自然界って複雑ね!
でも、サンノゼ市の南端にあって、まわりは自然が残っているような場所なんです。
サンノゼのダウンタウンから来ると、フリーウェイを降りたあと、丘を上って、丘を下った住宅地にあるので、初めて来た人は、たいてい「こんなところに家があるの?」と不安になるくらいです。
そんなわけで、これまでも野生の七面鳥が屋根に乗っかって、みんなでノシノシ走り回っているとか、窓の網戸を小鳥が巣作りのために盗んで行ったとか、さまざまな自然界との「ふれあい」をご紹介してきました。
まわりにはコヨーテやボブキャット、野生の豚なんかも生息していますが、どちらかというと、我が家のまわりは、かわいらしい生き物が多いでしょうか。
かわいらしい生き物というと、うさぎの子供が裏庭でちんまりとまるまっていたこともありました。
そして、ハミングバード(はちどり)は、花の蜜を吸いに毎日ブンブンと飛び回っています。
でも、今年はいつもと違って、リスが訪ねて来るようになったんです。
リスは、シリコンバレーの住宅地でも頻繁に見かける動物ですが、我が家で見かけるのは初めてです。
ある日、あ、リスだ! と裏庭で発見して以来、毎日のように訪ねて来るようになりました。
食べ物を探しているのか、「この花は食べられるのかな?」と、キッチンの窓辺の花をクンクン嗅いだりしています。
この辺のリスって、近くで見ると、かなり大きいんですよね。
このリスくん、いつもは単独行動なんですが、ある日、他のリスと一緒のことがありました。
木を登ったり降りたり、追いかけごっこをしています。たぶん、メスのリスとお友達になったんでしょう。
あら、かわいい! とキッチンから眺めていたら、そこは、晩春の「恋の季節」。
いきなり、子作りの行動を始めたのでした。
なにせ初めての光景だったので、パチパチ撮らせていただいたんですが、これって「プライバシーの侵害」ですよね。
それからしばらく二人でじゃれあってるなと思ったら、間もなく、メスのリスちゃんは、プイっとどこかに走り去って行きました。
意外と、素っ気ないんですね、二人の関係って。
そんな素っ気ない二人とは裏腹に、いつも一緒のカップルを見かけます。
散歩道で見かける、マガモの夫婦です。
前回の「小鳥の離婚」というお話でもご紹介しましたが、マガモの離婚率は、きわめて低く、9割のカップルは最期まで添い遂げるそうです。
そう言われてみると、大きくうなずけるくらい、見ていても仲が良いのがわかります。
このカップル、いつもご近所さんの前庭で休んでいるんですが、オスがヨチヨチと歩き始めると、メスは「わたしも」と後を追います。
もう、片時も離れていたくない! といった様子なんです。
ところが、この平和な二人に異変が訪れました。
三軒ほど離れたご近所さんが、前庭の木に餌の袋を吊るすようになって、そこに別のマガモたちがやって来るようになったんです。
そう、もともとここに住んでいた二人の縄張りが乱された感じ。
最初は、5羽かと思ったんです。メスが3羽に、オスが2羽。
メスの1羽は、遠慮がちに遠くからみんなを眺めているので、あら、かわいそう、ひとりっきりで・・・なんて思っていたんです。
すると、オスが1羽、上空からバタバタと飛んできて、誰を狙うのかと思えば、すでにペアを組んでいるメスを追っかけ始めるんですよ!
ひとりきりのメスを追いかければいいのに、よりによって、ちゃんとお相手のいるメスにちょっかいを出すなんて。メスはいやがって、逃げ回っているのにねぇ・・・。
それから二日後、事態はもっと複雑になっていました。
こちらには9羽しか写っていませんが、ちょっと離れたところから、みんなをにらんでいるオスが1羽いるんです。
そして、よく見てみると、10羽のグループは、メスが3羽に、オスが7羽と、かなりいびつな配分になっています。
どうやら、二日前の状態から、オスが4羽も増えた様子。
こちらのシーンでは、1羽のメスが、あるオスにくっついて歩いているのに、それを3羽のオスたちが追いかけているではありませんか!
これでは、いかになんでも、カップルになりにくいですよねぇ・・・。
そんなお騒がせなオスたちの襲来ではありますが、やはり、もともとのカップルは、ぺったりと寄り添って離れません。
まわりの喧騒に迷惑そうではあるものの、二人の絆は、まさにゆるぎのないものなのです。
さすがに、マガモの愛情は深いようですが、実は、マガモのペアって、オスとメスだけじゃないのかもしれません。
こちらの写真では、2羽が仲良くくっついて泳いでいますが、よく見るとオスとオスのペアです。
たぶん、このオスたちは、メスと一緒にいるよりも、オス同士でいた方が心地よいと思っているのでしょうが、そんな同性のカップルって、動物界には数多く見られるそうですよ。
野生では観察しにくいことではありますが、動物園にいるペンギンとか、ワシとか、同性カップルの例は、いくらでも報告されています。
ニューヨーク・マンハッタンのセントラルパーク動物園にいたオス同士のペンギンカップルは、1羽がかいがいしく卵を抱いて、見事に孵化させたと聞いています。
もちろん、自分の卵ではありませんが、親としての愛情は、性別に関係ないのかもしれませんね。
というわけで、自然界を観察していると、まったく飽きないことだらけなんですが、例のマガモ夫婦はどうなったんでしょう?
マガモのグループが10羽にふくれあがったあと、ご近所さんが餌の袋を取り払って、もとの二人に戻ったのでした。
たぶん、このままにしておくと、収拾のつかないことになる! と、ご近所さんは餌をやめたんでしょう。
わたしが何も知らないで、勢いよくお散歩していたら、木の根元にいたメスがビックリして、飛びのいたんです。
すると、それを見ていたオスがバタバタと飛んできて、メスを守ろうと身構えるんですよ!
まあ、なんともうらやましい、「白馬の騎士」みたいなダンナさまなのでした。
そんなわけで、自然界も複雑なもので、いろいろとあるんです。
でも、二人にはまた、平和な日々が戻りましたとさ。
めでたし、めでたし。