Up, Up and Away(上へ、上へ、そしてかなたへ)
<英語ひとくちメモ その178>
いつまでも暑いと思っていたら、急に肌寒くなってきました。
考えてみれば、そろそろ10月も終わり。明日はもう、ハロウィーンですね。
福岡市の繁華街・天神(てんじん)にある花屋さんでは、ハロウィーン真っ盛り。
ふとアメリカを思い出して、信号停止した車の中から写真を撮ってみました。
そんな10月の英語の話題は、こちら。
Up, Up and Away
カタカナで書くと「アップ アップ アンド アウェイ」
「上へ、上へ、そしてかなたへ」という意味。
こちらは、有名な歌の題名なんです。
1967年にアメリカで大ヒットした、ソウル・ポップグループ The 5th Dimension(フィフス・ディメンション)の『Up, Up and Away』。
軽快なリズムに乗って、男性3名、女性2名のグループが歌い上げるアップテンポなヒット曲。あまりの人気に、6部門でグラミー賞を獲得したんだとか。
それで、何が上へ、上へと上がって行くのかというと、この次の歌詞でわかります。
それは、My beautiful, my beautiful balloon
「わたしのキレイな、わたしのキレイな気球(balloon)」というわけです。
(乗り物の巨大な気球も、飾りに使う小さな風船も、英語では balloon といいますね)
まさに気球に乗って、上へ、上へと空に舞い上がるような、uplifting(気分が高揚するよう)な素敵なラブソングです。
Up, up and away のところで音階がちょっと上がって、まさにサビの部分に入るので、わたし自身この部分しか知らなかったんですが、実は、最初の方にはこんなお誘いが。
Would you like to ride in my beautiful balloon?
わたし(僕)のキレイな気球に乗りたくない?
We could float among the stars, you and I
星々の間を浮かぶこともできるのよ、あなたとわたし(僕)で
For we can fly, we can fly
だってわたし達、飛べるんですもの、飛んで行けるんですもの
気球に乗って飛んで行けたら、世界はもっと素敵なところで、もしかしたら、あなただってわたしへの愛に気がついて、二人で夢を追って行けるのよ
といったロマンティックな内容で、とってもストレートに、清々しく夢を語るラブソング。きっと時代が、前向きな歌を要求していたのかもしれませんね。
古い歌のわりに、複数の航空会社のコマーシャルにも使われたりして、誰もが知っているポピュラーソング。
それで、この曲を思い出したのは、先日ロスアンジェルスのドジャーズスタジアムで開かれたワールドシリーズ第2戦で流れたから。
アメリカの球場には、オルガン担当の人がいるでしょう。このスタジアム・オルガン奏者が『Up, Up and Away』のサビの部分を弾いていたんです。
たぶん、ヒットボールが空高く飛んで行け! と願いながら弾いていたんでしょうね。「あら、懐メロもオルガンで演奏するのね」と印象に残ったのでした。
この日は、大谷翔平選手が肩を亜脱臼して気を揉みましたが、とりあえずチームは2連勝して良かったね、という展開となりました。
ここで、せっかく up と away という副詞が出てきましたので、まずは up を使ってみましょう。
たとえば、こちら
The air is thinner up on the Matterhorn
マッターホルンの上では、空気が(下界に比べて)より薄い
この文章では、up がなくても意味は通じますが、「上の方」という部分を強調したいので、up on the Matterhorn と言っています。
そして、up は動詞と組み合わせて使うこともよくあります。
What goes up must come down
上がったものは、下がらないといけない
上に放り投げたものは、重力の影響で必ず落ちてくる。転じて、モノの値段とか人気とか、急に上がったものは、時間がたつと必ず下がってくるものだ、という意味。
まあ、卵や米の値段など、一度上がったら下がりにくいものもありますが、住宅価格(home price)などは、上がったり下がったりを周期的に繰り返しているようでもあります。
株価(stock price)も同じですが、モタモタしているとまた下がってしまうので、売り時を見極めるのが肝心でしょうか。
まさに、Buy low, sell high(安く買って、高く売る)が理想なのです。
そして、もうひとつ出てきた away という副詞。
こちらは、たとえばこんな風に使います。
Many college freshmen move into dormitories away from home for the first time in their lives
たくさんの大学一年生は、生まれて初めて自宅から遠く離れて、寮に入る
この away from home というように、「away from 〜」という形はよく使われます。
She kept herself away from prying eyes
彼女は、私生活を覗き見するような詮索の眼差しから逃れて暮らした
かつて名声を博した歌手や俳優さんなどは、人々の好奇の目にさらされるのが、わずらわしいこともあるのでは。
そして、この「away from 〜 」の形で動詞を一緒に使ってみるとすると、まず思いつくのは、stay という動詞。
Stay away from 〜 という形で、「(人やもの)から距離を置く、近づかない」という意味になります。
たとえば、こんな風に使います。
Stay away from rough water
荒れた海には近づいてはいけません
「荒れた海」は、よく rough water といいますが、rough sea(荒れた海)とか choppy sea(波の高い海)とか stormy sea(嵐っぽい海)を使ってもいいと思います。
そして、stay away from 〜 は、人にも使えます。
You should stay away from him
彼には近づいちゃいけませんよ
なんだか彼との関係は危ういから、もう近づいちゃダメよ、と助言する文章ですね。
というわけで、今日の話題は、Up, up and away
Up と away という二つの副詞を使った、60年代のヒットソングのタイトルでした。
ちなみに、The 5th Dimensionが歌うオリジナルの『Up, Up and Away』は、YouTubeなどでもご覧になれます。
軽快なリズムに乗って、サビの部分は「アップ、アップンナウェイ」にも聞こえますね。
チャンスがありましたら、ぜひお楽しみください!