Wash hands(足を洗う)
Wash hands(手を洗う)なのに、どうして「足を洗う」になっているのかな?って。
これは、わたしが勘違いしているわけではなくて、wash hands という慣用句をご紹介しようと思ったからでした。
そうなんです、wash hands というのは、「きっぱりと関係を絶つ」つまり「足を洗う」という意味になります。
何か良からぬ事に手を染めていて、そこからきっぱりと関係を絶つと、日本語では「足を洗う」といいますが、英語では「手を洗う」になるのですね。
たとえば、こんな風に使います。
I washed my hands of that matter. 「わたしは、その件からは足を洗った」
「わたしはもう関係ないんだよ」という意味を強調するために、パンパンと手をはたくジェスチャーを付けてもいいかもしれませんね。
こんな風に、なんとなく基本的な考え方は同じなのに、微妙に言葉の表現が異なるものが、日本語と英語の間では結構たくさんあるのです。
たとえば、こちらもそうでしょうか、sooner or later。
いずれも時間を表す形容詞 soon(早い)と late(遅い)の比較級となりますが、この sooner or later という慣用句で、「遅かれ、早かれ」という意味になります。
遅かろうが、早かろうが、そのうちに事は起きる、みたいな意味で使われますね。でも、英語では「早かれ、遅かれ」と、微妙に「遅い」と「早い」の位置が逆転しているのです。
もしかしたら、日本の方でも「どっちが正しかったっけ?」とわからなくなる場合もあるかもしれませんが、日本語では「遅かれ、早かれ」の方が正しいようですよ。
英語版「遅かれ、早かれ」は、こんな風に使います。
You’ll get the hang of it sooner or later.
「遅かれ、早かれ、きみはそのコツを覚えるよ」
こちらの文章について、ちょっとご説明いたしましょう。「(物事に)慣れる」というのは、get used to ~ といいますが、「コツを覚える」には、get the hang of ~ という表現がクールだと思います。くだけた表現ではありますが、みんながよく使うものなので、覚えておくと便利でしょう。
Oh, you’ve got the hang of it already.
「なんだ、もうコツを覚えたじゃない」
ちょっとややこしい携帯電話(スマートフォン)の使い方を教えてもらって、ほんのすこし慣れたところで、こうほめられたのでした。でも、ほんとはまったくわかってなかったのですけれどね。
製品展示会の相手は調子がいいものだから、「コツはつかんだねぇ」と、すぐにほめてくれたのでした。
さて、簡単なところでは、こんなものもありますね、goose bumps。
これは、「ガチョウの肌のブツブツ」ということですが、日本語では「鳥肌(とりはだ)」といいますね。
どうやら、ガチョウの羽を引っこ抜くと、羽の根元がブツブツとしていて、人間の鳥肌に似ているところから、goose bumps もしくは goose pimples(ガチョウのにきび)と呼ばれるようになったようです。
たとえば、こんな風に使います。
I got goose bumps all over my body as soon as I heard that ghost story.
「そのお化け話を聞いた途端、体じゅうに鳥肌が立ったよ」
なんでも、生物学的には、鳥類の肌はどれも似たような構造になっているので、「鳥肌」を表すには、べつにガチョウでなくとも、鶏でも何でもいいそうです。
ですから、どの鳥を使うのかは、国によって異なるようです。ドイツ語やイタリア語では、英語のように「ガチョウ」を使いますが、フランス語やスペイン語では「めんどり(鶏のメス)」を使って、中国語やオランダ語では「鶏」を使うそうなのです。(出典: Wikipedia, “goose bumps”)
伝統的に、みんなの食卓に何がのっていたかというのが、身近な代表選手として選ばれているのかもしれませんね。
でも、日本語の「鳥の肌」というのが、一番一般的で的確な表現なのかもしれません。
それから、こちらも、何となく気持ちはわかるんだけれど、日本語とは微妙に違う表現でしょうか。
I live, breathe, and sleep football.
直訳すると「わたしはフットボールに生きて、呼吸して、寝る」ということになりますが、「わたしは三度の飯よりもフットボールが好きだ」という意味になります。
こちらは、サンフランシスコのプロフットボールチーム49ers(フォーティーナイナーズ)の大ファンが熱弁していた言葉ですが、わたしも同感だと思って、心に刻んでおいたものでした。
ときどき、「生きて、呼吸して、寝る」に「食べる」が加わるときもあって、そうなると、こんな文章になりますね。
I live, breathe, sleep, and eat football.
この四番目の単語は、好みでいろいろと入れ替える人もいるみたいで、こんな文章も見かけました。
I live, breathe, sleep, and need music. 「僕は音楽に生き、音楽が必要なんだ」
なるほど、こういう風に表現すると、「もう音楽なしじゃ生きられない!」って感じがよく出ていますよね。
Eat, sleep, and get gloriously lost…
「食べて、寝て、すばらしく我を忘れてください」
こちらは、ニューメキシコ州のリゾートからのお誘いのメールでした。
毎年7月と8月の2ヶ月間、サンタフェ(Santa Fe)という州都ではオペラ祭があるそうなのですが、オペラのチケット2公演分とおいしいディナー、ベンツのお迎えが付いて、3泊を特別価格でご提供しますという、一流リゾートからのお誘いでした。
(写真は、このリゾート系列のホテルで撮った、カリフォルニアのナパバレーの夕刻です。)
ニューメキシコは一度も行ったことがないのですが、砂漠だし、真夏はとても暑いのだろうなぁと思うのです。もちろん、砂漠といえば夜は涼しくなりますので、寝苦しい熱帯夜ということはないでしょうけれど。
でも、Eat, sleep, get gloriously lost「食べて、寝て、すばらしく我を忘れる」なんて、心ひかれる一言ではありますよね。
おまけに、結びには、こんなことが書いてありました。
Make one call, and become a diva! 「たった一本の電話で、あなたもプリマドンナ!」
なるほど、「あなたが主役」とは、女性の心をくすぐる作戦ですね!