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英語ひとくちメモ/場面
English Words 英語ひとくちメモ
2023年08月13日

I’m melting(もう解けそうだよ)

<英語ひとくちメモ その164>

連日、猛暑が続く日本列島です。


This summer is exhibiting unprecedented heat in modern records

今年の夏は、近代の記録では前例のない猛暑となっています


なんでも、これは日本だけではなく、世界じゅうの傾向だとか。科学者の研究によると、7月は、過去12万年で世界の平均気温が一番高かったとのこと。


これを受けて、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、このような警告を発しました。


The era of global warming has ended; the era of global boiling has arrived

地球温暖化の時代は終わった。地球沸騰化の時代が到来したのだ


そんな中、カリフォルニア州サンタクララ郡は、こんな注意喚起をしています。


During hot weather, it is important to stay hydrated, avoid strenuous activity and check on friends and family who may not have access to air conditioning

暑いときには、水分を十分に摂取して、過度な運動は避けて、エアコンのない友達や家族をチェックすることが大事です


水分をたっぷり摂る(stay hydrated)、無理な運動は避ける(avoid strenuous activity)というのは、猛暑対策の基本的なアドバイスですね。


そして、エアコンが完備されていない住宅もあるので、そんなお宅を心がけることや、コミュニティーセンターや図書館などに cooling center(冷房の効いた避難所)を設けることも大事になってきます。


2003年夏にヨーロッパを旅したとき、スイスやフランスではエアコンがない家も多く、たくさんの人が猛暑で亡くなったと、ニュースになっていたのを思い出します。


もともと夏でも涼しい地域では、エアコンなんて無用の長物でしたが、もうそんなことを言ってはいられないほど、地球全体がヒートアップしています。



そして、今日の表題になっている文章


I am melting

わたしは解けている


自分を氷に見立てて、「この暑さで、もう解けそうだよ」と言っています。


東京のホテルで朝食を食べているときに、隣のテーブルから聞こえてきた悲鳴です。


何もしなくても、ここに歩いてくるだけで解けちゃうよと、日本の猛暑に驚いているご様子でした。


これを聞いて、おや、珍しい! と思ったのでした。


それは、暑いときに melting という言い方を耳にしたことがなかったから。


たとえば、こんな風におっしゃる方はいるかもしれません。


I am boiling

わたしは沸騰しています(沸騰するほど暑いです)


I am roasting

わたしは焼かれています(焼かれるほど暑いです)


けれども、I am melting(僕は解けてなくなりそうだよ)とは、独創的な表現だと印象に残ったのでした。


I’m melting は、映画『オズの魔法使い(The Wizard of Oz)』で、西の魔法使い(the Wicked Witch of the West)が解けてなくなるときに叫んだ悲鳴。暑いときに使われるとは!



では、英語で「(体が)暑いよ」は、一般的にどんな表現があるでしょうか?


ごく単純に、こんな言い方がありますね。


I am hot

わたしは暑いです


I’m so hot!  I’m going inside

もう暑くてしょうがないわ。(家の)中に入るわ


ちなみに、この I am hot は、「言い方に注意してね」とおっしゃるアメリカ人もいるかもしれません。


それは、hot という言葉にはスラングで「セクシー」という意味があるから。「わたしは魅力的なのよ」と自慢しているように誤解されてはいけませんからね。


けれども、暑いときには文脈でわかりますので、I am hot で十分です。


熱があって体がほてっているときにも、I am feverish の代わりに I am hot と言うこともあります。



一方、「(お天気が)暑い」というのは、どう表現するでしょうか。


そう、「It is 〜」という形を使いますね。


It is hot today

今日は暑いです


 It is so hot outside

外は、ものすごく暑いです(so の代わりに very でもいいですね)


「蒸し暑い」というのは、このように言います。


It’s hot and humid in summer in Japan

日本は、夏は蒸し暑いです


カリフォルニアなどは、hot and dry(暑いけれど乾燥している)という感じですが、日本の夏は hot and humid(暑くて湿気がある)のが普通ですね。


先日、東京が暑いという話をしたら、カリフォルニア州サンノゼ市のご近所さんはこうおっしゃっていました。


It is hot in Tokyo!  I remember being there in June and July.  It was very hot and humid like Florida

東京は暑いのね! 6月と7月にあそこにいたことを思い出すわ。もうとても暑くて湿気があって、まるでフロリダみたいだったわね


蒸し暑いことは、muggy(発音は「マギー」)と言うときもあります。湿気がムンムンで、まるでサウナといった感じ。


ルイジアナ州やジョージア州、フロリダ州といったアメリカ南東部は、muggy の方が適切な表現なのでしょう。


肌がベタベタする暑さのときには、sticky(発音は「スティッキー」)と言うこともあります。


湿気や汗でベタベタして、不快なときに sticky を使います。


塩気を含んだ海風で、肌がベタベタするときも sticky と表現します。


ノリがベタベタするとか、地面に落ちたガムが靴裏についてベタベタするときも、 sticky を使います。転じて、オフィスの必需品「付箋紙」も、sticky notes と言うこともあります。



それから、「とても暑い」という形容詞では、scorching(発音は「スコーチング」)というのもあります。


動詞の scorch とは、「(熱で)〜を焦がす、火傷させる」といった意味ですが、太陽が強すぎて、肌がジリジリと焼け焦げそうというときに scorching を使います。


We must endure another day of scorching heat

焼け焦げるような暑さを、もう一日我慢しなければならない


一日だけなら我慢できますが、日本の暑さはもっと続きそうですよね。


こんな風に言うこともあります。


It’s a scorcher

今日はものすごく暑いよ


この scorcher は名詞で、「とっても暑い日」という意味です。


そして、「蒸し暑い」という形容詞には、sweltering(発音は「スウェルタリング」)というのもあります。


It’s sweltering outside

外は暑くてムシムシするよ


ものすごく蒸し暑くて、空気が重く淀み、息をするのも大変といった印象のある言葉です。


Scorching は太陽がジリジリ、sweltering は蒸し暑くて空気がどんより、という感じの形容詞でしょうか。



ちなみに、It is hot を使った、こんな面白い表現もありますよ。


Is it getting hot in here, or is it just me?

部屋の中が暑くなってきた? それとも僕がそう感じているだけ?


It’s hot in here というのは、ここ(部屋の中)が暑いという意味です。が、上の文章は、部屋が暑くなってきたのか、それとも自分がそう感じているだけなのかと、緊張(自分の熱)で暑さを感じているのかもしれない、と言っています。


たとえば、恋人のことを聞かれてあれこれと話していたら、だんだんと照れくさくなって暑くなってきた、といった状況が当てはまりますね。


本人だけがあせって顔がほてっているけれど、まわりの人は面白がって話を聞いている、みたいなシーンを思い浮かべます。



というわけで、今日の話題は I’m melting


日本の夏の暑さを、うまく表現した悲鳴でした。


今は、暑さを避けようとビーチに行っても、熱中症(heat exhaustion)や重度の熱中症(heat stroke)になって危ない、という状況です。


夏だ、海だ! と気軽にビーチに行く時代は、もはや過ぎ去ってしまったのでしょうか。


Scorching heat, wildfires, floods, tornadoes and hailstorms have forced many travelers to change their itineraries

焦げるような暑さ、山火事、洪水、竜巻、そして大降りの雹(ひょう)が、多くの旅行者に旅の計画を変更させている


暑すぎるとか、台風が来るとか、天候が不安定だと思ったら、臨機応変に日程(itinerary、発音は「アイティネラリー」)を変更する。


残念ながら、今となっては、それも旅の常識なのかもしれませんね。



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