Business trip: Part I(出張パート1)
こちらの「英語ひとくちメモ」のコーナーも、思い付くままにいろいろ書いてきて、はや57話となりました。
ときどき自分でも読み返してみたりはするのですが、まあ、何とも、役に立つかどうかもわからないようなことをごちゃごちゃと書いているものだと感心するのです。
けれども、これにはちゃんと自分なりの意図があるのですね。
今さら申し上げることもないでしょうけれど、わたし自身は、このコーナーを「英語のお勉強の場にしよう!」と堅苦しく考えているわけではありません。だって、お勉強の場でしたら、他にいいものはたくさんあるでしょうから。
とすると、何のために書いているのかというと、それは、アメリカなどの英語圏に旅して、現地の言葉を耳にしたとき、「あ、この表現どこかで聞いたことがある!」と、思い出していただきたいからなのです。
知っている言葉を思い出すことで、何かしら取っかかりができたら、そこからもっと新しいものを吸収することができるのではないかと思うのです。
ですから、日常ふと耳にするような表現をご紹介してみようと、日々の生活での使い方も含めて、いろいろとご披露しているのでした。
たとえば、出張でアメリカに来られたビジネスマンの方。お仕事で来られたにしても、現地に到着したら、まずホテルにチェックインするでしょう。
そんなとき、ホテルのフロントで発する一番簡単な表現は、こちらでしょうか。
Check-in, please.
「チェックインをお願いします」
My last name is Suzuki.
「わたしの苗字は鈴木です」
ホテルは事前に予約しているものなので、こちらが最低限の情報を提示すれば、用事は軽く済んでしまいますよね。
すると、あちらはこう返してくるかもしれません。
Welcome, Mr. Suzuki. Your last name is the same as Ichiro’s. I’m a big fan of his.
「ようこそ、鈴木さま。あなたの苗字は、イチロー選手と同じですね。わたしは彼の大ファンなんですよ。」
西海岸ワシントン州のシアトル辺りでは、なんとなく聞こえてきそうな応対ですね。
逆に、サンフランシスコ・ベイエリアでは、「イチロー選手の大ファン」なんて言葉は聞くことはないかもしれません。
だって、ベイエリアのオークランド市には、マリナーズと同じアメリカンリーグ西部地区のA’s(アスレチックス)がおりますので、イチロー選手の大活躍を嫌う人は多いでしょう。
(そうなんです、A’s球場に観戦に行くと、イチロー選手は、立派に観客からブーイングを受けています!)
そうやって、ホテルにチェックインしたあと、何か飲み物を買って来ようと、歩いて近くのスーパーマーケットまで行ったとします。
まあ、アメリカのスーパーなんて、日本によく似ていますので、欲しい物を探すのにあまり苦労はしないかもしれません。
けれども、レジではいろいろと話しかけられますよね。
たとえば、以前ご紹介したことのある、この有名な言葉。
Paper or plastic?
「紙袋とビニール袋はどちらがいいですか?」
こちらは、「Paper or plastic?」というお話で詳しくご説明しましたが、レジで商品を袋に詰めてもらう段階で、必ずと言っていいほどに尋ねられることです。(アメリカの場合は、自分で袋に詰めることはほとんどありません。袋詰めも、立派な仕事ですから。)
今では、サンフランシスコ市のように、環境保護の観点からビニール袋を禁止してしまった自治体もありますので、そうなると、黙って紙袋に詰めてくれます。でも、シリコンバレーのサンノゼ市などでは、両方使っているお店も多いので、Paper or plastic という言葉は、まだまだ健在です。
もしもビニール袋の方がいいという場合には、こう答えれば大丈夫です。
Plastic, please.
「ビニール袋をお願いします」
それから、レジではこんなことを聞かれるかもしれません。
Did you find everything OK?
「探している物は全部ちゃんと見つかりましたか?」
こちらの表現には微妙なところがありまして、まあ、どちらかと言うと、あいさつとか、社交辞令とか、そんな意味合いの強い質問ではあるのです。
ですから、物議をかもし出さないように、こう答えればいいでしょう。
Yes, thank you.
「はい、見つかりました。お気遣いありがとう。」
まあ、ベテランのレジの方で、棚に何が積まれているかを熟知している方だったら別の話ですが、アルバイトのレジ係に「探しているブランドの歯ブラシが見つからないんだけど」と言ったところで、それは「のれんに腕押し」なのです。
ですから、Yes, thank you と受け流しておいた方が無難でしょう。
そうそう、ビールやワインなどのアルコール飲料を買おうとしたら、日本人の多くの方はレジでこう聞かれることでしょう。
May I see your driver’s license?
「あなたの運転免許証を見せてください」
これは、国の法律で「21歳以上じゃないとアルコールを買ってはいけない」となっているので、運転免許証で年齢を確認したいということですね。
厳密に言うと、国の法律(the National Minimum Drinking Age Act of 1984)では、「未成年がアルコールを買うこと」と「公の場で保持すること」を禁止していて、「飲むこと」を禁止しているわけではありません。
けれども、州レベルの法律では、「買えない」と「飲めない」は同義語のようになっているので、どの州でも「飲酒年齢(drinking age)は21歳」となっています。
年齢を証明するためには、州発行の免許証を使いますが、これを持っていない場合は、パスポートでもいいですね。ですから、普段はパスポートを持ち歩くことはお勧めしませんが、アルコールを買うときは、パスポートを携帯することをお勧めします。
アメリカで運転する方は、国際免許証でもいいと思います。こちらも顔写真があって生年月日が明記されているので、年齢証明になるでしょう。
日本人(アジア人)は、実年齢よりも若く見られがちですよね。アジア系住民に慣れた西海岸ではまだしも、東海岸の州では「あなたほんとに21歳以上?」と、年齢を問われるかもしれません。
おっと、いけない! 出張の話からずいぶんと遠ざかってしまいましたが、この続きは「出張パート2」として、オフィスでのあいさつなどをご紹介いたしましょう。