Hanging around(ぶらぶらしている)
今日のお題は、Hanging around
動詞の hang around に「現在進行形の ~ ing」が付いています。
普通、hang というと、「~ を(壁に)かける」とか、「(雲が空に低く)たれこめる」とか、「(判断が)宙ぶらりん」だとか、そんな意味ですね。
でも、hang around となると、「とくに目的もなく、その場にいる」とか、「その辺でぶらぶらする」といった意味になります。
ですから、現在進行形の hanging around となると、「とくに何もしないで、ぶらぶらしている」といった感じ。
同じような言葉で、hang out というのもありますが、こちらは「友達と遊ぶ」とか、「異性の友達とつきあう」というような意味になります。
異性の友達といっても、date(デートをする)まではシリアスではなく、ちょっと一緒に出かけてみる、みたいなカジュアルな関係をさします。
それで、どうして hanging around(ぶらぶらしている)をご紹介しているのかといえば、サンフランシスコのあるイベントで、ふと頭に浮かんだ言葉だから。
先日、フォトギャラリーのコーナーでは『SFジャイアンツのファンフェスト』と題しまして、メジャーリーグ野球サンフランシスコ・ジャイアンツの「ファンフェスト」というイベントをご紹介いたしました。
毎年2月初め、春のキャンプが始まる前にホーム球場 AT&Tパークをファンに開放し、選手たちと触れ合ったり、フィールドで遊んだりと、「ジャイアンツファン」であることを楽しむ一日です。
今年のファンフェストは、途中で土砂降りの雨となった、あいにくのお天気。
例年より参加者は少なかったようですが、それでも、雨の間はスタンドで雨宿りしたり、フードスタンドで買ったポップコーンやホットドッグをほおばったりと、それなりに「球場」の雰囲気を楽しめるイベントなのでした。
ファンフェストでは、また、特別にダグアウトやフィールドにも入れてもらえるので、みなさん、憧れの選手たちがプレーするフィールドに足を踏み入れるのが、とっても嬉しいんですよね。
フィールドには、食べ物のテントや商品宣伝用のテントもたくさん設営されていて、それなりに楽しめるのですが、だいたいみなさん、広い芝生でキャッチボールをしたり、家族や友達と談笑したりと、なんとなく「ぶらぶらしている」んです。
ですから、「これこそ、アメリカらしいイベントだなぁ」と感じたのでした。
そう、ぶらぶらするのって、とってもアメリカらしいんですよね。
だって、こんな会話が聞こえてきそうではありませんか。
What’s up?
何やってんの?
Oh, doing nothing, just hanging around
べつに何もやってないよ、ぶらぶらしてるだけだよ
とくにせかせかと何をするでもなく、その辺でぶらぶらと時を過ごして
その場の雰囲気を体いっぱいに吸い込む。
これこそ、アメリカ人にとって、最高の時の過ごし方ではないでしょうか。
そういえば、アメリカでは、よく玄関前のポーチや階段(stoop)に腰掛けて、行き交う人々を眺めている方がいらっしゃいます。
きっと、これも hanging around の一種。
彼らにとっては、最高の時の過ごし方なんでしょう。
ところで、動詞 hang というと、他にもいろんな慣用句がありますね。
簡単な単語ほど、いろんな風に化けるのです。
たとえば、hang on といえば、「~にしっかりとつかまる」という意味。
具体的に「(モノに)つかまる」という意味もありますし、比喩的に「~を持ち続ける」という意味にもなります。
たとえば、
Hang on to the railing! というと、
誰かが屋上から落っこちそうになって、「手すりにしっかりとつかまれ!」と言いながら、その人を必死に助けている光景などを思い浮かべます。
一方、
Hang on to your dream というと、
「途中でくじけないで、あなたの夢を持ち続けてください」と、励ましている光景を思い浮かべます。
そう、「虹の向こうには、あなたの夢が待っている!」みたいな感じ。
それから、
Hang in there というのも、これに似ているでしょうか。
「(大変だろうけれど)今の調子で、ずっとがんばってね!」と励ましている感じです。
大学で統計のクラスを取っていたとき、その場でテストを採点してくれた先生が、Hang in there(その調子でがんばって)と言ってくれたのが、ひどく印象的でした。
いつもはちょっと怖い先生が、右手にグーを握りしめて「がんばれ」のサインを送ってくれたんですが、それがとっても嬉しかったのでした。
というわけで、今日のお題は Hanging around 。
球場のフィールドに出てみると、草が思いのほかフカフカしていて、ちょっと意外だったのでした。
これだったら、スニーカーがふわりふわりと宙に浮いて、速く走れるような気がするのです。
こちらは、思いのほか固くって、こんなのにぶつかったら体を打撲してしまうだろうなと、外野手の方々に同情してしまったのでした。
こんな風に、ぶらぶらしながらも、いろんなことを実感できるイベント。
これが、球場を開放したファンフェスト
Hanging around の一日なのでした。