Essay エッセイ
2010年11月01日

ハロウィーンの過ごし方

先日のエッセイは、ハロウィーンを題材といたしました。

もうすぐやって来るハロウィーンの日曜日は、コスチュームに身を包んだ「トリック・オア・トリート」の子供たちから逃げて、サンフランシスコにお出かけしようかと思っていると。

なぜなら、サンフランシスコは野球のワールドシリーズに沸き返り、街全体がジャイアンツのチームカラー、オレンジと黒に染まっているから。きっとハロウィーンよりも大騒ぎになっているに違いないから。


結局、この晩は、シリコンバレーの南端にある静かなゴルフリゾートに出かけました。ときどき泊まりに行く「隠れ家」のようなゴルフ場です。

まだ夏時間のままなので、午後6時でも辺りは薄明るく、リゾートご自慢の自然の美を十分に楽しめます。

夕刻のひとときが、ここをもっとも輝かせてくれるんじゃないかとも思えるのです。

でも、さすがに夕方はひんやりとするので、テラスには火が焚かれ、キャンプファイアのように暖をとる人もいました。

この晩のディナーは、わたしの誕生日を祝うという名目でしたが、早めに行って、バーで野球観戦をすることにいたします。やっぱり、スポーツ観戦というのは、みんなでやるのが楽しいでしょう。

そして、そう思っている先客もいらっしゃって、いつもは日曜の晩は閑散とするバーには、何組か野球ファンたちが集っていました。

ジャイアンツのユニフォームにしっかりと身を包んだ「バースデーボーイ」のおじさんもいらっしゃいましたね。


試合は2対0でテキサス・レンジャーズに勝っているし、30分ほどしてレストランに移り、静かなディナーとなりました。

まずは、めずらしいバッファロー(牛より大きなバイソン)のカルパッチョから始めます。
 バッファローは脂分が少ないので、煮たり焼いたりするよりも、生のカルパッチョが「まったり感」もあって最適かもしれません。

カルパッチョのお次は、ロブスターのリゾットと、ディナーは着々と進んで行くけれど、バーの辺りからは、ときどき大きな歓声が聞こえてくるのです。

「なるほど、ジャイアンツが得点を入れたに違いない!」と試合の方も気になりますが、ディナーのときには他のことは忘れて会話を楽しむもの。ちょっとシリアスな話題も出てくるので、そちらに集中します。

けれども、やっぱりレストランにいた人たちも試合の経過が気になるらしく、携帯電話でネットアクセスして、得点を追っている男性もいらっしゃいました。その様子を鋭く察知して、隣のテーブルの男性が「今、試合どうなってる?」と、見ず知らずの人にもチェックを入れるのです。


この晩は、サンノゼ辺りでも、試合観戦に夢中の人たちが多かったらしく、いつもはハロウィーンの晩は子供たちを連れて近所を練り歩くという人でも、「今晩は、早めにトリック・オア・トリートを切り上げて、ナイター観戦するぞ!」と、テレビの前に陣取っていたそうです。

「イニングの間に子供たちにお菓子を配る」とか「さっさと玄関の電気を消して居留守を使う」とか、やっぱりハロウィーンよりも野球を優先させた大人たちもいたようです。

「だって、ハロウィーンは毎年あるけれど、ワールドシリーズ出場なんて、何年に一回しか巡ってこないものね!」

なるほど、これは実に筋が通った話です。

(上の写真は、バーに置いてあったパンプキン。「SF」というすかし模様は、サンフランシスコ・ジャイアンツのロゴです。それにしても、うまいですね!)


結局、サンフランシスコ・ベイエリアの願いが叶って、この晩は4対0でジャイアンツの勝ち。そして、シリーズも3勝1敗とレンジャーズに王手をかけたのでした!

新聞の見出しの「Texas Toast!」とは、「レンジャーズは焼きがまわっている(もうすぐお陀仏だ)」という意味です。

だって、ジャイアンツがあと1勝で、ワールドシリーズの覇者となるのですから。

もう、優勝も目の前! 「Within Sight」なのです。

間もなく、敵地テキサスで試合(第5戦)が始まりますが、勝って欲しいという気持ちと裏腹に、ここでひとつ負けてサンフランシスコに戻って来て、ホームグランドで勝って欲しい気もするのです。

そして、ベイエリアのほとんどの人が、まったく同じことを思っていることでしょう。

追記: このハロウィーンの日曜日は、トリック・オア・トリートで練り歩くのにも、スポーツバーにお出かけして野球観戦をするにも、まさにもってこいのお天気でした。

天気予報士の予測がまた、とっても粋なものでした。

Sunday should be fairly pleasant, with a 10 percent chance of goblins.
 日曜日は気持ちがよく、「鬼さんたち」の確率は10パーセントです。
(National Weather Serviceのボブ・ベンジャミンさんの予報)


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