Take some time to unwind(少しリラックスしましょうよ)
<英語ひとくちメモ その179>
秋を通り越して、急に肌寒くなった霜月(しもつき)。
ひと雨ごとに、真冬へとまっしぐらです。
ときに暖かく優しい雨もあれば、冷たさを運んでくる雨もある。
久しぶりに、東京湾に面する浜離宮恩賜庭園(はまりきゅうおんしていえん)を見下ろしていて、そんなことを考えていました。
というわけで、今日のお題に入りましょう。
Take some time to unwind
最後の unwind の発音は、「アンワインド」。
あまり耳にしない動詞ですが、他動詞では「(巻いてあるロープや、もつれた紐を)ほどく」という意味。
自動詞では「(巻かれたロープが)ほどける」という意味に加えて、「気分をリラックスする」という意味もあります。
Take some time to 〜 というのは、「〜をするために少し時間を取る」という定形です。
たとえば、こんな風に使います。
Take some time to say goodbye to your coworkers
同僚にお別れを言うために少し時間を取ってくださいね
たとえば離職するとき、黙ってオフィスからいなくなるのは良くないので、お別れの言葉を同僚に伝えてくださいね、というもの。
いえ、カリフォルニア州の小さなスタートアップ企業で働いていた経験からすると、突然、夕方にオフィスから消えてしまって二度と戻って来ない、という例も多いです。
たとえ個人の希望ではない離職にしても、それまで一緒にオフィスで働いていた者としては、「ひとこと言ってくれればよかったのに・・・」と、うらめしい気持ちにもなるものです。
そして、Take time という言い方は、こんな風にも使えます。
Take your time
「あなたの時間を取ってね」というわけですが、「自分のペースで時間を使ってください」という意味。
あせって物事をやろうとすると、なかなかうまくいかないもの。そういうとき、Take your time (ゆっくりやってください)と声をかけてあげると、相手も安心してスムーズに事をこなせるのでしょう。
Take your time という言葉はいろんな場面に使えますので、相手に対する思いやりの表現として、ぜひ覚えていただきたいです。
ここで、今日のお題 Take some time to unwind に戻りますと、
「気分を落ち着かせてリラックスするために、少し時間を取ったらいかがでしょうか」という提案になりますね。
Take a deep breath and unwind
深呼吸して、(キリキリと巻かれた心を解きほぐして)リラックスしましょう
なんだか、ヨガの教室で聞こえてきそうな表現ですけれど、誰かから声をかけられて初めて、自身の「キリキリと巻かれた心」に気づくこともあるのです。
それで、今日のお題ですが、こちらはアメリカの有力紙ワシントンポスト紙(The Washington Post)が送ってきた記事紹介メールに出てきた言葉なんです。
メールの題名は、「Need a distraction? We’ve got you covered(何か気晴らしが必要? 大丈夫、わたし達がお助けしますよ)」。
いえ、はっきりとは書かれていないので想像の域は出ませんが、11月5日に行われた米大統領選挙でドナルド・トランプ前大統領が当選したことを指しているのでしょう。「気分が沈んでいて、気晴らしが必要なのでは?」と助け舟を出してくれたようです。
実際、選挙直後のニューヨーク市民へのインタビューをテレビで観ていたら、こんな(悲痛な)声が聞こえてきました。
How do you feel right now?(今はどんな気持ち?)という質問に対して、
It’s been rough few days
ここ2、3日、辛かったわぁ
(ちなみに、英語のラフ(rough)という形容詞は、日本語とはニュアンスが違っていて、「心穏やかではなく、ほんとに辛い」という意味。日本語でよく使われる「ラフな服装」と言いたいときには、casual wear または casual outfits を使います)
そして、インタビューされた別の女性からは、こんな回答が返ってきました。
I’ve been discouraged and depressed
(あの日以来)ずっと意気消沈して、ふさぎ込んでいるわ
We’re thinking about moving
わたし達は、もう引っ越そうかと考えているのよ
「引っ越そうか」という言葉を聞いたインタビューアーは、こう聞き返します。
You’re half joking, right?
それって冗談ですよね?
すると、女性はこう返します。
No, not on his part
いいえ、彼は違うわ(ダンナは冗談とは思っていないわ)
そうなんです、アメリカでは、指示している候補者が大統領にならなければ、国を出ていくぞ(We’ll be moving out of the country)と事前に宣言する方も多いです。
インタビューされた方のダンナさんも、「今からでも遅くないから引っ越そうか」と真剣に考えていらっしゃるのでしょう。
来年1月にはトランプ大統領が返り咲くということで、現在、着々と組閣が進んでいますが、司法長官をはじめとして人選を疑ってしまう(raising eyebrows)ことも。
結局は指名を辞退する方も出て混乱が続きますが、そんな状況下、テレビインタビューを受けた方はこうおっしゃっていました。
I’m scared for the future
これから先が怖いわ
I’m scared for the future of our children and grandchildren
子供たちや孫たちの未来を恐れているわ
また、こう断言する男性もいらっしゃいました。
We’re doomed
我々は、呪われている
I hope we’ll make it through
生き延びられるよう願っているよ
(上の文章に出てきた doom(発音は「ドゥーム」)は、名詞では「破滅、凶運」という意味。動詞 doom を 形容詞 doomed として使うと「破滅する運命にある」という意味になります)
(二番目の we’ll make it through という文章ですが、make it through という形で「うまく乗り切る、達成する」という意味になります。たとえば、He made it through college in 6 years 「彼は6年でうまく大学を卒業した」という風に使います。上の文章は、I hope we’ll make it through the next 4 years 「次の4年間をうまく生き延びられることを願っているよ」といったニュアンスですね)
というわけで、反トランプ派の方々にとっては、気分を消沈させる大統領選挙となりました。
が、これから感謝祭(Thanksgiving)、クリスマス(Christmas)と楽しい行事が続く年末です。
まずは大きく深呼吸をして心をほぐし、楽しいことを考えて気分をまぎらわせましょう。
Take some time to unwind