Finish sentences(文章を終わらせる)
<英語ひとくちメモ その165>
暑かった夏も、そろそろ終わりでしょうか。
華やかな晩夏の花火は散り行き、虫の音が響きわたる。
季節も一気に進んだように感じられます。
そんな今日のお題は、
Finish sentences
これだけ見ると、「文章を終わらせなさい、完結しなさい」という命令文になりますね。
Finish your sentences
と言うと、親が子供に注意をしているようにも聞こえます。
いつも文章の最後の方になると、口がモゴモゴして、言葉が聞こえなくなる。
だから、自分が思っていることは、最後まではっきりと言いなさい、と注意をしているような感じ。
けれども、この finish sentences には、面白い使い方があるのです。
それは、こちら。
We finish each other’s sentences
わたし達は、お互いの言うことを完結し合うんです
日本語に訳すと、なんだか変な文章ですが、「お互いが口にする文章の最後を補えるほど、仲が良いんです」という意味になります。
文章自体には、ひねりはありません。Finish each other’s sentences は、「お互いの言っていることをお互いが言い終える」という意味です。
Aさんが言い始めた文章をBさんが言い終え、Bさんが言い始めた文章をAさんが言い終える、ということ。
けれども、これは互いを知り尽くしていて、相手が考えそうなことや、言いそうなことを理解しているからできること。ですから、転じて、とても仲が良いということになります。
実際、この文章を耳にすると、「わたし達って、とっても仲が良いのよ」と自慢されているようにも聞こえるのです。
いえ、このように言えば簡単なんですよね。
She and I are good friends
彼女とわたしは良い友達なのよ
でも、She and I finish each other’s sentences と言うと、ちょっとオシャレに仲良しであることを表現できるのです。
「仲が良い」という意味では、こんな表現もありますよね。
We are on a first-name basis
わたし達は、お互いをファーストネームで呼び合っている
この on a first-name basis というのは、「ファーストネームで呼び合うことを基本としている」という意味ですが、「お互いにファーストネームで呼び合っている」ということになります。
ラストネーム(苗字)ではなく、ファーストネームで呼び合うことは、仲の良い証拠だということで、「わたし達は近しい関係にある」ことを意味しています。
この表現を聞いて思い浮かべるのが、日米の政治家の関係。
1980年代、アメリカの第40代大統領 ロナルド・レーガン氏と日本の第71代内閣総理大臣 中曽根康弘(なかそねやすひろ)氏は、互いに「ロン(ロナルドの愛称)」と「ヤス」と呼び合っていたとのこと。
これ以降、日本の首相はアメリカの大統領をファーストネームで呼ぶようになったようですが、日米の外交関係も、戦後の統治時代を脱却して、少しは対等になったのでしょうか?
ちなみに、わたしが行ったカリフォルニア州の大学では、お友達でもないのに、先生(教授)をファーストネームで呼んでいました。ただひとり、言語学の先生だけは、「わたしを〇〇博士と呼んでください」と学期初めにクギを刺されましたが、それ以外の方は、学生とも first-name basis。
その後、フロリダ州の大学院では、先生を「ドクター〇〇(〇〇博士)」と呼んでいたので、もしかすると、カリフォルニア州がやけにカジュアルだったのか(それとも、フロリダ州が堅苦しかったのでしょうか)。
そう、アメリカでは、一般的にファーストネームを使うことが多く、ご近所さんの付き合いでも、往々にして苗字を知らないケースが多いです。
一度、連れ合いの会社の日本人スタッフをサンノゼ市郊外の我が家に招いたら、間違った住所が伝わっていて、「近所の方々に〇〇家はどこか? と苗字で質問しても、誰も知らなかった、ご近所付き合いはちゃんとやっているの?」と聞かれたことがありました。
クリスマスカードを出し合うような関係なら、もちろん苗字まで知っていますが、それ以外のご近所さんの場合は、「はて、あの人のラストネームは何だったっけ?」ということが多いのです。
なにせ、オフィスでも、上司に向かって堂々とファーストネームで呼びかける国ですからね。
ここでついでに、メールや手紙などの(書く)文章でよく使われる表現をご紹介いたしましょう。
たとえば、ビジネス的なメールは内容がドライになりがちですが、いきなり本題に入る前に、このような一文を冒頭に入れることも多いです。
I hope this finds you well
直訳すると「あなたが健康でいらっしゃることを、これ(メール)が見つけるように願っています」というわけですが、「お元気にお過ごしと思います」という意味ですね。
こちらもポピュラーな表現です。
Hope all is well with you
あなたにとってすべてが順調であることを願っています
二つとも、とても英語的な表現ですので、そのまま覚えていると便利だと思います。
上の二つの文章は、なんとなく使い古された表現ということで、このように言い換えることもあります。
たとえば、月曜日に出すメールだったら、
Hope you had a great weekend with your family
あなたのご家族とともに素敵な週末を過ごされたことと願っています
週の真ん中だったら、こんな言い方もありますね。
I hope you are having an amazing week
あなたが素敵な週をお過ごしのことと願っています
ごく一般的に、こんな文章でもいいと思います。
I hope you are doing great
あなたが健やかにお過ごしのことと願っております
わたし自身は、上記のような挨拶を愛用していますが、こんな文章もよく使いますね。
I hope you are holding up in this summer heat
この夏の暑さの中で耐え抜いていることを願っています
Hope you are enjoying the crisp autumn air
爽やかな秋の空気を楽しんでおられることと願っております
いえ、冒頭の軽い挨拶ですから、思っていることを書けば、相手もほっこりすることでしょう。
お決まりの定型文にとらわれることなく、季節のうつろいや楽しいイベントと、相手に関するいろんなことを思い浮かべて、ご自身の言葉で挨拶を編み出すことをお勧めいたします。
というわけで、またまたお話がそれましたが、今日の話題はこちら。
Finish each other’s sentences
She and I finish each other’s sentences と言えば、仲良しであることを表している、というお話でした。
なかなか日本語では使わないような、ユニークな英語の表現ですよね!