Return and Exchange (返品と交換)
いや、つい乗せられちゃうんですよね。「ひとつ買えば、もひとつタダだよ(Buy one, Get one FREE)」っていうのに。
わたしの場合、「テレビ番組のDVDセットをひとつ買えば、もひとつタダよ(Buy 1 TV box set, Get the 2nd Free)」というものでした。
Barnes and Nobleという本屋さんのチェーンが運営しているオンラインショップのお誘いだったのですが、ちょっと前から、狙っていたボックスセットがあったんですよ。だから、つい購入してしまいました。
おまけには、似たようなジャンルの探偵物を選んでみました。
というわけで、こういった目玉商品はダメですが、正規の値段(list price)で買った商品は、返品(return)や交換(exchange)ができますよね。
アメリカでも、日本と同じようなもので、レシートを持っていけば、30日以内くらいだったら返品や交換が簡単にできるのです。
たとえば、返品したいのだったら、
I’d like to return this「これを返品したいのですが」
と言えば大丈夫。
勿論、this のあとに、this sweater 「このセーター」などと、名詞を続けてもいいですよ。
この場合、return は「返品をする」という動詞ですが、a return というと、同時に名詞でもあるのです。
大きい物を返品するときなど、場合によっては、「restocking fee(再度の仕入れ費)」というのを取られる場合もあります。もう一度、店頭に並べたりする手数料のことですね。
でも、衣料品や小物などの場合は、だいたい無料で返品させてくれるようです。だって、もともと同じお店で買ったんですものね。
交換の場合は、まずこう言えば、意思表示ができますよ。
I’d like to exchange this for another item「これを他の物と交換したのですが」
そのあとに、たとえば、赤いもの(red one)がいいとか、小さいサイズ(smaller size)がいいとか、具体的に指定すればいいですね。
返品のreturn と同様に、exchange は、動詞でもあり、名詞でもあります。
アメリカって、非常にさばけたところがあって、クリスマスとか誕生日にプレゼントをしても、相手が気に入らないケースを見越して、わざわざレシートを付けて、プレゼントを渡すことがあるのです。
ひと昔前は、値段が書かれたレシートそのものでしたが、今となっては、「gift receipt(ギフトレシート)」なるものが存在するのですね。
さすがに、これには、商品名、購入日、店名だけで、値段なんかは書かれていません。
衣料品店の Gap などの場合、「gift receipt を付けてあげると、日本の支店でも交換できるよ」と、こちらの店員さんによく言われます。便利になったものですよね。
アメリカの返品には、こんな有名な話があるんです。
あるとき、「お宅で買ったものをお返しします」と、車のタイヤを持って来た人がいました。
ちゃんと返品できて、たんまりお金を返してもらったそうですが、なんと、そのデパートでは、もともとタイヤなんて売っていなかった!
まあ、これは、「urban legend(都会でありそうな、インパクトある作り話)」の一種だと言われていますが、それほど、アメリカは、返品がやり易いってことなのですね。
一年以上使い古したコーヒーミルを返品した、というおばあちゃんのエピソードもありましたね。こちらは、本物だということですが。
実は、我が家にも、こんな返品のお話があるのです。
あるとき、ドラッグストア(薬局から発展した雑貨屋)で、シャンプーとリンスを買いました。でも、使ってみると、匂いが気に入らなかったので、両方セットにしてお返しいたしました。
返すとき、「これ使ったの?(Have you used these?)」とは聞かれましたけど、「たった一回だけよ(Only once)」と言うと、全額返してくれました。
こんなこともありました。デパートのMacy’sで、連れ合いがワイシャツを買いました。そのまま出張に持って行ったのですが、店員さんがわざわざ計ってくれたわりに、間違ったサイズを購入してしまったようです。そこで、旅先で着たにもかかわらず、そのまま返品。
やっぱりこのときも「これ着たの?」と聞かれましたが、「出張先で交換するのは不可能だった」と言うと、ちゃんと全額返してくれました。
こういうときは、堂々とした態度で臨むことが肝心ですね。
まあ、こういうのは、日本では起こり難いシチュエーションなのかもしれませんが、わたしの論理は、こうなのです。
お客様が気に食わない商品を店に置くな!
それから、店員が間違って物を買わせるなんて言語道断!
いや、アメリカのお店って、袖を通した洋服を返品するケースは多いらしいですよ。Macy’s みたいな大きな店だと、そういうのは、ちゃんと予算の中に組み込まれているんだとか。
でも、小さな個人商店だと、痛いですよね。「このドレス、サイズが合わなかったわぁ」と言いながら、パーティーが終わった後にちゃっかりと返品して来る。
お金は返さないわけにはいかないし、かと言って、返品されたものをお店で売るわけにはいかないし。中には、立派にシミが付いたものもある、とも聞いたことがあります。
ところで、アメリカでは、クリスマスの歳末商戦が終わっても、まだまだショッピングシーズンが続くのですね。
なぜって、気に入らないクリスマスプレゼントを返品、交換するついでに、また新たにお買い物をしてしまうからです。
それに、クリスマスにいただいた「gift card(ギフトカードと呼ばれるカード型の商品券)」も、ちゃんと使わないといけないですしね。
何かにつけ、お買い物が大好きなアメリカ人なのです。
追記:冒頭に出てきた、前から欲しかったテレビ番組のDVDセットって、『Remington Steele(レミントン・スティール)』というものなんです。1980年代のNBCの探偵ドラマで、多分、これで、かの有名な二枚目俳優ピアス・ブロズナンが、世に知られるようになったんじゃないかと思います。
ブロズナンは、このドラマのためにNBCとの契約にがんじがらめで、せっかく、映画「007シリーズ」にボンド役で出演しないかという話があったのに、このときは実現しなかったんです。そして、だいぶ経った1995年に、ようやくボンド役に抜擢された、そんなエピソードがあるそうですよ。
ちなみに、Steele という名前は、「盗み」のSteal の韻を踏んだ言葉なんですね。もともとの泥棒さんが、探偵になりすますという、おもしろい設定。そんな、とってもおしゃれな探偵ドラマなんです。早く届けばいいな!
後日談:これを読んだお友達が教えてくれました。タイヤの返品のお話って、もともとはタイヤ・チェーンのことだったんじゃないかって。
タイヤ・チェーンのお話なら、ほんとにあった話だそうです。老舗デパートのNordstromに、タイヤ・チェーンを返品しに来たお客さんがいて、デパート側は、店で扱っていないのにもかかわらず、代金をそっくり返したと。
Nordstrom は、お客様サービスを第一とするデパートだそうで、タイヤ・チェーンの他にも、こんなお話があったとか。
・商売敵のデパートMacy’sで買った商品に、快くご贈答用の包装をしてあげた。
・冬の寒い日、お客様の車を暖めて待っていた。
・車椅子のお客様のために、車椅子にひっかからないようにと、短いショールを編んであげた。
こういったエピソードは、アメリカの有名なビジネス本にも出て来るそうで、作り話ではないようです。アメリカにも、「サービス」を第一にする理念があるんですね。