え、これって誰?
3年前の日本の夏は、雨が多く、涼しい夏だったと記憶しておりますが、まあ、今年は暑かったこと!
日本は湿気がありますので、肌にジトジトとまとわりつくような暑さですよね。なかなかカリフォルニアでは味わえない、ホットなひと夏なのでした。
そんな日本滞在を終えてカリフォルニアに戻って来ると、どうもサンフランシスコ・ベイエリアは、例年よりも涼しかったそうですよ。
たしかに、5月を過ぎると一滴も降らない雨が、今年は6月末に激しく降って、それがシーズンの降り納めになりました。
そして、8月は、いつもよりもグンと気温が下がったようです。
少なくとも、わたしが日本にいた間は、オーブンで焼かれるような暑さにはならなかったそうで、なんでも、そんなのは、1976年以来の冷夏なんだとか。
1976年って、今から35年前!
新聞には面白い表現があって、「(歌手の)バリー・マニロウがヒット曲を出し続けて、スティーヴ・ジョブスとスティーヴ・ウォズニアックがアップルを創設して、アメリカが建国200年を祝っていた、それ以来の涼しさだ」ということです。
そんなことを言われても、「何の話?」って思う方もいらっしゃるでしょうけれど・・・。
というわけで、サンノゼに戻ってホッとしたのも束の間、ちょっとびっくりしたことがありました。
皮肉なもので、戻って来た翌日から太陽が照りつける暑い日となったので、次の朝、庭のパラソルを開けようと思い立ったのです。
ようやく、あちらの丘に太陽が差し始める薄明かりの中、よいしょっとパラソルを持ち上げ、全開にします。
すると、半開きにしたあたりで、パラソルの中に何者かが潜んでいるのに気づきます。
うそっ、これって生き物?
もしも動いたらどうしよう?
こちらはおっかなびっくりで、そろりそろりとパラソルを開けるのですが、全開にしても、それは微動だにしません。
なんだか小さいものが、しっかりとパラソルの裏にくっついているんです。
しかも、「ひとり」ではなく、「ふたり」いるんです。
なんとなく丸っこくて、「ねずみ」のようでもあるのですが、まさか、ねずみがこんなにおとなしいわけはありません。
そして、よく見てみると、かわいらしい小さな手でしっかりとパラソルにしがみついているんです。
その手は人間みたいで、お指は5本!
え、これって誰?
もしかして、こうもり?
そう考えてみれば、黒いお耳やお鼻もとがっているし、羽の部分もツルッと黒くて、律儀に折りたたんであるみたいです。
たたみ方がお上手で、なんとなく「折りたたみ傘」のようでもありますね。
そうか、これは絶対にこうもりなんだ!
そして、このふたりは、男のコと女のコのカップルなんだ!
そう思ったわたしは、正体がわかってちょっと落ち着いたのですが、それにしても、なんでまた我が家のパラソルにこうもりがとまっているんでしょう?
日本に行っている間、パラソルはずっと閉じた状態だったので、きっと「いいねぐらがある!」と、ここをお休み場所に使っていたのかもしれません。
以前も、連れ合いがパラソルを開けたら、小さな小鳥がびっくりして飛び出して来たことがありました。
きっと閉じたパラソルというのは、小さな生き物にとって、自分の身を守る絶好の隠れ場所なのかもしれません。
それから一時間ほどすると、庭に大きめの小鳥が遊びに来ていました。
辺りもすっかり明るくなって、小鳥が活発に動き出す時間となったのです。
ふと気がついて、もう一度パラソルを見に行ったら、こうもりはふたりともいなくなっていたのでした。
それ以来、パラソルは開けっ放しなのですが、もう一度閉じたら、「ねぐら」に使ってくれるでしょうか?