License Plate (ライセンスプレート)
日本から帰って来たばかりで、時差ぼけに苦しんでいます。いつもそうなのですが、やっぱり太平洋を往復すると、帰って来たときにどっと来るようですね。
そんなボ〜ッとした頭ですが、ちょっと外来語のお話などをいたしましょうか。
そうですね、日本には、外国語が転化した外来語が多いものです。テレビにラジオ、パソコンにインターネット。もう日本語に直しようがありませんよね。
ところが、そんな外来語が、もともとの言葉を正しく反映していればいいのですが、おうおうにして変形している場合があるのです。
たとえば、日本語の「ナンバープレート」。いかにも、立派な外来語ではありませんか。でも、アメリカでは、ナンバープレートと言ってもほとんど通じないと思いますよ。
アメリカでは一般的に、「ライセンスプレート(license plate)」と呼ばれているのです。
ライセンスといっても、運転者の免許証(driver’s license、ドライバーズライセンス)とは違って、車独自の認可番号(license number、ライセンスナンバー)の書かれたプレートといった意味ですね。
まあ、確かに、番号(ナンバー)が書かれているわけではありますが、単に「ナンバープレート」と言っても何の番号かわからないので、「ライセンスナンバープレート」というのを略して、「ライセンスプレート」と言うのだと思います。(ちょっと略するところが違ってる!)
今回、わたしの旅の中で、日本語で「ナンバープレート」と言いたい場面があったのですが、何と言っていいのか思い出せなくって、相手にうまく伝わらないという嫌〜な経験をしてしまいました。
一生懸命、日本語に直そうとしていたのに、まさか微妙に違うカタカナの言葉だったなんて・・・きっと相手の方からしてみると、言いたいことも表現できない、変なヤツに思えたことでしょう。
なぜだかわかりませんが、車に関するカタカナ語には、アメリカでは通じないものが多くって、現地で使うには要注意なのです。
以前どこかで書きましたが、車のハンドルは、handle ではありません。ちょっと長いですが、steering wheel(ステアリングホイール)と言います。
車輪(wheel)を操縦する(steer)ものという意味ですね。
バックミラーは、rearview mirror(リアヴューミラー)と言います。文字通り、「後ろを見る鏡」ですね。
ついでに、方向指示灯は、turn signal(ターンシグナル)です。「曲がるための合図」といった意味合いですね。
車関係のおもしろい単語としては、garage(ガレージ)というのがあります。これは、自宅のガレージ(車庫)という意味もありますが、車の修理・整備工場という意味もあるのです。
それから、車をぶつけたときの車体工場。これは、body shop(ボディーショップ)と言います。
いつか、歌手であり俳優の武田鉄也さんが、こんなことを言っていました。初めてアメリカに行ったとき、あちこちに body shop と書いてあるのを見て、興奮してしまったと。
「ボディー」という単語から何やら想像してしまったそうですが、一般的には、単に車体工場ということです。俗語では、他に使い道があるのかもしれませんが。
車からは離れてしまいますが、おかしな外来語の中に、「アンバランス」というのがあります。バランスが取れていないことですね。
これは正式には、imbalance(インバランス)と言います。
辞書を引くと、おもに精神的な不安定さを unbalance と言うとありますが、個人的には、あんまり聞いた事がありません。
たとえば、ストレスによる体内の化学的なアンバランスなんていうときも、chemical imbalance と言いますね。
ところで、日本に行くと、いつもおかしいなぁと思うことがあるのです。
東京の羽田空港に行くには、浜松町からモノレールに乗ったりしますが、この浜松町の基点、世界貿易センタービル。
多分、別館だと思うのですが、2階に小さな通路があって、飲食店やら、お土産屋やら、足裏マッサージやらのお店が並んでいます。
その中にあるんですよ、「Palatin」というお店が。まあ、喫茶店というか、小型のファミリーレストランというか、いろんなものを食べたり飲んだりできる便利なお店です。
何が変かって、この名前の「Palatin」。 最後に e を付けると、palatine(パラティン)。
実は、頭蓋骨の一部なんですね。
日本語では、「口蓋」。
ちょっと細かい話、頭蓋骨は22の骨から成り立っているのですが、口の中のアーチ型の上壁は、前方と後方に分かれています。
この後方部分が、palatine。ちなみに、前方部分は、maxilla(マクシラ)と言います(厳密には、左右ふたつずつあるので、複数形の palatines、maxillae となりますね)。
いえ、お店に文句などありませんよ。こぎれいなお店で、羽田空港から国内出張に行く前に、「ちょいとミーティングしましょうよ」なんていうときに、とっても便利なお店なのです。
でも、なんでよりによって、頭蓋骨の一部みたいな名前にしたの?
英語っぽい名前を付けるときには、ちょっと辞書を引いてみるのがいいのではないかと思うんですが・・・