Takes pride in one’s work(仕事に誇りを持つ)
前回は、「Take pride(誇りに思う)」という題名で、アメリカの独立記念日に人々が胸に刻む「誇り(pride)」のお話をいたしました。
18世紀後半、イギリスから独立を果たしたアメリカ人が、毎年7月4日の独立記念日になると自国民である誇りをよみがえらせる、というお話でした。
それで、もともと「誇り」のお話をしようと思ったのは、まったくべつの理由だったのでした。
それは、ある電話の会話で、お相手がこう発言したからでした。
He takes great pride in his work
彼は、自分の仕事に大きな誇りを持っている
そう、takes pride in his (her) work は、「自分の仕事に誇りを持っている」ということで、さらに great pride となって、「大きな誇りを持っている」のだと。
実は、少し前にサンノゼの我が家が水害に遭い、それを直してくれた会社の共同経営者が自分のスタッフについて発言したのが、この言葉でした。
He takes great pride in his work
彼は、自分の仕事に大きな誇りを持っている
だから、彼の仕事は質が高いし、あなたが満足しているのも自分にはよくわかると。
いえ、「水害」と言っても、大雨の被害に遭ったとか、そういうことではありません。
2階のバスルームの水道管が破裂して(!)、2階が水浸しになったばかりか、階下の居間まで水浸しになったという災難でした。
だって、水は、引力の法則(law of gravity)で階下に落ちるもの。
居間の天井に穴を開けたら、それこそ、滝のように水が流れ落ちてきましたよ!
結局、2階のバスルーム、ベッドルーム、クローゼットと1階の居間に被害が出て、「プロの乾かし屋さん」が床や壁や天井を完璧に乾かしたあと、「火事・浸水専門の建築屋さん」が壊した部分をきれいに修理してくれました。
壁には断熱材(insulation material)が入っているので、壁を壊して濡れた断熱材を取り出さないといけないし、バスルームの床は大理石のタイルだったので、これを全部はがさないと土台を乾かすこともできないし、被害はだんだんとふくらみます。
でも、それだけでは済まずに、結果的には、家のほぼ全体の床を張り替えることになりました。
なぜなら、我が家は、壁から壁を覆うカーペット敷き(wall-to-wall carpeting)。
築16年で、痛んだ部分だけ取り替えようにも、同じカーペットが手に入らないのです。
それで、どうせ張り替えるなら、カーペットはやめにして、ウッドフロア(hardwood flooring)にしよう、ということになりました。
で、この床の張り替えをほとんどひとりで担当してくれたのが、自分の仕事にプライドを持っていらっしゃる職人さん。
細かいところにこだわりがあるので、最初は2週間の予定が3週間に伸びてしまいました。
我が家は、デザイン的にカーブが多いので、たとえば、階段の下のクローゼットは、超難関だったそうです。
だって、まっすぐな床板を、カタツムリの殻の中みたいなカーブに沿って貼らないといけないんですから。
でも、そんな努力の甲斐あって、できばえは素晴らしい!
少々ポケットマネーを出すことにはなりましたが、すっかり生まれ変わった家に満足しています。
電話のお相手の方も、こうおっしゃっていましたっけ。
It is a great example of turning something negative into a positive
何かしら良からぬことを良いことに変える、絶好の機会になったね
なんとなくアメリカ人って、大雑把できっちりと仕事ができないような印象もありますが、誇り高い職人さんがいらっしゃるのも事実なんですよ!
というわけで、takes pride in one’s work 自分の仕事に誇りを持つ。
どんな職業であっても、こういう風に胸を張ってみたいですよね。
I take great pride in my work
わたしは自分の仕事に大きな誇りを持っている
追記: 残念ながら、アメリカに暮らしていると、家の中の「水害」に遭うことが多々あります。
たとえば、トイレから下水が吹き出したとか、冷蔵庫(refrigerator 略してfridge)の製氷器が壊れて、冷蔵庫に引いている水道管から水が漏ったとか、食器洗い機(dishwasher)や洗濯機(clothes washer 通称 washing machine)から水が漏ったとか、はたまたガレージに置いてある貯水塔みたいな温水器(water heater)が壊れたとか、シナリオはいくらでも考えられますね。
けれども、壁の中やキャビネットの裏の水道管が壊れる(water pipe burst)ほど、大きな「屋内水害」はないかもしれません。被害は広がりやすいし、その後の修理も大変ですからね。
でも、我が家は、それを3回も経験しているんです! しかも、3回とも、家を留守にしている間に水道管が破裂した、という不運なパターン。
最初の2回はフロリダで経験したのですが、亜熱帯の気候では、つくり付けの家具もすぐに腐ってくるし、その点では、乾燥したカリフォルニアはましでしょうか(それでも、数日間放っておくとカビ(mold)が繁殖するので、すぐに対処しないといけませんよ!)。
そんなわけで、屋内水害の多いアメリカでは、「プロの乾かし屋さん」が存在することを、今回、初めて知ったのでした。
連日連夜、彼らは超多忙なので、「もう2週間も働き詰めだよ」と担当者は語ってくれました。働き者の彼は、娘が生まれたばかりなのに、ぜんぜん休みが取れない・・・とか。
ついでに後日談: このお話を読んだ知り合いが、こんなことをおっしゃっていました。
「僕も、ロスアンジェルスのアパートに住んでいた頃、同じような水害に遭いましたよ」と。
なんでも、アメリカは水道管の水圧が高いところが多いので、水道管が破裂しやすいんだとか。
たしかに、アメリカでは一般的にシャワーの勢いも強いし、我が家に来た水道修理屋さんは、「危ないから」と水圧を低くして帰って行きました。ま、そのせいで、シャワーがしょぼしょぼしてイヤなんですが・・・(世の中、うまくいかないですねぇ)。