Like(〜みたいに)
今日のお題は、like という言葉。
動詞として使うと、「好む」という意味ですね。たとえば、
I like to dance
わたしは、ダンスをするのが好きです
ソーシャルネットワークの人気サイト Facebook(フェイスブック)でも、「like」ボタンがありますが、こちらも「好き」という意味ですね。
親指を立てる「thumbs-up(いいねぇ)」のジェスチャーが付いています。
けれども、今日の使い方は動詞ではなく、接続詞としての like。
接続詞 like は「まるで〜のように」という意味になり、このあとに文章が続きます。
You look like you have seen a ghost
きみは、まるでお化けでも見たように(驚いて)見えるよ
このような接続詞としての like は、「as if 〜(まるで〜のように)」と同じですので、互いに言い換えることができます。
You look as if you have seen a ghost
まるでお化けでも見たように驚いてるね
こちらの as if 〜 が正式ではありますが、会話の中では like を使う方が一般的だと思います。
それで、「〜みたいに」という接続詞から派生したのだと思いますが、誰かの言葉を引用するときにも like を使ったりします。
I was like, “No, you can’t do it”, but he was like, “I’ll do what I want”
なんとなく、like がたくさん出てきてややこしいですが、こういった意味になります。
わたしは「そんなことしちゃダメよ」って言ったんだけど、彼は「自分のやりたいようにするだけさ」って感じだったのよ
こんな風に、とくにティーンエージャーの話し言葉には、like が頻繁に登場する傾向があります。
こういった口語形では、必ずしも「時制の一致」が守られないことも多いです。そう、過去の話をしているときにも、現在形がひょっこりと顔を出したりするのです。
He told me all kinds of bad things about her, so I’m like, “Never talk to me again!”
彼は、彼女の悪口ばっかり言うもんだから、「もう二度とわたしに話しかけないで!」って感じよね
本来は、過去の出来事なので I was like 〜 となるべきところですが、言いやすいので I’m like 〜 を使っています。たぶん、それがクールな使い方なんでしょうね。
まあ、話し言葉ですので、文法を完璧にする必要はないと思いますが、ときどきティーンエージャーの like の使い方はいかがなものか? と眉をひそめることがあるのです。
日本語でも、「あ〜」とか「え〜」とか言葉をつなぐように意味のない音を入れることがありますが、アメリカのティーンエージャーにとっては、like は間合いをとるような言葉かもしれない、と納得するようになりました。
それで、英語で「あ〜」とか「え〜」に似たようなものには、 you know というのがありますね。
He came from, you know, a wealthy family
彼は、え〜っと、裕福な家庭の出だよね
この場合、you know という表現は「あなたは知っているよね」という意味よりも、「そうなんだよね」と念を押すような感じになります。
I’m single, you know
わたしって独身なのよ
こんな風に、相手が「わたしは独身」だと知っているかどうかはべつとして、「わたしって独身なのよ!」と強調しておきたいときに使います。
I’m his mother, you know
わたしは、あの子の母親なのよ
と、相手も「わたしがあの子の母親」であることを十分にわかっているケースにも、念押しをするように使います。
このように you know が最後につく場合は、相手に確認するように、ちょっと語尾が上がったりします。
似たような表現で、you know what I mean というのがあります。
この場合は、「僕の言ってることがわかるよね」と、相手に念を押すような感じになります。
I went to that high school, you know what I mean, so I know what it’s like being there
僕はあの高校に通ってたんだよ、だから、あそこがどんな感じかよく知ってるんだ
この表現をちょっと変えて、if you know what I mean と「if」をくっつけることもあります。
そうなると、なんとなく秘密にしていることを遠回しに暴露しているような、if you know what I mean と言いながら、いわくありげに目くばせ(ウインク)をしているシーンを思い浮かべます。
He’s kind of weird, if you know what I mean
彼って、ちょっと変だよね(僕の言わんとしてるところは、わかってくれるよね)
この you know what I mean に似た表現で、you know what I’m saying というのがあります。
She’s like a queen of soul, you know what I’m saying
彼女は、ソウルミュージックの女王みたいな人だよね(わかってくれるよね)
こちらは、どちらかというと、ラップミュージシャンみたいな黒人男性の方々が使われるイメージがあるのです。
意味や使い方は you know what I mean とまったく同じではありますが、響きがちょっと違ってくるでしょうか。
この you know what I’m saying に似ていますが、I’m just saying というのもあります。
こちらは、ちょっと意味合いが変わってきて、自分が言うことで相手が気を悪くするようなときに使います。
そう、「ちょっと言ってみただけ(本気じゃないから、気にしないで)」と、言い訳に近い表現になります。
Ten minutes is enough for you to go to his office and come back, I’m just saying, so you can be a murderer
こちらは犯罪ドラマに出てきたセリフですが、「10分あったら、あなたが彼のオフィスに行って戻って来るには十分な時間だから、(ただ言ってるだけだけど)あなたも犯人になり得るのよね」という意味になります。
そして、自分の発言で、相手が怒ってしまったときにも、
I’m just saying
ただ言ってみただけさ(悪かったよ、怒らないでよ)
と答えて、自分の逃げ道をつくることがあります。
そういう意味では、Just kidding(冗談だよ、本気にしないでよ)に似たような「逃げ口上」といえるでしょうか。
ついでではありますが、you know が出てくる表現には、こんなものもあります。
You know what?
You know something?
この二つの言い方は、「あのね」と話を切り出すときに使います。
もともとは「あなたは知ってる?」という意味ではありますが、「あのねぇ」と相手の気をひくために使う言葉になります。
You know what? と言われると、何か重要な告白でもする気配を感じるので、「いったい何かしら?」と身を乗り出して聞いてみたくなるのです。
と、like のお話が、すっかり you know の方にそれてしまいましたが、最後にちょっとだけ付け加えておきましょう。
一般的には、間合いをとるような like とか you know といった言葉は頻繁に使うべきではない、と言われます。
もちろん、日常会話で使うのはまったく問題はありませんが、ビジネスの場でプレゼンテーションをするときとか、学会で真面目な話をするときとか、そんな場面では口語調の like や you know は避けた方が無難でしょう。
なぜなら、自分の言いたいことを的確な言葉でストレートに表現できない人だな、と思われてしまいますからね。
そんなわけで、わたし自身は you know は使わないのですが、その代わり、自分の表現に自信がないと、すぐにこちらの言葉を付け加えてしまいます。
Something like that
そう、「なんとなくそんな感じ」といった感じでしょうか。
It’s called complacency or something (like that)
それって自己満足とかなんとか呼ばれてるのよね
こちらの something like that も、you know と同じことで、自分の言うことがぼやけて聞こえるので、ビジネスのような正式な場面では頻繁に使わない方がいいかと思います。
そう、これはわたしの学校時代からのクセで、稚拙に聞こえるのはわかっているのですが、便利だからついつい使っちゃうんですよね・・・。
<蛇足ですが、写真の説明をどうぞ>
こちらに掲載した写真は、サンフランシスコの海沿いにある学校になります。観光地として有名な「ピア39(39番埠頭)」と「ゴールデンゲートブリッジ」の間には、「フォートメイソン(Fort Mason)」という昔の米陸軍の基地があります。1910年代から、ここからハワイやフィリピンの基地に向けて物資を輸送していたそうですよ。
1970年代には軍用地から国立公園の一部となり、現在は、アートの中心地を目指して、再開発中です。劇場や展示ホール、イベントホール、レストランがオープンしたのに加えて、サンフランシスコ市立大学の美術学科とサンフランシスコ・アートインスティテュートという二つの美術学校が置かれます。(最後の写真2枚がアートインスティテュートですが、建物の正面にある記章は校章ではなく、昔の陸軍の記章です)
なにせ旧軍港に面した倉庫を改造していますので、だだっ広いスペースの校舎は、いかようにも利用できそうです。寒流を渡る風は冷たく、霧がやってくることもあって肌寒いところですが、海に突き出した立地は、創作意欲をかき立ててくれそうですよね。