Stop and smell the roses(バラの香りを楽しんで)
先日、サンフランシスコのメインストリート、マーケット通り(Market Street)を歩いていたら、奇妙な光景を見かけました。
宅配サービスのFedExの女性配達員と、UPSの男性配達員が、満面の笑みでハグしていたんです。
二人とも大きな台車を引いていたので、マーケット通りのビルに配達する途中だったようですが、きっと久しぶりに顔を合わせたので、「あら、元気だった?」とばかりに、互いを笑顔でハグしたのでしょう。
それにしても、FedExとUPSは商売敵ですよね?
そんな会社の事情よりも、個人的な友情が優先するなんて、ずいぶんと心に余裕があるんだなぁ、と見ていて感心したのでした。
そう、わたしは、わたし。仕事中だって、お友達にはあいさつさせていただくわ、といった感じでしょうか。
というわけで、英語には「もうちょっと心に余裕を持ったら?」という、こんな慣用句があるんです。
Stop and smell the roses
足を止めて、バラの香りをかいでみたら
心に余裕がないと、きれいなバラが咲いていても、気づかず忙しく通り過ぎるだけ。
ときには、まわりを見回してみて、きれいなバラが咲いていたら、足を止めて香りを楽しんでみたら? というアドバイスなのです。
同じような表現で、「バラ」の代わりに「花」を使うこともあるようです。
足を止めて、花の香りを楽しみましょうよ
都会のビルの谷間にも、きれいな花はたくさん咲いている。
同じ道を歩くのだって、心にちょっと余裕があれば、花の香りを楽しみたい気分にもなるはず、そんなアドバイスでしょうか。
両方とも、きれいな表現ですし、心にすっと入ってくるようなストレートな慣用句ですよね。
よく耳にする表現ですので、覚えておくと便利だと思います。
サンフランシスコという街は、人の歩みが速いところなんです。
もちろん、みなさん忙しいので、一刻も早くA地点からB地点に移動したいのでしょうが、とりたてて何もなくても、セカセカと早足で歩くのが習慣になっています。
横断歩道の信号機だって、すぐに緑から赤に変わって、ここは「せっかちな街」であることを表しているようです。
そんな「せっかちな大通り」から、ふと脇道にそれると、建物の中から人の声が聞こえてきました。
どうやら、その建物はアパートだったようですが、こんなコンクリートビルのオフィス街で、庭の囲いの奥から人の声が聞こえるなんて、ひどく意外な気がしたのでした。
右側のオフィスビルは、「つぶやきサイト」のTwitter(ツイッター)が、成長期に本社を置いていたので、その成功にあやかって間借りするスタートアップ会社も多い建物です。(795 Folsom Street)
そんなテクノロジーの中心地に、アパート群があったなんて、脇道にそれてみると、普段と違ったものにふと気がつくのです。
すると、目の前の風景も、生まれ故郷の散歩道で見かけるアパート群とぴったりと重なって、一瞬、時空をワープしたのでした。
というわけで、お話もそれてしまいましたが、今日の表現は、こちら。
Stop and smell the roses
セカセカと歩いてばかりいないで、足を止めて、バラのかぐわしさを楽しんでみて。