Couch money(ソファーの現金)
先日、ライフ in カリフォルニアのセクションでは、「いらない家具はどうするの?」というお話をいたしました。
我が家で新しくソファーを買ったので、今までお世話になったソファーをどうしましょう? と頭を悩ませた、というお話でした。
すると、その翌日、こんなニュースが流れたのでした。
ニューヨークに住む若い男女3人が、中古で手に入れたソファー(a couch)の中から、たくさんの現金(a lot of cash)を見つけた! と。
どうやら、お金を見つけたのは4月のことだそうですが、3人のルームメイトが部屋で映画を観ていたら、ちょっと前に中古で買ったソファーの両腕のあたりがゴワゴワするのに気づきました(felt crinkles in two side pillows)。
そこで、腕のクッションを開けてみたら、バブルラップの包みが2、3個出てきて、中からは、たくさんのお札が出てきたのでした。
数えてみたら、全部で40,800ドル(およそ400万円)!
3人は、まさに「近所の人たちが『あの人たち宝くじに当たったんじゃない?』って思うくらいに歓声を上げた(our neighbors thought we won the lottery or something ‘cause we were just screaming)」そうです。
けれども、人のお金ですから、そう簡単に自分のものにすることはできません。名前が書かれた封筒も一緒に出てきて、それで持ち主のレディーを探し出すことができたのでした。
このお金は、91歳のレディーが、家族にも黙って何十年もかけて貯めたお金(life savings)で、何も知らない家族が、慈善団体の救世軍(The Salvation Army)にソファーを寄付してしまったのでした。
それが、めぐりめぐって、お金が入ったまま3人のもとへとやって来た。そして、「やっぱり自分たちでくすねてはいけないよね」と、お金の持ち主を探し出した、という顛末でした。
レディーは、お金を返してくれた3人に感謝を述べながら、こんなこともおっしゃったそうです。
This is my husband looking down on me and this was supposed to happen.
これは、天国の主人がわたしを見守ってくれている証拠だわ。起きるべくして起きたのよ。
正直にお金を返した3人は、レディーから1,000ドル(およそ10万円)の謝礼をいただきました。
そうやって手に入れたお金は、きっと気持ちよく使えることでしょうね。
Reference cited: “Roommates Found Thousands in Cash Hidden in Couch”, CBS New York-WLNY, Thursday May 15, 2014; photos also by WLNY
と、良いお話ではありましたが、このニュースがひどく気になったのは、ちょうどソファーを寄付した翌日だったし、しかも、寄付した先が話題の救世軍だったからです。
まさか、あのソファーに何か入っていなかったよね? とちょっと気になったのでした。
ま、我が家の場合は、ソファーからお金が出てくるよりも、連れ合いのケータイや車のキーやクレジットカードが出てくる方が、ずっと確率が高いんですけれどね。なぜか不思議とクッションの隙間にモノが入り込んで、「ない、ない!」と探し物をしてるんですよね・・・。
それにしても、couch money(ソファーに隠した現金)。
以前も、「Under the mattress(マットレスの下)」という題名で英語のお話を書いたことがありますが、ソファーに加えて、ベッドのマットレスも、アメリカ人にとっては便利な現金の隠し場所ではあります。
そう、日本の「タンス預金」と同じようなものですが、とくに金融不安で銀行が信用できなくなると、現金を家のどこかに隠したくなるのが人情なのです。
それでも、ソファーの両腕のクッションって、座ってみると違和感があるような気がしませんか?
きっと、このソファーは、ご自身の部屋に置いてあって、普段は彼女しか座らなかったんでしょう。知らない間に家族が寄付して、部屋からこつ然とソファーが消えているのを発見し、顔面蒼白! でも、「あのソファーにはお金が」なんて誰にも言えないし・・・。
いずれにしても、レディーにお金が戻ってきて、めでたし、めでたし。
ちなみに、「ソファー」という英語ですが、こちらのように couch(発音はキャウチ)と言う場合もありますし、sofa(ソゥファー)と言う場合もあります。
一般的には、どちらを使うかは好みの問題とされているようですが、厳密には、ちゃんと違いがあるそうです。
Couch の方は、フランス語の couche から来ていて、もともとはコルセット付きのきついドレスをまとうレディーのための「寝椅子」だったそうですが、現代のアメリカでは、2~3人が掛けられる小型のソファーを指すようです。
Sofa の方は、「ベンチ」を表すアラビア語の suffah から来ていて、アメリカでは、couch よりも大きな4~5人が掛けられるソファーを指すようです。
けれども、日常生活では、どちらか好きな方を使うみたいで、家具屋さんでも sofa のことを couch と言う人は多いです。
たとえば、テレビの前の couch に座って、番組を観ながらスナックをポリポリ・・・という困った状況のことを couch potato(カウチポテト)とも言いますね。
じっとして動かない sedentary lifestyle(定住ライフスタイル)という言葉もあります。
一方、sofa の方は、たくさん掛けられるようにと L字型になっているソファーのことを sectional sofa(セクショナルソファー)と言います。近頃は、こちらの写真のように chaise(寝椅子、発音はシェイズ)が付いているものもポピュラーでしょうか。
その方がモダンだし、場所を取らない利点もありますね。
このカタログの写真は、我が家が購入したものと同じ型なんですが、色が違うと、まったく違って見えるところが驚きです。
というわけで、今日の話題は、couch money 。
家具を寄付するときには、大事なものを隠していなかったか、再確認した方が良さそうですね!