年末までは大丈夫ですが・・・)
縁起でもない話ですが、(put ~ ) on the line というのは、「~を危険にさらす、危険にさらされている」という意味ですね。
たとえば、
My job is on the line!
「僕の職がかかってるんだよ(だから、暢気なことなんて言ってられないんだよ)!」
窮地に立たされて、どうにかしなくっちゃ! と、あせった状態なのです。
She put her future on the line by telling her boss that he was wrong.
「彼女は、自分の上司に間違っていると言ったことによって、(会社での)将来が危うくなってしまった」
これは、あくまでも架空のお話ではありますが、自分の将来をかけても、上司が間違っていると主張した彼女は、あっぱれなものではありませんか!
(そう、「間違っている」と主張しただけで立場が危うくなるなんて、それは、どこかがおかしいのです。)
まあ、あんまり喜ばしい表現ではありませんが、(put ~ ) on the line 。
よく耳にするものですので、覚えておいて便利なものだと思いますよ。
というわけで、すっかりそれてしまいましたが、今日の英語のお話は、waiting for water to boil。
情景が目に浮かんできそうな、生き生きとした表現を中心にまとめてみたのでした。