Laughter in the family(笑う門)
<英語ひとくちメモ その149>
今年は、2月3日が「節分」だそうですね。きっと、あちらこちらで豆まきが行われることでしょう。
カリフォルニアに住んでいた頃は、あまり馴染みのない行事でしたが、子どもの頃は、家や教室の中で豆まきをした記憶があります。
鬼さん役の人は、さぞかし大変なんだろう、と大人になると同情する役どころですね。
先日、福岡の近所をお散歩していたら、節分が近いことをお知らせする、こんなディスプレイを見かけました。
「無病息災」
「鬼は外」
「福は内」
こんな風に、美しく毛筆で書かれた手前には、この一言も。
「笑門来福」
こちらは、「笑う門には福来たる」ということわざを四字熟語で表したものでしょう。
これを見て、自分だったら「笑う門には福来たる」をどんな風に英語にするだろう? と考えてみました。
そこで思いついたのが、こちら。
Laughter in the family invites good luck
直訳すると、「家族の笑いが福を招く」というもの。
英訳する上で、何を一番強調したいかな? と考えると、「笑い」じゃないかと思うのです。
そう、「福」ではなく、「笑い」の部分。「笑えば、いいことがあるさ」という感じ。
ですから、「笑う門」つまり「家の中の笑い」を表す laughter in the family を主語にしたいのです。
そして、笑いが「福を招く」わけですから、invites good luck がいいんじゃないかと思ったわけです。
まあ、これは原文の「来福(福が来る)」ではありません。原文どおりにするのだったら、Good luck comes to 〜 とすべきなのでしょう。
もしも学校の「英訳をしなさい」という問題だったら、わたしの英語版は 0点なのかもしれません。
けれども、言葉や文化が違う人に何を一番伝えたいかを考えるとき、どうやったら一番簡潔に伝えられるか? が大事になってくると思うのです。
複雑になればなるほど、相手は混乱し、なかなか理解してもらえなくなるので、なるべくストレートに伝えるのが良いのでしょう。
ですから、主語としたい「家族の笑い」を強調して「家族の笑いは福を招く」と言い換えた方が、ストレートに相手の頭に入るのではないかと考えたのです。
ここで、laughter in the family(家族の笑い)と good luck(福)をつなぐ動詞を考えると、「来る(come)」というニュートラルな表現よりも、「招く」「引き込む」というような能動的なアクティヴなものが良いと思うのです。
ですから、invites が良い、と考えたわけです。
Laughter in the family invites good luck
いえ、invite という動詞は、おもに「誰かが誰かを招待する」という意味で使われます。
けれども、主語を「誰か」のように擬人化して使うこともあって、「家の中の笑い」という人ではない主語であっても invite を使うことは可能です。
そう、この場合は「いさかいは災いを招く」みたいに、「〜が〜を招く」という意味になります。
と、こんな背景があって、A invites B という簡単な構文を思いついたのでした。
ここで、さらに細かい話をすると、A と B の部分をどんな表現にするか? という問題が出てきます。
けれども、これは好みの問題でしょう。
わたしは「笑う門」は laughter in the family とか laughter in the household が良いのではないかと思いましたが、違った表現でも良いでしょう。
そして、「福」は good luck でも good fortune でも blessing でも、好きな言葉を使えば良いと思います。
そう、どんな言葉を選ぶのかは、その人の好き嫌いとか、センスの問題だと思います。
というわけで、わたしの落ち着き先は、Laughter in the family invites good luck
クドクドと「笑門来福」について語ってしまいましたが、英語にする上で一番大切なことは、ストレートに簡潔に! ということ。
相手は、育った言語も文化も思考回路も違う人。だったら、できるだけ簡潔にいきましょう!