1月のスタートライン
今シーズンは雨がほとんど降らないので、ブラウン州知事は「緊急事態宣言(State of Emergency)」を発し、みんなに節水を呼びかけています。
例年、この時期には緑になるカリフォルニアの山々も、真夏のように茶色のまま。草原を走り回るリスちゃんたちも、勝手が違ってちょっと困惑気味(?)
そんな初夏のような日差しの昼下がり、ある女のコと話していて、びっくりすることがありました。
その数日前、彼女が「妹らしき女のコ」と一緒にいたことがあったので、「あのときの女のコは妹なの?」と聞いてみたのでした。
だって、その「妹らしき女のコ」って、彼女をコピーしてちょいと小さくしたみたいな感じだったので。
すると、「そうなのよ。妹は、あれで17歳になるところだから、わたしよりも8歳も若いのよ」と答えます。
妹さんはオトナっぽい雰囲気だったので、17歳というのもびっくりなんですが、もうひとつびっくりしたのは、彼女たちの兄弟・姉妹構成。
彼女には、4歳年上のお兄さんもいて、妹さんの下には、さらに3歳年下の弟もいるとか。
そして、一番上の兄と一番下の弟は、実に15歳(!)も離れているんです(29歳、25歳、17歳、14歳という構成)。
まあ、お母さんは、なんと長い間「妊娠・出産」を経験したものか! と驚いたのですが、お母さんが最初の子を産んだのは、16歳のとき。
だとすると、最後の子を産んだのは31歳になるので、一見「現代社会では珍しいケース」も「そんなに珍しくないケース」とも思えるのです。
なんでも、上ふたりは順調に授かったものの、どうしても欲しかった三人目がなかなかできなくて、やっとできた赤ちゃんが女のコだったので、もうひとり男のコが欲しかった、というのが4人構成の理由だそうです。
彼女はスペイン語が母国語なので、たぶん小さいときにメキシコから移り住んだのだと思いますが、親戚の間では、16歳で子供を産むのは当たり前だと説明してくれました。
だから、自分はもう25歳になるので、「早く子供を産みなさいよ」と親戚の「おばさまたち」にプレッシャーをかけられるとか。
でも、わたしには子供なんてまだ早い、と彼女は言うのです。
だって、1月から学校に通うことにしたから、と。
彼女が働いているお店の近くに、2年制のコミュニティーカレッジがあって、そこに通うことになったとか。
ほんとは、スペイン語と英語の「翻訳・通訳(translator, interpreter)」の資格を取りたいと思っているのだけれど、クラスがいっぱいで、9月まで待たなければならないの。だから、その間、何もしないのもイヤだから、1月からは「メイクアップ」のクラスを取ろうと思って。
もともとは、「メディカルアシスタント(medical assistant:看護師を補助する役割)」の資格を取りたかったんだけれど、今はとっても人気があって、クラスが取れないの。2年も待たないといけないんだって。そしたら、お店のお客さんが「二カ国語できるんだったら、翻訳の仕事なんていいんじゃない?」って、コミュニティーカレッジのクラスを紹介してくれたのよ、と語ってくれました。
たしかに、近年、アメリカのヒスパニック(Hispanic、ラテン系)人口はどんどん増えていて、全米人口の17パーセントがヒスパニックとなっているそうです(2013年国勢調査)。
そして、カリフォルニアやテキサス、フロリダ、ニューヨークといった大きな州にヒスパニック人口が集中する傾向にあります。
一番多いカリフォルニアでは、ヒスパニック系住民は1440万人、二番目のテキサスでは980万人となっています。
カリフォルニアの1440万人って、州人口の38パーセントにあたります。
38パーセントって、「3人にひとり」よりも多いんですよね!
(2011年のデータを分析した Pew Research Hispanic Trends Project, August 29, 2013 より。上のグラフは、ヒスパニック人口の多い州を並べたもの。下のグラフは、州人口に対するヒスパニック系の割合が多い州を並べたもの。割合にすると、ニューメキシコは47パーセントと、ダントツに多いですね)
ですから、カリフォルニアを始めとして、ヒスパニック人口の多い州ではスペイン語を話す人も増えていて、とくに法律や医療の分野では、英語/スペイン語のバイリンガルは、引く手あまたのようではあります。
だって、こういった分野って、言葉がややこしいですものね。
だとしたら、翻訳・通訳のお仕事だって、すぐに見つかるのかもしれません。
そんなわけで、働きながらお勉強をして、資格を取って、新しい仕事にチャレンジしたい! と新年の抱負を語る彼女が、キラリと輝いて見えたのでした。
そう、新年は、何かしら新しいことにチャレンジしたいって思える時期。
「新しい年、新しいキャリア(New Year, New Career)」と題して、広告を見かける季節でもあります。
「この年を、やりたいことをやる年にしてみましょう(Make this the year you do what you love)」と、魅力的なお誘いの言葉も添えてあります。
(こちらは、短期間に料理やワイン、お菓子づくり、菜園経営を学びましょう! という料理学校の「オープンハウス」の広告。働いている人のために夜間授業もあるそうです; Ad of International Culinary Center from the San Jose Mercury News, January 21, 2014)
そこで、キラリと輝く彼女には、こう申し上げたのでした。
「メイクアップ」と「翻訳・通訳」。まったく違う分野だけれど、実際にやってみたら、どっちが好きとか、どっちが自分に合っているとか、そんなことがわかってくるんじゃないかな。だから、そのときに、どっちを続けるか真剣に考えてみたら? と。
いずれにしても、「人のために役に立ちたい!」と言っていた彼女ですので、どっちの道に進んだって「人のためになる」お仕事だと思うのです。
そんな彼女に会うたびに、こちらも激励してあげないといけませんね。