アップル旋風:間もなくiPhone登場!

2007年6月26日

Vol. 95

アップル旋風:間もなくiPhone登場!


 6月も中旬を過ぎると、子供たちもそろそろ夏休み。子供たちが浮かれ出すと、大人たちもつられて浮かれ出す。そんな季節の到来です。
 6月末には、大きな行事を控え、この辺りもソワソワ、ウキウキ。今月は、そんなお話をいたしましょう。


<アップルさま>

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 なにはともあれ、今のこの辺の関心事第一位は、アップルの「iPhone(アイフォン)」でしょうか。ご存じ、アップル初の携帯電話ですね。
 6月に入り、いよいよテレビでもコマーシャルが流れ始め、発売開始も29日と明らかになりました。今は、その日まで、秒読み段階です。

 実は、1月のマックワールドでお披露目されたiPhoneは、いまだ厚いヴェールに包まれた製品でして、手に取ってみた人はおろか、30メートル以内に近づいた人すら少ない代物。わたしも、コマーシャル以外だと、アップルのCEOスティーヴ・ジョブス氏とインテルのCEOポール・オテリーニ氏が手にしている映像しか見た事がありません。

 そのわりに、いろんな前評判が巷をめぐっています。アップルにとって、iPodと同じく、大成功となるのか、それとも、Newtonと同じく、泣かず飛ばずとなるのかと、意見が大きく分かれるところです(Newtonとは、1990年代にアップルから出された、Newton OS搭載のPDA、つまり携帯情報端末です)。

 当のアップルは、年間10億台世界で売れる携帯電話の1パーセント、つまり、年間1千万台でも売れれば良しとしましょうと言っています。
 その一方で、2009年末までの2年半で、世界で4千5百万台は売れるだろう、と言う強気のアナリストもいるようです。

 アメリカで世論調査をしてみると、「興味はあるけど、高いから買わない」という人が6割だったそうですが、それでも、金に糸目を付けず、真っ先に新製品を手にしたい人はたくさんいるわけですよね。我が家でも、「ぜひ買いたいね」と話しています。

 そんなさまざまな前評判の渦の中、アップルのコマーシャルが実に良くできていて、iPhoneはいったい何ができるのかという疑問点を、はっきりと消費者に答えてくれています。

 まず、メールができるでしょ、ネットサーフィンができるでしょ、iPodみたいに音楽が聴けて、ビデオが観られるでしょ、それから、もちろん携帯電話だから、お友達とお話もできるでしょ。YouTubeにだって、アイコンひとつで繋がってるんだから。
 しかも、それが、指先でちょいちょいっとできてしまう。メールをスクロールするのも、ウェブサイトの写真をズームするのも、ページをめくるのも、音楽のメニューを選ぶのも、何でも指先。立体的に出てくるメニューは見易いし、指を速く動かせば動かすほど、スクロールは速くなる。  
 そして、キーボードは付いていないので、メールや電話のときも、画面に出てきたキーを指先で軽くたたくだけ。スタイラスなんて紛失しそうなものは要らないし、特殊加工ガラスの表面も、傷つき難いのです。
 そうそう、iPhoneを横向きにすると、画面も自然と横向きになる。頭を90度かしげる必要なんてありません。

 5つほどあるコマーシャルのバージョンでは、こんな使い方もアピールしていました。たとえば、3.5インチのゆったりしたスクリーンで、映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』のひとシーンを観ていたとしますよね。すると、友達が、大きな海の怪物を見て、「あ~、カラマリ(イカのフライ)食いてぇ」と言ったとします。
 そこで、さっそく、指先でチョチョイと、ネットを検索。近くのシーフードレストランが出てきて、即、お店に電話。めでたく予約もできたので、あとは行くだけ。
 日常の一連の動作が、シームレスにできる点を猛アピールなのです。

 今まで、アナリストの中には、こんな批評をする人もいました。バッテリー駆動時間が短いので、iPhoneは実用的じゃないと。
 アップルは、そんな批判に対し、「iPhoneは、他のどのスマートフォンに比べても、バッテリー時間が長いのだ」と、詳細を発表しています。通話8時間、スタンバイ250時間。たしかに、わたしのPalm Treoなんかよりも、ずいぶんといいですね(他に、ビデオ鑑賞7時間、音楽鑑賞24時間、ネットアクセス6時間ということですが、いろんな機能を混ぜて使ったときのデータは出されていません)。

 まあ、いいことばかり並べてみましたが、もちろん欠点もあります。まず、何といっても、高い。
 以前、マイクロソフトのCEOスティーヴ・バルマー氏が、「世界一高い電話だよ~」とテレビインタビューで叫んでいましたが、携帯キャリアAT&Tの補填が付いて499ドルと599ドルと、非常にお高い。メモリーは、それぞれ4GBと8GBなので、生産の問題がなければ、599ドルの方がお得でしょうか。
 それから、AT&T(旧Cingular Wireless)の独占提供なので、わたしのように他社のサービスを使っている人は、躊躇せざるを得ないです。いくら番号ポータビリティー制度があるとはいえ、個人的には、Verizon Wirelessのネットワークから離れるのは嫌だなあと迷っています。
 また、AT&Tの提供ということは、ネットアクセスが遅いということですね。いまだに2.5GのEDGEネットワークを使っているので、VerizonやSprint NextelのEVDOに比べて、かなり遅いと思われます。
 そして、今のところ、会社のメールには繋がらないので、お仕事向きではありませんね。リサーチ・イン・モーションのBlackBerry(ブラックベリー)を愛用する人は、iPhoneにはスイッチしないでしょう。

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 ま、最終的には、多少不便な点があっても、クールなカッコイイ製品を手に入れるかどうか、ということでしょうか。
 思ったよりも小さくて、かわいいピンク色もあるようなので、女の子も充分に使えます(インチから逆算すると、縦11.4センチ、横6センチ、厚さ1.2センチで、色は黒と銀のコンビ、白、ピンクがあるようです。写真は、新聞記載されたサイズとの比較ですが、大きさはPalm Treo 700wとほぼ同じくらいで、厚さは半分ほどのようです)。

 あくまでも、iPhoneは、ケータイとiPodの融合マシーン。お遊び用なのです。
 ケータイで音楽やビデオを楽しむ人は、まだまだ、アメリカにはほんのちょっとしかいないそうですが、iPhoneの登場で、その行動パターンも激変してしまうのかもしれませんね。

 6月に入りiPhone熱が過熱する中、ネットでは、もう詐欺行為が横行しているらしいです。「僕は、発売前に、密かにiPhoneを手にしたんだ」と。
 スティーヴ・ジョブス氏の甥っ子でない限り、そんなことはできないんだから、くれぐれも注意しなさいよと、巷には厳重な警告が出されているのです。

 

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 そして、ちょっと驚きなんですが、世に出る前のiPhoneが、もう客引き用のプロモーションに使われているのです。
 こちらは、ある新興住宅地の広告。サンノゼから東に、直線距離で50キロの場所。でも、サンノゼの東にはディアブロ山脈が広がり、山を突っ切ることはできません。だから、グルッといろんな都市を周遊し、ようやく現地にたどり着くという、辺鄙な場所なのです。
 きっと、値下げだけでは不十分と思ったのでしょうか、現地に来てくれたら、iPhoneが当たるかもしれないよと、関心を引こうとしているのです。

 さて、iPhoneの効果や、いかに?


<新しい車>

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 先月、長年愛用していた車を買い替えました。何の事はない、以前の車の後継モデルにしただけの話なので、買うものは最初から決まっていたし、買う場所もセールスマンも決まっていました。だから、車を買う楽しみなんて、最小限度。

 何の問題もない愛車を交換するなんて、ちょっと抵抗がありましたが、間もなく年間登録料を支払う時期でしたし、タイヤも交換する時期に来ていましたし、タイミングとしては悪くなかったのです。
 それに、まるでこちらの心を読み取るかのように、「そろそろ買い替えてはいかがですか」と、車の会社がカタログを送ってきたのです。そのペイントや内装の色見本なんかを見ていると、ふらっと暗示にかかってしまうのですね。

 まあ、それに、7年も前に買った車には不足している部分もあります。車輪の回転半径(steering radius)が大きくて、Uターンがし難い。カーナビもないし、携帯電話のハンズフリー機能(hands-free device)も付いていないので、不便でもあります。
 そう、カリフォルニアでは、来年の7月から新しい法律が施行し、車内での携帯電話はハンズフリーで行うことが義務付けられます。違反者には、一回目は20ドル、それ以降は一回50ドルの罰金が科せられます。日本にだいぶ遅れを取っていますが、これでもアメリカでは先進的な場所なんです。

 新しい車にしてみると、まあ、それなりに便利ではありますね。リアハッチ(後部ドア)は遠くから開けられるし、ボタンを押すと、自動的に閉まる。買い物のときに便利です。
 暗くなると自然とヘッドライトが点くし、雨が降ると自動的にワイパーが動く。5月以降、一滴も雨の降らない乾季のシリコンバレーでは、まだワイパーを試したことはありませんが。

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 Bluetooth接続のハンズフリー機能も、思ったよりも実用的なものですね。ハンドルに付いたボタンで電話に即出られるのが、まずいい。
 家のガレージで実験しているときは、相手と近過ぎてハウリングしてしまいましたが、ちょっと離れると、問題なく使えます。相手も車でハンズフリーを使っていると、若干ノイズが乗りますが、使えないというほどではありません。

 

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  それに、カーナビ(car navigation system)。2年前に買った、連れ合いの車のカーナビからは更に進化していて、なかなか解像度がいいです。フリーウェイの下り口なんかも、立体的に表示してくれるし、リアルタイムの交通情報に直結していないまでも、かなり便利に使えます。
 こちらの写真は、シリコンバレーの幹線道路・フリーウェイ101号線を下りて、我が家へ向かう途中です。ヘビみたいな道路がニョロっと一本出ているだけで、他に何もないところが、のどかで気に入っています。

 まあ、強いて言うなら、衛星ラジオの配線がなされていないのが、不満な点でしょうか。今度、車を替えたら、XMとSiriusのどっちにしようかなと楽しみにしていたので、「SUV(スポーツ多目的車)には、衛星ラジオの配線はないのです」と言われたときは、かなりショックでした。
 それから、車が自分で縦列駐車するオプションもあればよかったのですが、これは、まだ実用的ではないと聞くので、別になくてよかったです。それに、縦列駐車が必須の場所は、シリコンバレーには極めて少ないのです。

 そうそう、この辺で絶対にいらないのは、後部座席のマッサージチェアでしょうか。どんなに偉い人でも、自分で運転するからです。アップルのジョブスさんだって、ヤフーの新CEOジェリー・ヤンさんだって、きっと愛車を好きなように運転していることでしょう。

 ところで、以前、自分の車を「お姫様」と呼んでいると書いたことがあるのですが、今度の車には、まだ名前がありません。前の車はお尻が丸っこかったので、四輪駆動のSUVのわりに、女の子だったのです。だから、この子は大事にされ過ぎて、スキーにも一度しか出かけたことがありませんし、舗装なしの道路なんて、とんでもありません。
 でも、今度はモデルチェンジしていて、お尻はあんまり丸くないのです。それが、最初のうち気に入らなかった理由だったんですが。

  新しい車には名前がないよという話を連れ合いにしたら、「じゃあ、王子様にすれば」と言うのです。まあ、近頃日本では、「ハンカチ王子」だの「はにかみ王子」だのが流行っているそうなので、王子様でもいいかもしれませんね。

 う~ん、でも、今度の車は、男の子でも女の子でもないような気もするし・・・

 だったら、薄い金色だから、「C-3PO」でもいいかもしれない。けれど、あの映画『スターウォーズ』の名脇役は、男性ロボットでしたよね。じゃあ、いったい何でしょ?


追記: アメリカでは、自分の愛車に名前を付ける人は、結構たくさんいるそうです。愛情を持って話しかけるという人も、少なくないとか。  もしかしたら、自分の奥さんよりも車が愛しい男性なんて、意外とたくさんいるのかもしれませんね。ちょっと恐いですが。


<かっこいいでしょ>

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 こんな切手出ましたよ。なんと、『スターウォーズ』切手です。ちょっと見は、おもちゃのシールのようですが、正真正銘、アメリカの切手なんです。
 アメリカでは、5月中旬に普通郵便の切手代が上がって、39セントから41セントになったのですが、ちょうどそのタイミングを見計らって、この切手が発売となったのです。
 折しも、今年5月は、『スターウォーズ』第一作目のリリースから30周年でもありますし。

 この記念切手が売りに出された5月25日の金曜日、郵便局に行ってみると、いつもよりもガラガラ。長蛇の列を期待していたのに、ちょっと拍子抜けしてしまいました。みんながこの切手を買いに走り、売り切れているかと思ったのに。

 

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 ま、そんな不満はあったものの、実際に切手シートを手にしてみると、おもなキャラクターや名場面がズラリ。なかなか芸が細かいのです。
 主役ともいえるダース・ヴェイダーや、ジェダイ・マスターのヨーダやオビワンはいるし、レイア姫がロボットのR2-D2にメッセージを託す名場面もあります。
 写真ではわかりにくいですが、全部で15枚の切手が、うまく組み込まれているのです。

 それにしても、最初に映画館で『スターウォーズ』を観た時は、つまらないもんだと思いましたね。
 今は昔、第二作目(エピソード5)がリリースされた1980年の夏、わざわざレッドウッドシティーに出かけて行って観たんですが、一作目を観ていないと、ストーリー展開が追い難いし、尻切れトンボで終わっているし、「なんでこんな映画が人気なの?」と思ってしまいました。
 けれども、一作目を観賞し、二作目を復習してみると、ようやく話の大きさがわかってきて、三作目(エピソード6)が出る頃は、とっても待ち遠しかったですね。まあ、映画館の前にテントを張る事はしなかったですが、今でもサンフランシスコのゲーリー・ストリートの映画館をよく覚えています。

 あの頃は、『スターウォーズ』って、全9作だと言われていたのですが、いつの間にか全6作になってしまいましたね。きっと作る側も疲れてしまったのでしょうね。それに、あれ以上作ってしまうと、逆に話がぶち壊しになる恐れもあるし(エピソード6のあとに、あと3作あると言われていました)。

 最終話(エピソード3)が出されて、はや2年。多くのアメリカ人にとって、今回の記念切手の発売は、ようやく完結した壮大な叙事詩を祝うに、まさにふさわしいものなのでしょう。

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 ふふっ、これで、わたしの『スターウォーズ』コレクションも、またひとつ増えました。一番古いものでは、1980年代の黄金期に作った、R2-D2のプラモデルっていうのがありますから。
 一方、こちらの写真は、みなさんご自慢のコレクション。老いも若きも(ダース・ヴェイダーも)、それぞれに、思い入れのある品々なんです。

 まあ、いつの時代も、「May the force be with you!(フォースよともにあれ)」でしょうか。

 夏来 潤(なつき じゅん)

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