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2月の騒ぎ: ヴェライゾンiPhoneとオバマさんの訪問
Vol. 139
2月の騒ぎ: ヴェライゾンiPhoneとオバマさんの訪問
今月は、シリコンバレーを騒がせた話題ふたつを選んでみました。後半には、起業家とベンチャーキャピタルのお話なんかも出てきます。どうぞごゆるりと。
<ヴァレンタインデーの贈り物>
2月14日の月曜日。このヴァレンタインデーの日に、首を長~くして待っていたものが届きました。
他でもない、携帯キャリア・ヴェライゾン(Verizon Wireless)の「iPhone 4(アイフォーン4)」です。
2007年6月、アップルが元祖iPhoneを発売して以来、今までアメリカでは、AT&T(AT&T Mobility)がiPhoneの独占キャリアとなっていました。
独占キャリアであるがために、AT&Tは、製品に関するアップルの意向はすべて承諾してきましたし、ユーザから徴収したデータサービス料の一部を「奉納金」としてアップルにキックバックしてきたのでした。(普通、そんなに立場の強い携帯端末メーカーなんてあり得ませんよ。)
それが、AT&Tの独占契約も切れたので、今月2月10日、いよいよ商売敵のヴェライゾンが「iPhone 4」を売り始めたのです。今のところ、アップルのスマートフォンとしては最新機種ですね。(写真では、右がヴェライゾン版、左がAT&T版 iPhone 4。外観はまったく同じです。)
まあ、ヴェライゾンがiPhoneを売るようになるという噂は前々からあったのですが、わたし自身は、昨年4月にはかなりの確証を得ていたのでした。
それは、サンディエゴからクアルコム(Qualcomm)の重役が足繁くシリコンバレーにやって来ては、クーパティーノのアップル本社でアップルの重役をピックアップしたあと、意表をつくような秘密の場所で会談している、という裏情報。
なんでそれが「かなりの確証」なのかって、AT&Tとは違って、ヴェライゾンが採用するのはCDMAテクノロジー。そのCDMAチップセット(注)を提供するのがクアルコム。
クアルコムは携帯端末向け高速プロセッサ「スナップドラゴン(Snapdragon)」などもつくっておりますが、iPhoneのCPUは自社製「A4」。このタイミングでのクアルコムとアップルの密会は、新しいヴェライゾン向けiPhoneを示唆していると解釈できるのです。(注:実際には、CDMA系のEV-DOとGSM/EDGE系のHSPA+を両方サポートするMDM6600というクアルコムのチップセットが載っています。)
この「意表をつく秘密の場所」は口外いたしませんが、そのときに、こんな裏情報も耳にしておりました。アップルは、小型テレビを開発していると。
なんでも、クアルコムの重役たちは、この小型テレビの試作機をいたくお気に入りだったそうですが、その後、製品化されていないということは、アップルのCEO(最高経営責任者)スティーヴ・ジョブス氏のお眼鏡にかなわなかったということでしょう。
それで、どうしてわたしだけではなく、世の中全体がヴェライゾンのiPhoneを待ち望んでいたかというと、それは、ひとえに「AT&Tのネットワークはお粗末だ」というイメージが深く浸透しているからなのです。
ですから、1月11日、ヴェライゾンとアップルがヴェライゾン版iPhoneを共同発表したときは、もう上を下への大騒ぎ。その直前に、業界の祭典 CES(コンスーマ・エレクトロニクスショー)があったことなんかすっかり忘れて、テクノロジーの話題は、これ一色に塗りつぶされてしまったのでした。
なにせ、その直後に行われた調査では、AT&Tのユーザの16パーセントが「ヴェライゾンに乗り換えたい!」と意思表示をしたそうですから。
そして、かわいそうに、世の中にはAT&Tのネットワークからもれているので、今までiPhoneなんて絵空事だった住民もいるのです。
たとえば、北と南のダコタ州、ネブラスカ州、モンタナ州、ワイオミング州と、AT&Tのカバレッジ(受信範囲)から外れているので、ヴェライゾン版の発売を機に、初めてiPhoneを使えるようになったという巨大な平原地帯があるのです。
そういえば、昨年の夏、ワイオミングのイエローストーンに旅したとき、AT&TのiPhoneがまったく使えなかったので、ヴェライゾンのケータイに頼った記憶がありますね。
そんな地域の住民にとっては、ヴェライゾン版iPhoneを運んで来るFedExの配達トラックが、まるで「サンタさん」のように思えたことでしょう。
このヴェライゾンの押しの一手に対抗して、AT&Tは、ひと昔前の第3世代iPhone(iPhone 3GS)を49ドルに値下げしたり、「自分たちのiPhoneの方が便利だぞ」と宣伝を流したり、あの手この手でユーザを引き止めようとしています。
たとえば、ヴェライゾンのiPhoneでは、音声とデータを同時に送ることはできないので、通話中にネットアクセスできないという制限があるのです。
そこのところをつっついて、こんなAT&Tのコマーシャルが流れます。
「今日の記念日には、ちゃんとレストランを予約したわよね?」との奥方からの電話で、あわてて店をネット予約する、残業中のダンナさん。「それは、男性にとって一番覚えておかなきゃいけないことだからね(that’s number one thing men should remember)」と言い訳をしながら、無事にiPhoneで予約を終え、オフィスを飛び出すのです。
なるほど、AT&TのiPhoneが便利な点もあるが、果たしてどっちがスマートフォンとして優秀なのか?
そんな話題で業界は持ち切りでしたが、地元のサンノゼ・マーキュリー紙のテクノロジー記者は、自分の足でシリコンバレー中を駆け巡って、iPhone 4の実地テストを行ったそうです。
その結果、AT&T版では、通話が6箇所で切れたが、サンノゼのダウンタウンを除いて、データのダウンロードは圧倒的に速かった。
ヴェライゾン版は、通話が切れたのは1箇所のみだったが、とくにベンチャーキャピタルが集中するメンロパーク市では、ダウンロードがひどく遅かったと。
ふむふむ、とすると、通話を取るか、ビデオなんかのデータのスピードを取るかの選択になるのでしょうか?(可能性としては、ベンチャーキャピタリストの多くがヴェライゾンを愛用していて、その界隈ではネットワークに異常な負荷がかかっているというシナリオも考えられますが。)
個人的には、スマートフォンは「小型コンピュータ」ではあるけれど、あくまでも「電話」であり、通話が途切れるなんてあり得ないと思っているのです。
我が家の近くにも、必ず電話が切れるAT&Tの「デッドゾーン」があって、だからこそ、ヴェライゾン版iPhoneを待ちわびていたわけなんですけどね。
ヴェライゾンの参入で、またまた世間を騒がせているiPhoneですが、3月2日には、タブレット型「iPad(アイパッド)」の新製品が発表される予定です。
今年も、アップルの一挙手一投足にみんなが注目する一年となるのでしょうね。
というわけで、第2話は、オバマ大統領とシリコンバレーの熱い関係から始めましょう。
<オバマさんはシリコンバレーがお好き>
昨年11月号で、「オバマさん、始球式に来てください!」と題して、オバマ大統領のシリコンバレー訪問をご紹介いたしました。
11月初頭の全米中間選挙を目前にひかえ、民主党候補者のために、カリフォルニアに資金集めにやって来たのです。なにせカリフォルニアは、民主党にとっては大事な金庫(coffer)ですから。
そのときも触れましたが、大統領専用機「エアフォース・ワン」がサンフランシスコ空港に降り立ち真っ先に訪問したのが、アップルのCEOスティーヴ・ジョブス氏。
このときは、ふたりでテクノロジー業界の今後を話し合ったあと、オバマさんは資金集めの晩餐会に向かったのでした。
そして、今月2月17日、嵐の間隙をぬって「エアフォース・ワン」がサンフランシスコ空港に降り立ったわずか15分後、オバマさんは忙しく「マリーン・ワン」ヘリコプターに乗り込み、シリコンバレーへと向かいます。
今回のベイエリア訪問は、発表したばかりの2012年度予算教書に関して、シリコンバレーの重鎮から支持を取りつける目的と、経済・雇用の活性化、クリーンテクノロジーへの投資、教育・研究開発の助成といった国政の重要事項を重鎮たちと話し合う目的があるのです。
きっと、前回のジョブスさんとの懇談会が有意義だったので、もっと参加者を増やして視野を広げようという意図なのでしょう。
緑色の「マリーン・ワン」が向かった先は、カニャダ・カレッジ。有名なスタンフォード大学のちょっと北にある、山あいの小さな大学です。そこで大統領専用車に乗り換え、近くのウッドサイドにあるジョン・ドーア氏の自宅に向かいます。
ドーア氏は、シリコンバレーでは超有名人のベンチャーキャピタリストですが、彼のウッドサイドの豪邸で「大統領との晩餐懇談会」が開かれたのでした。この方は、熱心な民主党支持者としても知られています。
ここに招かれたのは、まさに、きらびやかなお歴々。アップルのスティーヴ・ジョブス氏、オラクルのラリー・エリソン氏、グーグルのエリック・シュミット氏、ヤフーのキャロル・バーツ氏、シスコ・システムズのジョン・チェンバース氏と、それこそシリコンバレーを代表する大企業のトップもいらっしゃいます。
これに混じり、Facebook(フェイスブック)のマーク・ザッカーバーグ氏、Twitter(トゥイッター)のディック・コストロ氏と、新しい形態のビジネスリーダーも参加しているのです。
オバマさんはおもに聞き役にまわり、重鎮たちのおっしゃることに耳を傾けていらっしゃったそうですが、なにせ、話の中身は秘密のベールに包まれ、外には漏れてきません。
そんなわけで、わたしの興味は、ドーア氏の自宅に集った12人の招待客に集中したのでした。
なんといっても、三度目の病気休暇のまっただ中にあるジョブス氏が参加していたというのは、大変喜ばしいニュースです(写真では、オバマさんの左に着席する後ろ姿がジョブス氏。トレードマークの黒いタートルネックをお召しです)。
それから、変な話、HP(ヒューレット・パッカード)の新CEOレオ・アポテカー氏が招かれなかったというのもよかったですね。
HPはシリコンバレーの老舗中の老舗ではありますが、なにせオラクルのラリー・エリソンさんは、レオさんが大嫌い。ここでふたりが鉢合わせしたら、絶対にもめごとが起きていたことでしょう(ま、いつか、この昼メロについて書く機会もあるでしょう)。
ちょっと不思議だったのは、シスコ・システムズのジョン・チェンバース氏が参加していたこと。はるかスペイン・バルセロナで開かれたワールド・モバイルコングレスから駆けつけたのはいいけれど、彼は、共和党支持者として有名な方なのです。そう、オバマさんとは敵対する政党。
まあ、いかにオバマさんの「敵方」とはいえ、出席者が民主党支持者ばかりだと、あちこちから批判が出るかもしれないと、主催者側が配慮したのかもしれません。
と、そんな政治的なことはさておいて、この12人の顔ぶれを見ると、創業者(founder)または共同創業者(co-founder)が多いなぁと気づくのです。
アップルのジョブスさん、オラクルのエリソンさん、Facebookのザッカーバーグさん、Netflix(ネットフリックス:オンライン・郵送のレンタルビデオサービス)のリード・ヘイスティングスさんと、今となっては超有名企業に育ったビジネスの創設者たち。
日本では馴染みは薄いかもしれませんが、Netflixは、いよいよネット配信のビデオレンタルを本格的に始め、名実ともに株が上がっている企業です。
そして、この4人の創業者のうち、実に3人が大学すら卒業していないのです。ジョブスさんは、リード・カレッジに入ってすぐにドロップアウト。エリソンさんは、イリノイ大学を2年で辞め、入り直したシカゴ大学はすぐにドロップアウト。
映画『The Social Network(ソーシャルネットワーク)』などでご存じのように、ザッカーバーグさんは、ハーヴァード大学在学中にFacebookを始め、その後、学校は中退(さすがに大統領の前では、トレードマークのフード付きスウェットシャツを脱ぎ捨て、ビシッとスーツ姿で現れました)。
そして、Netflixのヘイスティングスさんは、数学専攻で学士号を取っているものの、その後、学校に残ることはありませんでした。
そんなことを漠然と考えていると、地元紙サンノゼ・マーキュリー新聞のコラムニストも同じことを感じたようでした。
翌日のビジネス欄には、マイク・キャシディー氏のこんなコラムが。
「シリコンバレーで、でっかく成功したい? それなら、大学をドロップアウトしなさい。今すぐに。(You want to hit it big – really big – in Silicon Valley? Drop out of college. Right now.)」
(Excerpted from “Dropping out and starting up” by Mike Cassidy, the San Jose Mercury News, February 18, 2011)
だって、スティーヴ・ジョブス、ラリー・エリソン、ビル・ゲイツ(ワシントン州のマイクロソフトの共同設立者)、みんな大学を中退してるじゃないか。
ヤフーの創業二人組ジェリー・ヤンとデヴィッド・ファイロだって、グーグルのセルゲイ・ブリンとラリー・ペイジだって、スタンフォードの博士課程を辞めて、ビジネスを始めたじゃないか。
シリコンバレーでは、学位を持たないことは、名誉の勲章(badge of honor)でもあるんだよ。自分たちには経験から得た知識があって、型にはまった教育なんて、自分たちを縛りつけるだけだって。
なるほど、彼のおっしゃることには一理ありますね。テクノロジー会社を設立して大成功した方々には、きっと学校に行っている暇なんてなかったんでしょう。
新しいアイディアが次々とわいてきて、思いついたことをビジネスとして始めてみたら、そっちの方が本業になってきて、いつの間にやら、自分は学生なんだか起業家なんだかわからなくなってきた。だから、いっそのこと、教科書や講義などと窮屈なものには戻らずに、いさぎよく学校を辞めてしまおう。そんなシナリオだったのでしょう。
それに、シリコンバレーでは、若い起業家に投資する人はいくらでもいます。たとえば、ひと昔前から起業家たちがお世話になってきた「エンジェル(angel)」。
彼らはシリコンバレーで成功し、財を築いた業界のベテラン。若い人たちを応援しようと、自分の懐から「シードマネー(seed money、当初の起業資金)」を出してくれるのです。
彼らには豊富な経験があるので、資金提供した会社にアドバイスを施す場合もあります。
そして、近頃は、若い起業家に資金を提供するベンチャーキャピタルも増えています。
ベンチャーキャピタルとは、投資家から資金を募って、それを将来性のある会社に提供し、ビジネスの立ち上げを応援する役目を担っていますが、これによって、起業する側も助かるし、ベンチャーキャピタルや投資家にとっては、長期の投資ともなるのです(通常、数年から10年の契約ですが、成功すればリターンは大だし、失敗すればリターンはゼロですね)。
有名なクライナー・パーキンス(Kleiner Perkins Caufield & Byers)やグレイロック(Greylock Partners)などのベンチャーキャピタルに加えて、IT企業が資金提供する場合もあります。
グーグルのグーグル・ベンチャー(Google Ventures)やインテルのインテル・キャピタル(Intel Capital)が名高いですが、こういった企業にとっては、目新しいビジネスに投資すると同時に、自分たちが利用できるテクノロジーを見つけられる、といった一石二鳥の効果があるのです。
起業に注がれるのは、私的資金ばかりとは限りません。米国政府も可能性のあるテクノロジーにどんどん投資しています。
たとえば、ノーベル賞物理学者スティーヴン・チュー博士が率いるエネルギー省は、太陽光発電技術のインキュベーター(起業支援)の役割も果たしていて、今月初頭、シリコンバレーの3社が初期投資(計5億円ほど)を確約されています。
チュー博士は先に、「この手の研究は高額でリスクを伴うので、民間に頼るのではなく、連邦政府が音頭取りをしなくてはならない」と方針を明らかにしています。
そんなシリコンバレーの起業環境の中、とくに若い人を応援するのは、オンライン支払いシステムPayPal(ペイパル:現在はオークションサイトeBayの傘下)を共同設立した、ピーター・シール氏。彼はベンチャーキャピタリストやファンドマネージャーとして活躍中ですが、近頃、学生の年代の起業家に投資するファンドを始めたそうです。
「学校に行ってる暇があったら、さっさと会社をつくりなさい」と、20歳未満の起業家20人に最高10万ドル(約8百万円)を資金提供しています。
そして、ピーター・シール氏と一緒にPayPalを立ち上げたメンバー(俗に「PayPalマフィア」と呼ばれる)の中には、小さなスタートアップ(起業)を助けるベンチャーキャピタルのスタートアップを始めた方々もいらっしゃいます。
こちらは、プロフェッショナル向けのソーシャルネットワークLinkedIn(リンクトイン)に似た名前で、CapLinked(キャップリンクト)といいます。オンライン・フォーラムの形式になっていて、ここに参加した若い起業家と資金提供者を結びつける役割を果たします。参加するのは無料で、このサービスを使って新しく会社を起こすこともできるのです。
CapLinkedは、2月末に正式にスタートしたばかりですが、すでに第一期として5千万円ほどのファンドを募っています。
ちなみに、「PayPalマフィア」というのは、別に悪いことをやっている意味ではなくて、PayPalが巨大オークションサイトeBayに買収されたあと、PayPalを去って、新しく会社を起こしたり、新手のサービスに投資したりと、ウェブの新時代を築いた人たちというニュアンスがあります。
彼らが設立した中には、LinkedInやYouTube(ユーチューブ:現在はグーグルの傘下)があります。
LinkedInを共同設立したリード・ホフマン氏は、数多くの会社に初期投資していて、中には、Zynga(ジンガ:ソーシャルゲーム世界最大手)やFlickr(フリッカー:写真やビデオを掲載する人気オンラインコミュニティー、現在はポータルサイトYahoo! の傘下)があります。
ちょっと話がそれてしまいましたが、いずれにしても、起業ブームが戻りつつある最近のシリコンバレーの常識はこちら。
「何か素晴らしいアイディアがあって、今すぐ実行したいんだったら、学校に行ってる暇なんてないよ! だって、助けてくれる人はたくさんいるんだから。」
新しい形態のビジネスなんて、若いうちにしか考えつかないもの。やれ、投資だ、リターンだ、屈曲点に成長曲線だ、などと七面倒くさいことをいっているようでは、今までの常識を打ち破るような画期的なことは生まれてきません。
もちろん、学校に残ってはいけないのは、自分のやりたいビジネス(アイディア)がはっきりと見えていて、実際にやってみたら手応えが感じられた場合に限りますよ。
純粋に学問を追求したいとか、「今は何だかわからないけど、とにかく、いろんな人からいろんなことを学びたい」という人は、がんばって学校でお勉強いたしましょう。
あのオバマさんだって、遊び放題のハワイの高校生活から、ロスアンジェルスのオクシデンタル・カレッジの大学生活に移って、初めて「自分の進むべき道は政治だ」と悟ったのです。
ちょうど「バリー(Barry)」と英語風に名乗っていたオバマさんが、「バラク(Barack)」という本名を意識し始めた頃でした。
2年の後、ニューヨークのコロンビア大学に転校し、政治家の基礎を築いていくわけですが、「自分って何だろう?」と探し求める時間も人生には必要なのでしょう。
夏来 潤(なつき じゅん)