ストーンフルーツの季節
アメリカにいると、ちょっと季節を感じにくいかもしれませんね。
とくにカリフォルニアは、春夏秋冬の「四季」ではなくて、乾季と雨季の「二季」。
それでも、食べ物の移り変わりに季節を感じることも多いでしょうか。
その頃は、値段もまだお高いですが、3月、4月になると、真っ赤に熟れた甘いイチゴもだんだんお買い得に。
カリフォルニアはイチゴの名産地なので、おいしいイチゴは、わたしの朝のサラダの大事な定番。こちらは、冬の味覚ブラッドオレンジ(blood orange)との鮮やかな赤いコンボです。
そして、5月中頃になると、そろそろ「ストーンフルーツ」が出始めます。
以前もご紹介したことがありますが、ストーンフルーツ(stone fruits)というのは、桃とかプラムの実の柔らかなフルーツのこと。
実は柔らかいですが、種が大きくて硬いので「ストーン(石)」フルーツと呼ばれます。
やはり出始めはお高いですが、7月ともなると、お店の果物コーナーでは立派な主役。色とりどりに、いろんな種類のストーンフルーツが山積みです。
そうなんです、わたしもまったく気にしていなかったんですが、桃やプラムの仲間には、種類が多いんですよね。
まず、桃の仲間(peaches)には、日本でもおなじみの白桃(white peach)や黄桃(yellow peach)がありますが、ネクタリンもこの中に入るそうですよ。
ネクタリン(nectarines)にもいろいろあって、代表的なものは、白ネクタリン(white nectarine、写真)と黄ネクタリン(yellow nectarine)でしょうか。
いずれのネクタリンも、桃とは違ってツルツルとした感触。でも、実はとってもジューシーで、桃にも劣らないくらいです。
わたし自身は白ネクタリンが大好きですが、こちらはマンゴみたいな、蜜っぽい独特の香りと甘みがあって、おすすめのネクタリンです。
桃も、白桃が好みなんですが、ネクタリンだって、黄色よりも白の方がデリケートなお味じゃないかと思っているんです。
そして、プラムの仲間(plums)になると、もっと色とりどり。
行きつけのオーガニックスーパーでは、赤プラム(red plum)、緑プラム(green plum)、黒プラム(black plum)と、地元で採れたプラムをいろいろと紹介してくれます。
まずは、赤プラム(写真の一番左)。こちらは、もともとの品種じゃないかな? と思っているのですが、オーソドックスなプラムといった感じ。
ちょっと繊維質で、甘みも酸味も控えめな、素朴なお味です。そう、あんまり人が手を加えていないような印象でしょうか。
緑プラムは、その名のとおり緑色(写真真ん中の二つ)。色もお味もブドウのマスカットにも通じるものがあります。甘みも酸味も強く、青リンゴのような爽やかさを感じます。
清涼感をお好みの方には、おすすめのプラムでしょうか。
なぜって、甘くて、ジューシーで、熟した黒プラムは、まるで巨峰のようなコクのあるお味だから。
そう、外観は黒ずんでいてパッとしませんが、皮をむくと、果汁したたる透きとおった果肉。皮の下には、赤い葉脈がはりめぐらされていて、これが黒っぽい色に見せているのでしょう。
熟してくると、実も黄色っぽい発色から、だんだんと赤くなってくるようです。
一方、桃やプラムのストーンフルーツにも、さまざまな「ハイブリッド」があります。そう、品種を交配させて、新しいものが栽培されているんですね。
外観は、赤プラムのようでもありますが、切ってみてビックリ。まるでビーツのように、実が真っ赤です!
お味は意外と淡白で、甘みは控えめなんだけれど、とってもジューシーな果実です。
こちらは、外観もお味も、アプリコット(apricot:英語の発音は「エイプリコット」)に近いフルーツです。
それもそのはず、アプリアムはアプリコットとプラムを交配したものだそうですが、だとすると、たぶん「エイプリアム」と呼ぶのが一般的なんでしょう。
果実はジューシーというよりも、ちょっとモソモソした感じで、日本の果物で言えば、ビワみたいな印象でしょうか。
でも、発色が鮮やかなので、他のものと混ぜても、ひときわ目立ちますね。
アプリアムは、ストーンフルーツの中でも早生(わせ)の品種で、アプリコットは、遅い時期に出回るようです。
というわけで、色とりどりのストーンフルーツ。
カリフォルニアはアジアに近いので、桃をはじめとして、ストーンフルーツの宝庫です。
とりわけ、「シリコンバレー」と呼ばれるサンタクララバレーは、日系農家も多かったので、桃やプラムの果実は深く親しまれてきましたし、大事な作物でもありました。
春にはかわいらしい花が咲き誇り、夏になると、立派な実を結ぶ。
シリコンバレーは、その昔「喜びの谷間(the Valley of Heart’s Delight)」と呼ばれました。ストーンフルーツは、その原点のようなものかもしれません。