空気を守る日
1週間くらい前から、シリコンバレーは急に暑くなったのですが、昨日、今日と、摂氏40度くらいなのです。
さすがに、夏至ともなると、一気に夏の雰囲気となるのですね。
もともとサンフランシスコ・ベイエリアは、「マイクロ気候(microclimate、微気候)」とも呼ばれているように、地域内の気候が微妙に細かく分かれます。
たとえば、サンフランシスコやサンタクルーズの海沿いが霧で涼しく、20度もないときに、内陸部は炎天下で、軽く30度を越えたりします。
けれども、今回は、サンフランシスコもちょっと暑いと聞きました。30度近辺だとか。
でも、当然のことながら、シリコンバレーのような盆地はもっと暑い。華氏100度(摂氏38度)は越えているようです。
我が家のあたりも、きっと摂氏40度はあるでしょう。とくに、我が家は、裏庭が真南に向いていてコンクリート敷きなので、照り返しも容赦ない。
カリフォルニアで南向きの家って、実はあんまりいいことはありませんね。
今日は雲のかけらもないし、外に出るだけで、体が溶けそう。
住宅地に残される放牧場の牛たちも、みんなでかたまっています。きっと直射日光から体を守っているのでしょう。
体中が黒い毛に覆われているから、人間よりも大変そう。
そして、ここまで暑くなると、とたんに警報が出るのですね。何の警報かって、「空気を守りましょうの日」の警報です。
正式には、「Spare the Air Day」といいます(Air は大気のことで、Spare は、助けるとか、守るみたいな意味ですね)。
暑くて無風状態だと、盆地の底の部分に光化学スモッグがたまりやすいので、サンフランシスコ・ベイエリアは、地域一帯で、すぐに大気の状態が悪くなるのですね。
そして、この警報が出されると、大気汚染につながることは極力避けるようにと、お達しが出るのです。
まず、車。排気ガスが一番よくないので、車は家に置いて、みんなで公共の交通機関を使いましょうねと促されます。だから、ベイエリアのすべての交通機関が、一日中タダで乗れるのですね。
去年までは、朝の通勤時間帯だけ無料でしたが、今年から終日タダにして、より多くの人に乗ってもらおうということになったそうです。
それから、これは本当に効くのかどうかは定かではありませんが、ヘアスプレーとか匂い消しのスプレーとか、エアゾールの使用も控えましょう、とも注意されます。
そして、暑いと電気の消費量が多くなるので、冷房も、あまり温度を下げないで使いましょうと促されます。
なんでも、ここ2、3年は、ベイエリアの空気の状態は良くなってきたそうで、昨年は、たった一日しか「Spare the Air Day」が発令されませんでした。その前の年は、二日。
ところが、今年は、昨日、今日と、もう二日連続で発令されているのです。
もしかして、逆戻りの兆し(?)
この写真は、今日(6月23日)撮ったものなのです。シリコンバレーのあるサンタクララ盆地を、南から望んでいます。左に白く写っているのが、幹線道路のフリーウェイ101号線です。こうして見ると、スモッグでどんよりと煙っているのがわかりますよね。
3月の写真と比べてみてください。これはほぼ同じ角度で撮ったものです。この日は、春霞の日でしたが、それでも、サンタクララ盆地の家々が、結構遠くまでしっかりと見えますよね。そして、なんだか手前にある家ですら、色がはっきりしているような気もします。
今日は、すぐ右手にある山脈も、すっきりとは見えません。目の前の空気ですら、よどんでいるようです。
こんな汚い空気を吸っているのかと思うと、なんだか胸のあたりが苦しくなってきますね。
一気に気温が40度に迫った昨日、こんなニュースも耳にしました。
週末に開かれるコントラコスタ郡のフェスティバルを準備するため、早朝からブースの設置をしていた人が、次々と熱射病に。外で働く人は、なるべく日陰を選び、水の補給を忘れずに。
エアコンをガンガンにかけ、倉庫を締め切ってフォークリフトを使っていた人たちが、一酸化炭素中毒に。せっかくの冷たい空気を逃がしたくないのはわかるけれど、空気の入れ替えは、くれぐれも忘れずに。
それから、暑いからって、その辺の消火栓を開けて、水を勝手に出さないように。水遊びしたい気持ちはわかるけれど、実際、火事が起こったときに、水の圧力が弱くて使い物にならないからね。
後日談:昨日の土曜日(7月22日)、7回目の「空気を守ろう」警報が発令されました。この日、各地はオーブンで焼かれるような暑さで、我が家のあたりは、一時摂氏45度に達しました。
この7回目の警報発令に、もうお金がない!と、ベイエリアの交通機関はタダになりませんでした。
実は、ベイエリア大気管理管区というというころが、ベイエリアじゅうの交通機関に払い戻しをするのですが、国から3日分、州から3日分もらっていた資金が、底をついたそうです。
いろんな企業から、「交通機関タダ乗り」のスポンサーになりたいと、問い合わせが来ているそうですが、一日2億円を軽く越える経費。どうなることやら。