English Words 英語ひとくちメモ
2024年07月16日

Have what it takes(十分な才能を持つ)

<英語ひとくちメモ その175>

いつの間にか、「海の日」という祝日が制定されていました。


雨のあがった「海の日」の午後、福岡市の百道浜(ももちはま)には、海水浴客やバーベキューを楽しむ家族連れが集まってきました。


本格的な夏は、まだ先。そんな今日は、お題に入る前に、ちょっとした雑談から始めましょう。


以前、わたしが好きだったテレビ番組のコーナーに『空耳アワー』というのがあります。


長年アメリカに住んでいたので、あまりたくさん観たことはないのですが、帰国するたびに楽しみにしていた企画でした。


そう、タモリさんの深夜番組のコーナーで、外国語の歌がどういうわけか日本語に聞こえる、という視聴者の投稿を紹介するもの。


たとえば、アメリカのヘビーメタルバンド・メタリカは、投稿作品に化ける常連さんでしたね。


彼らのシャウト系のダミ声は、とても英語に聞こえないものが多いのですが、「バケツリレー! 水よこせ〜!」とバケツリレーの再現映像と一緒に観せられると、もう抱腹絶倒。


こちらの秀作は、見事に番組特製スタジャンを獲得されています。


キング・オブ・ポップと称された故マイケル・ジャクソンさんも、よく投稿材料になっていましたね。彼の歌は、アメリカ人だって聞き取れない歌詞も多いようですよ。


それこそ、「英語の空耳」といった感じでしょうか。


わたしが大好きなイギリス出身のシンガーソングライター・シールさんは、ファンが自分の歌を違った歌詞で口ずさんでいるのを聞いて、あ、これもありかと思った、と語られたことがありました。


リスナーの聞き違い、勘違いは、万国共通なのです。


先日、テレビ画面からは


I wanna be 〜 (I want to be 〜)


と聞こえてきたので、「いったい何になりたいのかな」と目を向けると、どうやら関西地域のアクセントのあるコメディアンが日本語で何かをおっしゃっていたよう。


外国語が日本語に聞こえる空耳も多いですが、日本語が英語に聞こえることもあるんですね。


もしかすると、関西圏のイントネーションやリズムは、英語に近いのかもしれません!



というわけで、今日のお題です。


Have what it takes


ちょっと難しいですが、「what it takes を持っている」という動詞ですね。


それで what it takes とは何かというと、「〜をするのに十分な才能、能力」といった感じ。


ですから、have what it takes というのは、「〜をするのに十分な才能を持っている」という意味になります。


たとえば、このように使います。


He has what it takes

彼は、十分な才能(資格)を持っている


普通は、このあとに「何をするのに十分な才能か」を述べる場合が多いです。


たとえば、こんな風に


She has what it takes to become a concert pianist

彼女はコンサートピアニストになる才能を十分に備えている


そして、わたしがアメリカのABCニュースで耳にしたのは、こんな表現でした。


He has to prove to the American people (that) he has what it takes

彼はアメリカの人々に向けて、十分な才覚を備えていることを証明しなければならない


この文章の後ろの部分にあえて書き加えるなら、このようになりますね。


He has to prove to the American people he has what it takes to lead the country

彼は国を率いるのに十分な才覚を備えていることを、アメリカの人々に対して証明しなければならない


もう何のお話かおわかりになると思いますが、11月のアメリカ大統領選挙に向けて誰が候補者となるのか、という熱い話題。


これに関して、長年の民主党支持者であるハリウッドスター、ジョージ・クルーニーさんは、7月10日付のニューヨーク・タイムズ紙でこのような意見を述べています。


… the Joe Biden I was with three weeks ago at the fund-raiser was not the Joe Biden of 2010. He wasn’t even the Joe Biden of 2020

3週間前に資金調達イベントで会ったジョー・バイデン(大統領)は、2010年の(エネルギーに満ちあふれた)彼ではなかった。それどころか2020年の彼でもなかった


(ここで the Joe Biden という言葉を意外に思われた方もいらっしゃるでしょうが、「もう以前の彼ではない」と表現したい場合は、人名に定冠詞 the を付けて今と昔の比較をします)


クルーニーさんがおっしゃっている3週間前の資金調達イベント(fund-raiser)というのは、6月15日、彼が同じくハリウッドの大スター、ジュリア・ロバーツさんとともにバイデン大統領のためにロスアンジェルスの劇場で開いたイベントのこと。これにはバラク・オバマ元大統領も応援に駆けつけています。


が、オバマ元大統領が隣にいらっしゃったことで、かえって「弱さ」が目立ったと語る支援者もたくさんいらっしゃったよう。


ワシントン・ポスト紙の記事では、イベント参加者が抱いた大統領の印象として、こういった形容詞も見られます。


たとえば、frail(弱々しい)、worn out(疲れ切っている)


この晩は、大統領はヨーロッパから到着したばかりだったので、疲れていたのは確かでしょう。


そして、stiff(硬直した、棒立ちのように反応のない)、slow(動きが遅い)


イベントで「棒立ち」になった様子は、動画で何回も紹介されていますよね。


さらには、「言いたくないんだけど」と前置きしながら、fragile(今にも壊れそうな)様子だったとおっしゃる支援者もいらっしゃいました。


この資金調達イベントやクルーニーさんの厳しい発言のあと、対立候補となるトランプ前大統領との(悪名高い)討論会、そしてトランプ氏の暗殺未遂事件と、いろんなことが起きています。


これからどうなっていくのか、先が読めない混沌とした状況ではありますね。



ちなみに、「候補者となることをあきらめて、後継者に譲るべき」というのは、簡単にこう表現できます。


He should step aside


「脇にステップする」という言い方で、「後継者に譲る」という意味になります。


この場合、注意したいのは、こちらの文章ではちょっと意味が変わってしまうということでしょうか。


He should step down


そう、こちらは、「辞職すべき」という意味になりますね。


たとえば、社長職を退くといった場合。


He should step down as the CEO of the company

彼は、その会社の最高経営責任者の職を辞するべきである


という風に使います。



というわけで、今日の話題は、こちら。


Have what it takes


簡単な表現ですが、ちゃんと覚えていないと使えない慣用句ではありますよね。


こんな文章にも使えます。


She has what it takes to become a surf-rescue specialist

彼女は、サーフレスキュー隊員になるにふさわしいスキルを持っている


そう、百道浜では、女性のサーフレスキュー隊員も見かけましたよ。


まだお若い方でしたが、勇壮で、真面目にレスキューに取り組もうとする姿が好ましかったです。


がんばって欲しいですよね!



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