Hold the onions (玉ねぎはいらないよ)
この「英語ひとくちメモ」シリーズの最初の頃、こんなことを書きました。
もしサンドイッチに入れて欲しくない材料があったら、どうしましょうと。
(2006年2月6日付けの「Paper or plastic?(どっちがいい?)」で、サンドイッチを買う場面のお話をしています。)
先日、日本に戻っていたとき、テレビでちょうど同じような話題をやっていました。レストランで、嫌いな野菜を入れて欲しくないとき、何と言いますか?と。
この番組では、こう教えていました。
Hold the onions, please.
最初の hold という動詞には、それこそいろんな意味がありますが、「(塩など)を控える」とか「(嫌いな材料)を入れない」という意味もあるのですね。
だから、hold the onions で、「玉ねぎを入れるな」という意味になります。
人参を入れて欲しくないときは、こう言えばいいのですね。
Hold the carrots, please.
(ちょっと気になった方もいらっしゃるでしょうが、onions や carrots の前に定冠詞の the がついているのは、「すべての玉ねぎ」という総称の意味合いを持たせるためなのでしょうね。でも、the を入れなくても結構だと思います。ただ、hold のあとに the が入っていないと、リズムに乗りにくく、とっても言い辛いですけどね。)
ちなみに、この hold という動詞 には、「~をつかむ」とか、「(物や役職を)保有する」とか、「(重さに)耐える」とか、いろんな意味があるので、とっても便利な単語ではありますね。たとえば、
Hold on to it!
(それを)しっかりつかんで、はなさないようにね!
Hold it!
そのままの状態でいろ、つまり、じっとしてろ!
ところで、この Hold the onions, please という表現を耳にしたとき、とっさにこう思ったのでした。自分ではこうは言わないかなって。
最後に please というお願いの言葉を付けているわりに、わたしには、唐突な命令口調に聞こえるのです。きっと、その辺の(いばった)おじさんだったら、よく使う表現なのかもしれませんが。
勿論、場所にもよりますよね。サンドイッチ・スタンドみたいなカジュアルな場所だったら、別に問題はないと思いますが、ちゃんとしたレストランだったら、ちょっとくだけ過ぎにも感じます。
たとえば、サンドイッチ・スタンドだったら、以前書いたように、こんな簡単な表現もありますね。
Do you want everything on it?(材料は全部入れて欲しい?)と聞かれたら、
Everything but onions(玉ねぎを除いたすべて)
または
Everything except for onions
わたしだったら、回りくどく、こう言うかもしれません。
I don’t care for onions that much, so would you hold the onions?
わたしはあんまり玉ねぎが得意じゃないので、玉ねぎを抜いてくださる?
(care for という動詞は、「~を好む」という意味ですね)
いえ、基本的には、hold the onions で結構なんです。でも、ちょっと言い方を変えたいかなと・・・
まあ、ごちゃごちゃと説明させていただきましたが、要するに、日本語と比べて言い回しが単純な英語にしても、使い手や場面によって、いろいろと表現が異なるということを申し上げたかったのです。
たとえば、屈強なトラック野郎みたいな男性が使う言葉と、ティータイムを優雅に楽しむようなマダムが使う言葉とは、非常に違ってくるのです。
Would you like another cup of tea?(もう一杯お紅茶いかが?)
というのと、
Have some more.(もうちょっと飲めよ)
というのでは、だいぶ響きが違いますよね。
日本語には、丁寧語、謙譲語、尊敬語と、難しい「しきたり」がありますが、英語にしたって、ちょっとしたしきたり(言い方)ってものがあるのですね。
とくに、レディーの場合は、言葉にちょっとしたフリルの飾りをつけてみたりするのです。
でも、慣れるまでは、気取らず、シンプルにどうぞ。
Hold the onions, please.