Crinkly(クリクリした)
日本語って、とっても便利な言葉ですよね。
なぜなら、いろんな音や様子を、簡単に表せるから。
稲妻は、ピカッ。
英語となると、そう簡単にはいきません。
ゴロゴロと鳴る雷は、thunder(サンダー)
ピカッと光る稲妻は、lightning(ライトニング)と言います。
表現を違えることで、音と光を区別しているのです。
まあ、雷が近くに落ちて、ビリビリと耳をつんざく鋭い音を crack(クラック)
遠くにあって、モヤッとしたゴロゴロ音を rumble(ランブル)と表現したりして、音にバラエティーがないわけではありません。
けれども、擬音語や擬態語が豊かな日本語と比べて、なんとなく臨場感に欠けるかもしれません。
(Edited image of lightning over Oradea, Romania by Mircea Madau, from Wikimedia Commons)
そんな風に、どこかしら足りない英語の擬音語、擬態語ですが、
日本語と似ていて、ほほえましいものもあるんですよ。
たとえば、葉っぱや花びらにシワが寄って、クリクリした感じになっている
そんな様子を、crinkly(クリンクリー)といいます。
こちらは形容詞ですが、もともとは「シワが寄る」という意味の crinkle(クリンクル)という動詞からきています。
そう、シワシワ、クリクリになっている感じが crinkly というわけですが、
日本語の「クリクリしてる」という表現に、素直に似ているようではありませんか。
この crinkly という言葉は、葉っぱや花びらだけじゃなくて、髪の毛なんかにも使います。
She has crinkly hair
彼女は、クリクリの髪の毛をしている
なんて言われたら、ほんとに「クリンクリン」の髪の毛を想像してしまうのです。
そして、こんな面白い擬態語もあります。
なんとなく熱意がなくて、のっそりと物事をこなす様子を「ダラダラしている」と言いますよね。
こういった「ダラダラ」した様を、英語では dilly-dally と言います。
発音は「ディリ・ダリー」で、「ダラダラする」という自動詞になりますが、こちらは、まさしく「ダラダラ」に聞こえてしまうのです。
時間を無駄に「ダラダラと過ごす」ことにも使いますし、なんとなく「人生をダラダラと生きている」といった場合にも使います。
I was just dilly-dallying after school
放課後、ただダラダラして過ごしてたよ
Quit dilly-dallying already! You’re wasting your life
ダラダラするのは、もうやめなさい! あなたは人生を無駄にしているのよ
という風に使います。
調べてみると、同じく「ダラダラ」という表現には、diddle-daddle というのもあるそうです(発音はカタカナでは表しにくいですが、「ディドゥ・ダドゥル」といった感じ)。
こちらも dilly-dally と同じように「ダラダラする」という意味の自動詞です。
個人的には馴染みのない表現ではありますが、やっぱり日本語の「ダラダラ」と似たような響きであることが、とっても面白いですよね。
きっと「ダラダラ」って、どこの国の人にも、ダ行のイメージなんでしょう!
それから、個人的に感心している表現があるんです。
厳密には、擬態語ではないかもしれませんが、「イライラする」という言葉。
英語では irritating といいます。
「イリテイティング」と「イライラする」って、なんとなく似ていませんか?
たとえば、こんな風に使います。
He is so irritating
彼を見てると、もうイライラするのよ
あんまり喜ばしい表現ではありませんが、人間である以上、なんとなくソリが合わないことってあるでしょう。
そういうときには、動詞を使って
He irritates me
彼ってイライラしちゃう(彼はわたしをイライラさせる)
と言うこともありますね。
誰しも、顔では笑っていても、心の中は穏やかではないときもある。
そんなイライラって、「イラ」とか「イリ」とか「イ」の音で始めてみたいのかも!?
というわけで、英語の擬態語(風)の言葉をちょっとだけご紹介しました。
日本語と比べて決してカラフルではありませんが、それなりに様子が伝わってくるようではありませんか。
追記: ふと思いついたんですが、英語って、日本語ほどカラフルでないわりに、ユーモアに満ちているのかもしれません。
たとえば、バケーションでオフィスやお店を「閉めてますよ」と伝えたいとき。
「Gone fishing(釣りに行ってるよ)」という張り紙を見かけることがあります。
もちろん、釣り好きの方なのかもしれませんが、中には、釣りは一度もやったことがない人もいるかもしれません。
でも、「釣りに行ってるよ」と言われると、そっけない「Out of office」の張り紙よりも、ホッコリとしますよね。