「iPhone 7」の発表日に驚いたCM
いえ、これは新しく出た「iPhone 7」のお話ではありません。
アップルが「iPhone 7」を発表した9月7日(現地時間)に驚いたことがあった、というお話です。
でも、せっかくですから、アメリカの反応などをご紹介いたしましょうか。
ま、新しい iPhoneに関しましては、「カメラが良くなった」「防水になった」そして「ヘッドフォンが Bluetooth(ブルートゥース)接続になって、コードがなくなった」というのが、大きな特長でしょうか。
とは言え、どんな機能拡張があったにしても、iPhoneは iPhone。
9月下旬、発売から一週間たっても、サンフランシスコの真新しいアップルショップには、いまだに長蛇の列ができています。
(写真は、新しくユニオンスクウェアの向かいにできたアップルショップ)
そんな「iPhone 7」の発表があった当日、深夜コメディー番組では、こんなスキットがあったのが、印象的ではありました(CBSの『The Late Show with Stephen Colbert』)。
「今日は国民の休日さ、だって新しい iPhoneが発表されたんだから」
とギャグを飛ばすスティーヴン・コベア氏が、アップルCEOティム・クック氏に扮して、iPhoneの新機能を紹介するんです。
新しい iPhoneは、どこまで機能を無くせるかって、極限まで追求したんだ。
ほら、Less is more(少ない方が豊か)って言うだろう?
壊れやすいガラスの画面なんて、もうオサラバさ。
なぜなら画面なんてないから。
しかも、電源をチャージする必要もない。
だって電池なんて入ってないから。
そう、iPhone 7は、金属のかたまり(a solid chunk of metal)なんだ。
どうやって iPhoneの機能を使うかって?
みんなに「iFriend(アイフレンド)」を紹介しよう。彼は、何にでも即答してくれるんだよ。
彼は時間だって「だいたい正午だよ(around noon)」って教えてくれるし、天候だって「いい天気だよ(pretty nice out)」って答えてくれる。
え、どうやって音楽を聴くかって? そんな心配はいらないよ。
アイフレンドくん、僕はここに古い(コード付きの)イヤフォンを持ってるから、君の「iPhone 6」を貸してくれないか
と、アイフレンドから一世代前の「iPhone 6」を受け取り、音楽を聴き始めるコベア氏。
まあ、iPhoneが金属のかたまりだったら、画面が壊れる心配も、毎日充電することもないわけですが、それにしても、なんとも皮肉っぽいスキットではありました。
そんなスキットで始まったこの晩の番組は、女優のウーピー・ゴールドバーグさんが、ひとり目のゲスト。彼女がプロデュースする新しいリアリティ番組を紹介します。
Oxygenチャンネルで放映される『ストラット(Strut)』という新番組で、トランスジェンダー(性転換した方々)のモデルさんたちが登場する、リアリティテレビです。
このゴールドバーグさんのコーナーのあと、画面に流れたコマーシャルに息を飲んだのでした。
オンラインショップのアマゾン(Amazon.com)が「プライムメンバーシップ」を宣伝するコマーシャルですが、なんと、日本で流れているCMを、そのまま放映していたのです!
日本でご覧になった方もたくさんいらっしゃると思いますが、若い夫婦が初めて授かった赤ちゃんは、ライオンのぬいぐるみがお気に入り。
だから、家族のペットであるワンちゃんは大きくて、ちょっと怖い。
それを気づかったお父さん、アマゾンプライムで「ライオンのたてがみ」を注文し、さっそくワンちゃんにつけてみる。
すると、見事に「ライオンさん」に変身したワンちゃん。ようやく赤ちゃんにも気に入ってもらって、鼻先をちょいっとなでてもらう、という微笑ましい光景です。
いえ、なにがビックリかって、日本のコマーシャルが、そのままアメリカで放映されたことです。
わたしが初めてアメリカに渡ってきて三十余年、記憶の限り、そんなことは一度もなかったと思うのです。
まさに「快挙!」とも呼ぶべき出来事なんですが、これは、ひとつに、コマーシャルに言葉がないことがあるのかもしれません。
さすがに、日本語のセリフを英語に「吹き替え」すると、もともとの雰囲気が台無しになってしまいますものね。
それから、日本をはじめとするアジア圏の「かわいい(Kawaii)」という感覚が、ようやくアメリカでも理解されてきたこともあるかもしれません。
ですから、アメリカ側の本社も放映に踏み切ったのでしょう。
そして、世界のどこへ行こうとも、人は基本的に同じなんでしょうね。
嬉しいことは嬉しいし、悲しいことは悲しい。誰かが笑えば、人の喜びが伝わってくるし、涙を流せば、悲しみや悔しさ(ときには嬉しさ)が伝わってくるのです。
どちらの広告代理店のどなたが制作されたコマーシャルかは存じませんが、秀作の海外放映、おめでとうございました!
追記: どうやら、このコマーシャルの「日本版」には続きがあって、お父さんがワンちゃんから「ライオンのたてがみ」を外して、自分でつけてみる、という「落ち」があるみたいです。
「赤ちゃんが気に入ったから、自分も・・・」という、いじらしい光景なんでしょうが、こちらはちょっと余計な感じがしなくもないな、と個人的に思った次第です。
だって、たてがみを注文したあと、ワンちゃんに向かって「大丈夫だよ」とうなずくお父さんは、十分に優しそうではありませんか!
そんなお父さんには、何の細工もいらないでしょう?